85年の大ヒット曲『テイク・オン・ミー』の有名バンドは不仲だった!?『a-ha THE MOVIE』
- SERIES:
- 今週末は、この映画に胸アツ!
- TAGS:
- 今週末は、この映画に胸アツ! Culture Cinema
耳に入ってくるだけで自然とテンションが上がる曲がある。時代を経ても、そんな感覚を引き起こし、聴き継がれるのが名曲なのだが、1985年、世界的に大ヒットした『テイク・オン・ミー』は、まさにその好例ではないだろうか。
『テイク・オン・ミー』は、ノルウェー出身のポップグループ「a-ha(アーハ)」の曲。そのバンド名も一度聞いたら忘れられないインパクト。英語には“aha moment”“aha experience”のように、未知の何かにハッとさせられ、瞬間的に理解する際に使われるが、1985年当時、彗星のごとく現れた彼らにぴったりなネーミングである。そのa-haの軌跡を追ったのが本作。1982年、オスロで3人のメンバーによって結成され、世界的なバンドを目指すために彼らは自力でロンドンへ出発。そこから3年後の『テイク・オン・ミー』の大ヒットまでは意外なエピソードも多く、けっこう苦節の日々だったこともよくわかる。『007』映画の主題歌などで世界的人気を得た後、90年代からはソロ活動も多くなり、2010年に解散。さらに再結成してからの現在まで、この作品は克明に描いていく。
『テイク・オン・ミー』は曲自体はもちろん、ミュージクビデオも話題になった。a-haのメンバーが実写からシンプルな線画のアニメに変わり、現実とファンタジーの世界を行き来する斬新なスタイルは、後の映画やCMにも多大な影響を与えた。この演出が、本作の中でもあちこちで使用される。ドキュメンタリーとして、映像だけでもなかなかカッコいい。そして驚くのは、3人のメンバーの本音が、これでもか、これでもかと発せられる部分。もともとスポットライトが当たることを苦手にしていたメンバーもいたりして、バンド内に深まる溝や、方向性の違いが浮き彫りになり、それでも再結成を決意した心境に心が揺さぶられる。日本でのツアーなど貴重な映像の数々とともに、フィクション以上に劇的な人気バンドの真実が見えてくる一作だ。
『a-ha THE MOVIE』
製作・監督・脚本/トマス・ロブサーム 出演/モートン・ハルケット、ポール・ワークター=サヴォイ、マグネ・フルホルメン
2021年/ノルウェー・ドイツ/上映時間112分
(c)MOTLYS, FENRIS FILM, KINESCOPE FILM, NEUE IMPULS FILM 2021