誰も信じてくれない恐怖からの逆転劇!『リチャード・ジュエル』
「この監督に、絶対に失敗作はない」。この法則を実証してくれる一人が、クリント・イーストウッドだ。なんと今年の5月で90歳! しかし監督業への意欲は衰え知らず。本作を観れば、相変わらずのハイレベルに惚れぼれしてしまうはず。実話ならではの衝撃。かといって重くなりすぎない。エンタメとしてのテンポのよさと、ポイントでの興奮と感動が絶妙にブレンドされている!
- SERIES:
- 今週末は、この映画に胸アツ!
- TAGS:
- Culture
『リチャード・ジュエル』
胸熱なポイントは?
無実の男が巨大権力と戦う姿に胸熱っ!
舞台は1996年、オリンピック開催中のアメリカ・アトランタ。音楽イベントで警備員として働いていたリチャード・ジュエルは、ベンチの下に不審な荷物を発見する。マニュアルに従ってまわりの人々を誘導したところ、荷物が大爆発。
一度はリチャードが英雄となるが、FBIは彼を容疑者にしてしまい……。不審物の第一発見者だし、確かにリチャードの言動に怪しいなにかを感じてしまう人がいるかも。“なんとなく”な空気で、無実の男に濡れ衣が着せられる社会を、イーストウッドが克明に描き出していく。
ぽっちゃり体型で、どこか頼りなさそうだが、妙に気がきいて、正義感も強い。そんなリチャードは、映画的に愛すべきキャラ。そのせいかシリアスなはずの映画が、ほんわかと軽やかな空気に包まれていく。このあたりもイーストウッドの名人芸!
リチャードを支える母親、弁護士とその秘書にもグッとくる見せ場を作っているし、アクション場面の盛り上げ方も見事。観ているこちらのアドレナリンを上げてくれる。メリハリの効いた展開で、最後まで飽きさせない。そんな“映画の見本”といえる1本だろう!
『リチャード・ジュエル』
製作・監督/クリント・イーストウッド 出演/ポール・ウォルター・ハウザー、サム・ロックウェル 配給/ワーナー・ブラザース映画
2019年/アメリカ/上映時間131分
1月17日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー
©2019 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED, WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC