選ぶ意味がある後輪駆動!〈ポルシェ〉タイカン
ハッピーメリークリスマス! と浮かれていつつも、もう少しでいよいよ2021年もクライマックス。というわけで、“クルマニア”的に今年を振り返ってみると、やはり欧州各社の“電動化”が助走から離陸に切り替わった、という感じかも。そんな中、このクルマもラインナップがついに出揃って来た。〈ポルシェ〉タイカンだ。
- SERIES:
- 話題のクルマを品定め!
- TAGS:
- 話題のクルマを品定め! Cars
2019年にデビューした〈ポルシェ〉初のフル電動スポーツモデル・タイカンには、パワートレーンでいえば、これまで“4S”“ターボ”“ターボS”という4WDモデルがラインナップされていた。これらはもちろんパフォーマンスもド級なぶん、お値段もそれなりにド級。いくら〈ポルシェ〉だといったって、いきなりEVにそんなお金をつぎこむのはちょっとチャレンジング……と思っていた人もいるだろう。
しかし、今年追加されたベースモデルとも呼べる、その名も“タイカン”は、なんとお値段1203万円から。〈ポルシェ〉のほかのラインナップを見渡してみても、そんなに驚くようなプライスタグじゃない。「もしかしてこれなら……」という諸兄に変わってテストドライブをしてきたので、さっそくご覧いただきたい。
さてこのタイカン、ほかのモデルと大きく違うのはFRDだということ。つまり、廉価なだけではなく、ちゃんと選ぶ理由があるということになる。電動の鮮烈なトルクを後輪駆動で味わえるなんて。ちょっと上級者向けのパッケージすぎるみたいな気がして、ドアを開ける前からワクワクが止まらない。
しかし、いざ街で乗り出すと、走り出しは意外なほどにジェントルだ。「ぎゅん!」とカラダをシートに押しつけられるような飛び出し感もないし、トルクに振り回されるような粗雑さは微塵も感じられない。そう、タイカンは意外なことに、市街地試乗ではとっても静粛性の高い“高級車”の横顔を見せてくれたのだった。
しかし、これは決して愚鈍とかモタつくとか、ダルだとかそういうことではない。事実、このモーターの、レスポンスの速すぎるトルクに慣れてしまうと、内燃機関のクルマの加速がまるでスローモーションみたいに感じられてしまうほどなのだ。つまり、絶対速度は全然遅くない、ということ。つまりバッテリーEVならではの重量で、加速の際にピッチングが起こりにくいがゆえに、速度を感じにくいとでもいおうか。この紳士的な加速、実に0-100km/hで5.4秒(ローンチコントロール時)。ね、遅いわけはないのだ。重量=質感の、高級車の法則のなせるワザ、というわけだ。
速度に乗ったあともローンチコントロール時で300kW/ 408psの最高出力はダテじゃない。高速道路では、再加速のときもどこまでも深くその場から(!)トルクが泉のように湧き出るし、一切の息切れもないままにパワーが連続するのは圧巻だ。さらにここに後輪駆動のハンドリングが加わると、ほかのモデルにはない軽やかなコーナリングも楽しめるということになる。
シンプルながら先進的なインターフェースも電動モデルならでは。2022年はEVライフを〈ポルシェ〉からはじめるなんていうのはどう?
★DATA 〈ポルシェ〉タイカン
●全長×全幅×全高:4963×1966×1395mm
●車両重量:2050kg(DIN)
●ホイールベース:2900mm
●航続距離:354~431km
●最高出力:240kW(326PS)/ローンチコントロール時オーバーブースト出力300kW(408PS)
●駆動方式:後輪駆動
●税込み価格:1203万円
ポルシェコンタクト
TEL:0120-846-911