定番にして流行りの“MA-1”は
ディテールを押さえて買うべし!
現在の1990年代ストリートリバイバルによって、ブーム的に復活した“MA-1”。意外にも息が長く、今となってはすっかり定番化。折しも、今シーズンはショートレングスのブルゾンが人気ということもあって、再び気になる存在になっている。ということで、おさらいするにはいい機会。そもそも、トレンドを問わない名作とあって、MA-1に関するアレやコレやを知っておいて損はナシ。最近は変形系デザインが多く出ているけど、それも“MA-1”と呼べるディテールを知ってこそ!
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アメリカ軍のフライトジャケットにおいては、A-2やB-10、G-1やB-6といった名モデルがいくつも存在する。が、一般にまでポピュラーなモデルといえば、やっぱりMA-1。MA-1は、第2次世界大戦後に訪れたジェット戦闘機時代に登場したフライトジャケットB-15シリーズの系譜を継ぐモデルとして、’50年代に正式採用された。大抵、ミリタリーものは改良が頻繁に繰り返され早々に過去のモデルとなるものだが、MA-1はマイナーチェンジを繰り返しつつもその完成されたスペックとデザインから、’70年代まで採用され続けるという極めて異例のモデルとして知られている。そしてその完成度は、ファッションアイテムとしても人気を獲得することに。
日本においては、1980年代にブームを迎える。1986年に公開された映画『トップガン』で、トム・クルーズ演じる凄腕戦闘機パイロットのマーヴェリックが着たG-1が人気を集め、それに引っ張られるようにMA-1人気に火がついたのだ。そのことから『トップガン』=MA-1と思いこんでいる人が結構いるが、実は劇中ではMA-1は出てこないのであしからず。
先述したとおり、MA-1は7回のマイナーチェンジを行なっており、同じMA-1でも仕様が異なる。みなさんがご存知の緊急時に裏返して着るレスキューオレンジの裏地を配したモデルは、4回めのマイナーチェンジで登場したもの。また、フロントジップ横にある酸素マスクをクリッピングするためのオキシジェンタブは、初期の頃のモデルに見られる仕様。昨今様々なブランドでラインナップされているMA-1だが、それらディテールからサンプリング元をひも解くのも面白いかと。
[バズリクソンズ]
BUZZ RICKSON’S
7万5900円(バズリクソンズ/東洋エンタープライズ)
憧れスペック満載モデル!
初期モデルを、ヘビーナイロンツイルからオキシジェンタブ、クラウンジッパーなど、ディテールの各所まで忠実に再現したこちら。MA-1は約30年という長き採用期間によってバリエーションが多く存在するが、ミリタリー好きにおいてはこの初期型を好む人が比較的多い。特に同ブランドの1着は、いわゆるレプリカ系において日本屈指、いや世界屈指のクオリティ。
ジッパー付きのユーティリティポケット。ちょうどたばこが入る程度の大きさで、さらに4本のペンポケットも。各ポケット内には、ペン先保護用のキャップが。
脇下あたりには、機内通信システムのコードをとめるためのタブまでも。オキシジェンタブとともに、初期モデルの象徴的なディテール。
初期型の裏地は表と同じセージグリーン。中期になると避難時の救助の際に視認性を高めるレスキューオレンジが採用されるが、最後期のグランドクルー用MA-1は表地も裏地もオリーブ色となる。
[ホワイトマウンテニアリング]
WHITE MOUNTAINEERING
5万8300円(ホワイトマウンテニアリング)
武骨さとお洒落の絶妙な塩梅!
異素材によるレイヤードデザインで、ファッショナブルな1着へと仕上げたこちら。さらに、撥水性やストレッチ性といった、着心地のよさも楽しませてくれる。一方で、胸にはオキシジェンタブを。アームにはユーティリティポケットを配するなど、MA-1ならではのディテールをちゃんと踏襲。オリジナルにはないが、裾にドローコードを配するなど、ミリタリーらしい機能性をあくまで誇示している。
DEUS EX MACHINA
裏返すとこんな感じ!
2万9700円(デウス エクス マキナ/ジャック・オブ・オール・トレーズ プレスルーム)
やっぱりこんな1着!?
中期のMA-1で採用されたレスキューオレンジ。こちらはその色を変え、さらに大胆なワッペンカスタムによって、’90年代ストリートな1着へと仕上げている。一方、光沢感の強いブラックナイロンサイドは、いたってシンプルなワントーンに。胸のエンブロイダリーも同色。もう一方は、フロントだけでなくバックにもワッペンがびっしり。ドロップショルダーなオーバーサイズが、イマドキな雰囲気を楽しませる。
RAG & BONE
8万2500円(ラグ & ボーン/ラグ & ボーン 表参道店)
まさに大人MA-1のお手本的デザイン!
その名はボマージャケット。昨今は直接MA-1と言わずに、ボマージャケットもしくはボンバージャケットと表記することも。こちらはリサイクルナイロンを採用した、サスティナブルな1着。ライニングにレスキューオレンジを採用しているので、中期モデルをサンプリングしたことがわかる。中綿が薄手なので、着姿はスマート&スタイリッシュ。一方、2段リブの採用など、オリジナルへのリスペクトがチラホラ。
そういえば、本来なら今月には映画『トップガン マーヴェリック』が公開されるはずだったけど、残念ながら来年に延期に……。まぁ、それまではMA-1を着て、気分だけでも上げておくといいかも。いざ映画が公開された際には、どんなフライトジャケットが出てくるのかチェックしながら観るのも一興かと!
ジャック・オブ・オール・トレーズ プレスルーム
TEL:03-3401-5001
東洋エンタープライズ
TEL:03-3632-2321
ホワイトマウンテニアリング
TEL:03-6416-5381
ラグ & ボーン 表参道店
TEL:03-6805-1630
photo : Tomoo Syoju(BOIL) styling : Takumi Tagawa text : Masafumi Yasuoka