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CULTURE カルチャー

2023.01.02

アノ映画のファッションに憧れて。Vol.12
『大脱走』のスウェットシャツ

 

 

ヒルツ(スティーヴ・マックイーン)

戦争があり、ナチスがいて、捕虜たちが収容所からの脱走を画策している。それも脱走計画に参加するのは総勢250人。『大脱走』(1963年)というタイトルはまさに映画の中身に相応しいわけで、今でも同作は歴代のハリウッド娯楽大作の中でも一際高い支持を得ている。とにかく、何度観ても面白いのだ。

ファッションというテーマで切り取ると、アメリカ軍航空大尉、バージル・ヒルツを演じるスティーヴ・マックイーンの掟破りとも言えるスタイルが斬新でカッコよくて、涙が出てくる。収容所の仲間たちがとりあえず塀の中で大人しくしているのを尻目に、グローブを片手に屋内キャッチボールを止めないヒルツのトレードマークは、レザーのフライトジャケットの下に着ているブルーのスウェットシャツ(クルーネックでラグランスリーブ)と、カーキ色のチノ、そして、M-43ラフアウトサービス・ブーツだ。 

 
 




なかでも注目のアイテムはスウェットシャツ。他のイギリス兵捕虜たちの多くが軍服の下にウール素材のセーターを着ているのに対して、なぜヒルツだけがコットンのスウェットだったかと言うと、1920年代にアメリカで発明されたスウェットシャツは、その機能性から軍用のトレーニングウェアとして採用されたばかりで、米軍パイロットのヒルツは”Made in USA”の広告塔も果たしていたからだ。さすがにハリウッド!
 

 


映画の後半、ヒルツは脱走中にドイツ兵から奪い取った軍服を脱ぎ捨て、スウェットシャツ1枚になってバイクに跨り、敵を翻弄しまくる。最後は丘の上の鉄条網を越えられず、あえなくギブアップとなるが、彼の不屈の精神はスウェットシャツと、マックイーンのブルーの瞳に象徴されている。
 

 


ちなみに、当時駆け出しのアクションスターだったマックイーンは、すでに”どんな場面でも場をさらうヤツ”との評判が業界に定着していた。スクリーンだけではない。オフの時も『大脱走』が撮影されたドイツ、バイエルン警察にスピード違反で何度も逮捕され、6台以上のクルマを壊したという記録が残されている。
 

 


そして、マックイーンが世に広めたスウェットシャツは、日本のメーカー、トイズマッコイが発売した復刻モデルにインスピレーションを与え、イーストマンレザー社はフライトジャケットをコピーしてセールスに繋げている。彼が映画を介して発信した人気アイテムはその後も次々と登場するが、それは、またの機会に。
 

 
『大脱走』
製作年/1963年 原作/ポール・ブリックヒル 製作・監督/ジョン・スタージェス 出演/スティーヴ・マックイーン、ジェームズ・ガーナー、リチャード・アッテンボロー
 

 
文=清藤秀人 text:Hideto Kiyoto
photo by AFLO
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