【映画まとめ】クエンティン・タランティーノが手がけた作品10選!
『Safari Online』で配信してきたクエンティン・タランティーノのが手がけた作品をまとめてご紹介!
『トゥルー・ロマンス』
製作年/1993年 監督/トニー・スコット 脚本/クエンティン・タランティーノ 出演/クリスチャン・スレーター、パトリシア・アークエット、ブラッド・ピット
ブラピが飄々としたアドリブ演技で魅了する!
クエンティン・タランティーノの脚本を、名匠トニー・スコットが緩急鋭く味付けした異色のラヴストーリー。主人公クラレンス(クリスチャン・スレーター)はサニー千葉作品3本立ての映画館で、やや天然なコールガールのアラバマ(パトリシア・アークエット)と意気投合し結婚を誓う仲に。その後、彼女のヒモ男をぶち殺し、コカイン入りのカバンを持ち帰ったことで事態は急展開を迎えるのだが……。
我らがブラッド・ピットは、主人公の親友のルームメイトという、いわゆる物語の中心からはやや外れた脇役として登場。でもソファの上で常に意識が朦朧としていて、一つ間違えると何をしでかすかわからない危なっかしさも併せ持つ。一説では、ブラピはこの飄々と掴みどころのないキャラをほぼアドリブで演じたというから、タランティーノ世界とのシンクロ率はなかなかのものだ。のちに『イングロリアス・バスターズ』(2009年)、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(2019年)へと続く二人のコラボの出発地として見逃せない。
『パルプ・フィクション』
製作年/1994年 原案・監督・脚本/クエンティン・タランティーノ 出演/ジョン・トラヴォルタ、サミュエル・L・ジャクソン、ユマ・サーマン、ブルース・ウィリス
映画界を変えたタランティーノの出現!
90年代、映画の世界を革新した才能といえば、クエンティン・タランティーノ監督だろう。『レザボア・ドッグス』で注目され、この監督2作目でカンヌ国際映画祭の最高賞、パルムドールを受賞。映画のスタイルが何もかも独創的で“新しい映画”を体験する感覚をもたらしてくれた。ダイナーで、何やらダラダラと会話を続けていた2人が、いきなり犯罪行為で暴走化する。そんなオープニングから、劇的な事件が起こったり、あるいは意味不明だけど楽しそうな会話が続いたり……と、時制も場所もフラッシュされて、複数のエピソードが交錯していく。
ボスの情婦と一夜を共にすることになるギャング、ボクシングで八百長試合を頼まれるボクサーなど、出てくるキャラクターはすべて濃密な香りを漂わせ、俳優たちもリミッターを外したかのようにそれぞれの役で怪演をみせる。なかでも当時、キャリアが低迷していたジョン・トラヴォルタは本作で見事に復活。彼とユマ・サーマンが踊るツイストや、サーフミュージックとして知られる曲『ミザルー』のクールな使われ方など、強烈に記憶にやきつくシーンも多数。そしてタランティーノの代名詞となったバイオレンスでも圧倒する。革新性とインパクト、そしてスタイリッシュな魅力で90年代の頂点に立つ一本だ。
『フォー・ルームス』
製作年/1995年 監督/アリソン・アンダース、アレクサンダー・ロックウェル、ロバート・ロドリゲス、クエンティン・タランティーノ 出演/ティム・ロス、アントニオ・バンデラス
ホテルでの宿泊にご注意を!?
大晦日の夜、LAにあるホテルが舞台。勤務初日のベルボーイ、テッド(ティム・ロス)がさまざまな騒動に巻き込まれていく。全4話から成るオムニバス形式の中、第1話に登場するのは謎めいた女性たち。なぜかハネムーンスイートに泊まる彼女たちの目的は、偉大な魔女を復活させることで…!?
テッドが思わぬ形で彼女たちに協力する第1話に続き、彼が宿泊女性の浮気相手に間違われる第2話、客の子供たちの世話をすることになる第3話、そして意外な結末が訪れる第4話と、トホホな大晦日に悪戦苦闘するベルボーイと宿泊客たちの“交流”が愉快。「こんな大晦日は嫌だ!」な面白おかしさを、クエンティン・タランティーノら4人の各話監督が茶目っ気たっぷりに突きつけてくる。
『フロム・ダスク・ティル・ドーン』
製作年/1996年 監督/ロバート・ロドリゲス 脚本・出演/クエンティン・タランティーノ 出演/ジョージ・クルーニー、ハーヴェイ・カイテル
ジョージ・クルーニーがテレビスターから映画へと進出!
『ER緊急救命室』のロス先生として大ブレイクした後の初主演映画。脚本は出演もしている奇才クエンティン・タランティーノ。『エル・マリアッチ』『デスペラード』で注目された、当時、新進気鋭のロバート・ロドリゲスが監督を務めたクライムアクション……と思いきや、途中からいきなりヴァンパイアホラーに華麗に転換するという斬新さが面白い1本。
銀行強盗を繰り返しながら逃亡し、メキシコ国境の怪しげなナイトクラブまでやってきたクルーニー演じる兄と、タランティーノ演じる弟のゲッコー兄弟。しかしそこはヴァンパイアの巣窟で、セクシーなダンサーたち(サルマ・ハェック様がダイナマイト級の美しさ)が突如牙をむき大パニックに!
目の前で繰り広げられる血の饗宴に、ゲッコー兄弟と、人質の牧師(ハーヴェイ・カイテル)とその子どもたちが立ち向かう。タランティーノらしいトークもハチャメチャ展開も血みどろアクションもごった煮のうま味MAX、クセになる1本だ。牧師の娘を演じたジュリエット・ルイスがかっこいい。
『ジャッキー・ブラウン』
製作年/1997年 原作/エルモア・レナード 監督・脚本/クエンティン・タランティーノ 出演/パム・グリア、サミュエル・L・ジャクソン、ブリジット・フォンダ、マイケル・キートン
ロケ地のセレクトが抜群!
国内便のキャビンアテンダント、ジャッキー・ブラウンは、武器密売人オデールの裏金を運ぶ仕事で安月給を補っている。ある日、彼女はオデールの逮捕を目論む捜査官に捕まってしまい、裏金の運搬を見逃す代わりに捜査への協力を求められる。冷酷なオデールは、ミスには容赦しない。逆境の中で、ジャッキーは保釈金融業者マックスの協力を得て、オデールから大金を強奪して逃亡するという一世一代の賭けに打って出る。
8歳の頃からロサンゼルスで暮らしているクエンティン・タランティーノは、キャリアの前半に『レザボア・ドッグス』をはじめ、この地を舞台にした作品を連打してきたが、本作もそのひとつ。主に彼が育ったサウスベイで撮影が行なわれた。ジャッキーが大金受け渡しのために乗りこんだデル・アモ・ショッピング・センターをはじめ、生活感を匂わせるロケ地のセレクトが妙味。
『キル・ビル』
製作年/2003年 監督・脚本/クエンティン・タランティーノ 出演/ユマ・サーマン、ルーシー・リュー、ダリル・ハンナ
気持ちを高めるなら、コレ!
妊娠をきっかけに裏社会から足を洗った史上最強の殺し屋ザ・ブライド(ユマ・サーマン)は幸せな結婚式を待ち望む中、ボスだったビル(デビッド・キャラダイン)たちの襲撃を受ける。
結婚相手も身ごもっていた子供も殺され、自らも重傷を負った彼女は4年後、昏睡状態から目覚め、ビルへの復讐を開始することに……。
鬼才クエンティン・タランティーノが映画への愛を炸裂させながら、悲劇に見舞われたヒロインの壮絶な復讐劇を描写。その壮大さから『Vo.1』『Vo.2』の2作構成となり、リベンジ映画といえばコレ! といえるほどの人気を誇り続けている。
黄色のトラックスーツに身を包んだザ・ブライドが、あるときは日本刀で、またあるときはナイフでターゲットを1人1人仕留めていく展開が痛快。梶芽衣子の歌う“怨み節”が、エンディングでインパクトを放っているのもそそる。
『イングロリアス・バスターズ』
製作年/2009年 製作・監督・脚本/クエンティン・タランティーノ 出演/ブラッド・ピット、メラニー・ロラン、クリストフ・ヴァルツ
映画館を舞台にした復讐物語!
舞台は1940年代、ナチス占領下のフランス。ナチスに家族を惨殺され、その魔の手から逃げた少女ショシャナは名を偽り、映画館の経営者となっていた。ドイツ軍は彼女の映画館で、プロパガンダ映画のプレミア上映を決定。そこには親の仇であるランダ大佐らナチスの高官が集まるという。ショシャナはこの機を利用して復讐を決意。一方で、ユダヤ人からなる、ならず者部隊も、ナチスをせん滅するために上映に潜入する作戦を実行に移す……。
鬼才クエンティン・タランティーノが構想に10年以上を費やした戦争アクション。第二次世界大戦を題材にとり、史実を大胆に脚色しながら、ナチスと戦う人々の群像を描く。ショシャナが“映画館”という建物を武器にしてナチスへの復讐に挑む、そんな展開にタランティーノの映画愛がにじみ出て、興味深い。アカデミー賞では8部門にノミネートされ、ランダ大佐役のクリストフ・ヴァルツが助演男優賞を受賞。
『ジャンゴ繋がれざる者』
製作年/2012年 監督・脚本/クエンティン・タランティーノ 出演/ジェイミー・フォックス、レオナルド・ディカプリオ、クリストフ・ヴァルツ
奴隷が賞金稼ぎに転身する妙味!
1858年、黒人が奴隷として虐げられていた時代のアメリカ。奴隷のジャンゴは、奴隷制度を憎む凄腕の賞金稼ぎ、シュルツに買われて彼の相棒となる。お尋ね者の奴隷商人たちを仕留めた彼らはジャンゴの希望で、奴隷として売られた彼の妻を取り戻そうとする。ジャンゴの妻は、カルビンという冷酷な農場主の下で労働を余儀なくされていた。シュルツとジャンゴはカルビンに接近するが、この救出劇は多くの犠牲を払うことになる。
鬼才クエンティン・タランティーノによる大作ウエスタン。黒人奴隷が数奇な運命によって賞金稼ぎとなる意外な展開もさることながら、バイオレンスの激しさやユーモアもタランティーノ作品らしい。タランティーノは本作で2度めのアカデミー脚本賞を受賞。ジャンゴにふんしたジェイミー・フォックスや悪役レオナルド・ディカプリオなど、俳優陣のアクの強さが、とにかく光る!
『ヘイトフル・エイト』
製作年/2015年 監督・出演/クエンティン・タランティーノ 出演/カート・ラッセル、ジェニファー・ジェイソン・リー、ウォルトン・ゴギンズ
雪は逃げ場さえも奪う!
舞台は19世紀、南北戦争の終結から数年を経た米ワイオミング州。一台の馬車に相乗りした、ふたりの賞金稼ぎと、捕まった女性のお尋ね者、略奪団の男が、迫りくる猛吹雪を避けるため、雪深い山小屋に身を寄せる。そこにはカウボーイや元軍人らが、同じく吹雪を避けて身を寄せていた。いずれもひとクセもふたクセもあるアウトローぞろい。やがて彼らの秘密や、ここに来た真の目的が明らかになり、血の雨が降る……。
鬼才クエンティン・タランティーノが『ジャンゴ 繋がれざる者』に続いて手がけた西部劇。人里離れた山小屋に居合わせる8人は、いずれも腹に一物ある者ばかり。いがみ合いの果てに銃を向け合い一触即発状態になるのは当たり前。こっそり毒を盛って抹殺を企む者まで現われるのだから油断大敵だ。もちろん、外は猛吹雪なので逃げ場があるはずもない。獰猛な悪党たちの群れの中で、生き残る自信はあるか!?
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』
製作年/2019年 製作・監督・脚本/クエンティン・タランティーノ 共演/レオナルド・ディカプリオ、マーゴット・ロビー、エミール・ハーシュ
ブルース・リーと戦うブラピ!
タランティーノがハリウッドへの果てしない愛を捧げた映画なので、オタク要素は満載。けれども、映画マニアでなくても入りこみやすい内容。ただ、ひとつだけ観る前に押さえておきたいのが、シャロン・テート殺害事件。当時、気鋭の監督だったロマン・ポランスキーの妻で新進女優だったシャロンが、カルト集団によって惨殺されてしまう。それにより、ハリウッドのムードが一変。果たしてタランティーノはそれをどう描くのか? 本作ではシャロンも登場し、その隣人がディカプリオ演じるスター俳優リック(架空の人物)。そんな設定になっている。
CGやセットを極力使わずに再現した1969年のLAの街並みやカルチャーは必見。さらにブルース・リーとブラピが闘うなど、見どころの連続だ。なかでも最大のポイントは、やはり2大俳優の輝きだろう。ピークをすぎた俳優リック役を味のある演技で表現するディカプリオもいいが、とにかくかっこいいのがブラピ。武骨なキャラ、クリフ・ブース役は彼のキャリアでも最高といってもおかしくない。スタントマンとしての身体能力や怖いもの知らずなタフガイぶり、はたまた愛犬とのやりとりなど、実に男らしくてチャーミングなのだ。この役でオスカーを獲得した。
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photo by AFLO