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CULTURE カルチャー

2025.06.01


【インタビュー】オーウェン・ウィルソン「相手に信頼を寄せると、そこから大きな恩恵が生まれる」

 

 


人気スポーツは映画やドラマの題材になりやすい。野球、サッカー、ボクシング、バスケなど、いくつもの作品が思い浮かべられるが、意外に多くないのが、ゴルフをテーマにした作品かもしれない。新作ドラマシリーズ『スティック』は、プロゴルファーとして成功の道を歩みつつ、大きな挫折も経験したプライスが主人公。10代の天才ゴルファーと出会った彼が指導する立場になり、自分自身を見つめ直すハートウォーミングなコメディだ。ゴルフのシーンも本格的で、人生とゴルフのプレーがシンクロする瞬間も多発する。プライス役は『ウェディング・クラッシャーズ』などのオーウェン・ウィルソン。どんな思いで本作に挑んだのか。そして彼のゴルフの腕前は? プライスの元妻を演じたジュディ・グリアとともにインタビューに答えた。

ーープロゴルファーのプライス役に、どのような思いで臨みましたか?

オーウェン「じつは父がゴルフの名手だったので、この役を演じることに少しばかり不安があったんです。僕は父にゴルフを習ったこともなく、どうやってそれらしく演じるべきか悩みました。ただし本作において、ゴルフはひとつの要素です。プロデューサーのジェイソン(・ケラー)が僕を信頼し、自信を与えてくれたことで“自分にもやれる”と開き直れました」

ーーたしかにプライスにはゴルファー以外のドラマもたくさん用意されています。

オーウェン「ブライスのドラマでは“二度目のチャンスが欲しい”、“誰かに自分を信じてもらいたい”、“1人では無理だけどみんなでできる”など共感できる部分がたくさんあるんです。それらは作品の力強いメッセージで、僕自身も大好きなので、面白くて感動できる作品ドラマになると実感しました」

ーーお父さんがゴルフが得意で、あなたの兄弟もゴルフ経験がありつつ、あなただけ左利きだったのでゴルフに親しまなかったそうですね。

オーウェン「それは僕がゴルフを始めなかった、大いなる言い訳ですけどね(笑)。僕が子供の頃は、右利き用のゴルフクラブしかなかったのです。だから右利き用でスイングして遊んだくらい。本作に関わって、ゴルフのレッスンを始めた時、“左利き用のクラブで最初から訓練した方がいい”とアドバイスされたのですが、今さら手遅れだと思い、右利き用のクラブでプレーすることにしました。エベレスト登山に例えれば、3分の1くらいまで登ったので、そのまま登り続けよう……という感じですね」

ーーちなみにジュディは、これまでの人生でゴルフと関わった経験は?

ジュディ「ゼロです。ゴルフに関する思い出といえば、子供の頃、ゴルフへ行った父が、見るも無惨な表情で帰宅するのを見て、“なんでゴルフなんてやるんだろう”と不思議だったことくらい(笑)」

オーウェン「何も感じないより、何かをやって落ち込む方がいいんじゃない? 最悪な気分にさせる何かに取り組み続け、いつかその何かと良好な関係になって、素晴らしい気分を得られるかもしれないし。それが趣味であり、執着であり、人生なんだよ」

ジュディ「いやいや、(私の父は)趣味ではなく、完全に執着でした(笑)」

ーーでは改めてゴルフに取り組んで、このスポーツの魅力をどう感じましたか?

オーウェン「よく“ゴルフは人生に例えられる”なんて言われますが、僕はそう思いません。タイガー・ウッズでさえスイングを何度もやり直し、トライするように、ゴルフは完全にマスターすることが不可能なスポーツ。つねに困難で、もどかしく、挑戦を繰り返さなければなりません。そういうわけでかつて僕はゴルフに怖気づいたのですが、今回は“やれる”と感じたんです。二歩進んで一歩下がる、あるいは一歩進んで二歩下がる、みたいなレベルですけど、間違いなくこれから一生続けていくスポーツになりました」
 
 
ーージュディとの演技の相性はいかがでしたか? 離婚した夫婦という微妙な関係の役どころですが……。

オーウェン「ジュディと僕はユーモアのセンスが一緒で、感受性や波長が合いました。もちろん演技には難しい面もありましたが、元妻への未練や、人生を前に進めている彼女の気持ちを察する部分など、感情的に演じられたのは、相手がジュディだったからうまくいったと思います」

ーー『スティック』ではプライスの世代と、彼が指導するサンティと、その恋人でキャディを任されるゼロという若い世代のドラマが描かれます。

オーウェン「ある世代が理解できるけど、別の世代では受け入れられない。よくある世代間のギャップによって、うまく心が通わせられない状況は、ドラマを面白くします。何とか心で繋がろうと努力し、それが実った時、感動的な何かが生み出されるからでしょう」

ジュディ「2つの世代が激しく言い争ったり、どちらが真実に近いかを決めたりする設定は、コメディにとって普遍的な要素なんですよ」

ーー今回オーウェンは主演の他にプロデューサーにも名を連ねています。そこまで作品に深く関わろうと思った理由は?

オーウェン「主人公のセカンドチャンスというアイデアが気に入ったからです。さらに“誰かに信頼してもらう”状況が感動的だったから。僕自身、過去を振り返っても、相手に信頼を寄せると、そこから大きな恩恵が生まれる事実を信じてきました。たとえばクルマの運転を練習していた時、神経質な父が指導するとミスばかりしていました。彼の強烈なエネルギーに押しつぶされたからです。でも優しい祖母が教えてくれる場合、僕が何をやっても許してくれたので、運転もうまくいきました。そういう感覚を本作に重ねた気がします」

ーーでは最後に、1日だけキャディを任されるとしたら、誰を選びますか?

オーウェン「今回、作品に出演してくれたプロゴルファーがたくさんいるので、1人を選ぶのは心苦しいですが、ローリー・マキロイですかね。僕と同じアイルランド系なので応援したくなるんです。あとはオバマ元大統領のキャディも楽しいかも。“おい、オバマ! そこだ、行け!”とか叫ぶことができるから(笑)」

ジュディ「私のまわりでゴルフをやっているのは、ジェシカ・ビール(俳優)くらいなので彼女のキャディをやってみたい。彼女はクールだし、ゴルフについていろいろ学べそう」

オーウェン「オバマのキャディの方が学べることが多いんじゃない?」

ジュディ「そうね。“ゴルフこそ人生だ”という例えが真実なら、オバマのゴルフこそ見てみたいかも(笑)」

Apple TV+『スティック』
Apple TV+にて6月4日(水)より配信開始!
 
  

 

 
取材・文=斉藤博昭 text:Hiroaki Saito
画像提供 Apple TV+
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