〈アンティカ・ブラチェリア・ベッリターリア〉の"牛ステーキ"
〈あつあつリ・カーリカ〉を筆頭に、学芸大学、都立大学に3店舗のイタリア酒場を展開する堤亮輔シェフ。総勢17人のスタッフとともに、街の夜を盛り上げながら、都内、全国各地へインプットのための食べ歩きを欠かさないシェフのお気に入りとは?
- SERIES:
- 注目シェフが教える感動の「名店メニュー」 vol.10
処女牛の炭火焼きステーキ(2名~。1名2800円、税込み)
厳選した黒毛和牛A 4ランクの処女牛の肉を使用。肉質がきめ細やかで歯切れがよく、豊かな脂は雑味なく、和牛のピュアな旨みをそのままダイレクトに味わえる。ドライトマトとマスタードベースのペーストと塩を添えて
オススメしてくれたのはこの人!
〈あつあつリ・カーリカ〉堤亮輔シェフ
気軽な酒場スタイルでイタリアンを身近に
ナチュラルワインを主力とし、イタリアの味をベースにした小皿料理とカジュアルに楽しめる。スタッフとともに毎年イタリアにも足を運び、ワイナリーやレストランを訪ねて、店の味をアップデイト。ワイン輸入業者や生産者からも信頼が厚く、生産者来日イベントなども開催。
住所:東京都目黒区鷹番2-20-4 x18:00~24:00(L.O)
営業時間:18:00~24:00(L.O)
休日:不定休
TEL: 080-4858-2233
堤シェフ
見た目は豪快、味わいは繊細。炭が香る一品
先輩シェフにはかわいがられ、後輩料理人からも慕われる"愛されキャラ"の堤亮輔シェフ。飲食店へ出かけるのは「人に会うため」と、話す。
「先輩料理人からお誘いいただけば可能な限り出かけるし、知人の店にもなるべく顔を出す。先輩たちと一緒なら学びは多いし、どんな店でも必ず得るものがある。お客様とご一緒し、飲食業界以外の方と知り合う機会も大事にしています」
モットーは"人の繋がりを大切に"。目黒、世田谷界隈の同世代の料理人たちとタッグを組み、ゲスト参加型のイベントを4年来続けているが、井上裕一シェフは、そのメンバーのひとりだ。
「仲間だからという理由ではなく、なにかと足が向く店。炭火でじっくり、休ませながら焼く処女牛ステーキは、豪快な見た目とは裏腹、しっとり繊細な味で、何度食べてもしみじみ旨いなぁ、となる。料理やワインにかける想い、自分のスタイルを貫く姿からも刺激を受けています」
井上シェフ
肉の状態に応じ休ませる時間で火を入れる
脂身の少ない、赤身肉全盛の時代に、あえて黒毛和牛を扱う井上シェフ。
「やはりサシが入った和牛ならではの旨みはあるし、お客様のニーズもある。部位選びや切り方、焼き方次第で、脂の甘み、旨みをしっかりと出しながら、しつこさのない味に仕上げることができます」
第一のポイントは、肉の厚みだと話す。大きく切り出した塊肉に、約40〜50分間かけて、休ませながら炭火でじっくり火を入れることで、余分な脂を落としつつ、旨みをぎゅっと閉じこめる。
「だからオーダーは、2名様分からお願いしています。同じg 数や厚さでも、サシの入り方で火の入り方が微妙に異なる。炭火焼きというプリミティブな調理法は、気温や室温の影響も受けやすいので、個体差の見極めが重要。炭火でしっかり香りを付け、休ませている間にじっくり火を入れるイメージで焼いています」
香り高く味に凝縮感があり、後味は軽やか。上質な黒毛和牛の旨さを味わえる。
Check1 5㎝以上の厚さ
時間をかけて段階的に火を入れるためには、肉の大きさが極めて重要。2人分で約200gの量、厚さは5㎝以上にカットした肉を、冷えた状態から焼きはじめるのがポイント
Check2 休ませつつ火入れ
炭火で香ばしく焼き目をつけて、50℃前後に保たれたヒートランプの下で休ませている間に余熱で火を入れるイメージ。サシの入り方次第で、この火入れ時間を微調整していく
Antica Braceria Bellitalia[アンティカ・ブラチェリア・ベッリターリア]
品川のイタリアンの名店〈アロマクラシコ〉で料理長を務めた井上裕一シェフが2012年にオープン。"ブラチェリア"は、イタリア語で炭火焼き料理店のことで、処女牛のステーキがスペシャリテだ。2019年10月からメニューを"レジョナーレ"と"ベッリターリア"に分け、レジョナーレでは修業先の北イタリアを中心とした現地の郷土の味を忠実に再現。ベッリターリアでは日本の旬を取り入れた自由な表現でひと皿を作り上げる。7月には不動前にワインショップ〈ワインマン〉も開業。山形でワイン醸造も手掛ける。
厨房に面したカウンターのほか、テーブル席も
ワインも井上シェフのセレクト。伝統派からモダンな造り手まで幅広い
手打ちパスタより、焼き穴子と魚醤バターのオレキエッテ。2000円(税込み)
井上シェフ。2年に一度はイタリア研修へ。今年9月は3週間、北イタリアを中心に旅をした
●Antica Braceria Bellitalia[アンティカ・ブラチェリア・ベッリターリア]
住所:東京都都目黒区下目黒 3-4-3 1F
営業時間:11:30~14:00(L.O)、18:00~23:00(金曜~深夜)
休日:日曜、不定休
TEL:03-6412-8251
雑誌『Safari』1月号 P240・241掲載
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photo : Jiro Otani text : Kei Sasaki