【第34回】年を重ねるに連れてクラシカルな魅力を発見! 万年筆は自分の成熟を測る羅針盤!
“スイスメイドの英国時計”という独創的なコンセプトの時計ブランドとして、存在感を放つ〈グラハム〉。マネージングディレクターとしてブランドを牽引するパトリック・ズィンも、万年筆ラバーのひとり。「40代になってから、万年筆のようなクラシカルな製品のよさがわかるようになった」と語るパ…
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- ビジネスエリートの愛する万年筆!
“スイスメイドの英国時計”という独創的なコンセプトの時計ブランドとして、存在感を放つ〈グラハム〉。マネージングディレクターとしてブランドを牽引するパトリック・ズィンも、万年筆ラバーのひとり。「40代になってから、万年筆のようなクラシカルな製品のよさがわかるようになった」と語るパトリック。その思いは腕時計の好みとも共通点があるようだ。果たしてその真意とは?
PROFILE
スイス出身。有名時計ブランドやライフスタイルブランド、アウトドアブランドなどで20年以上の実務経験を持ち、スイス、NY、上海を中心に国際派のビジネスマンとしてキャリアを築く。2015年、〈グラハム〉に入社し、国際セールス&マーケティングディレクターに就任。’16年にはマネージングディレクターに就任。趣味は、ファッションや旅行。そして、異文化に強い関心を持つ。イタリア国籍も保有している。
最愛の人への手紙
桃子、忠寛、ニコラスへ
みんなのおかげで、東京を堪能して心地よい時間を過ごすことができました! チームのエネルギーの高さと前向きな姿勢は素晴らしいと常々感じています。またみんなで集まれる日を楽しみにしています。
――パトリック
年を重ねてわかった万年筆の奥深い魅力!
「万年筆にはじめて触れたのは、小学生のとき。スイスでは文字の書き方を覚える段階で、万年筆を使う練習があるんです。もちろん、当時はうまく書けなかったので、手や紙を汚してばかりだったという苦い思い出ですね(笑)」
インタビューの開口一番、幼少時代の思い出を語ってくれたのが、〈グラハム〉のマネージングディレクター、パトリック・ズィン。その後、23歳になって自分自身の万年筆を手に入れたが、当時はまだ万年筆の魅力がわからなかったという。
「大学を卒業して、時計業界に入ったときのことです。両親がお祝いに万年筆を贈ってくれたんです。その気持ちは嬉しかったですし、所有する喜びもありました。しかし、20代前半という若さのせいでしょうか。当時はクラシカルなものよりも、モダンで先鋭的なものに興味がありました。しかも、その頃はオフィスにパソコンが導入されはじめた時代。PCを巧みに操れる男のほうが格好いいという風潮も強かったかもしれません」
そんなパトリックが、自身の変化を実感したのは40歳のとき。奥様が誕生日プレゼントに万年筆を贈ってくれたのだ。
「それが、今もずっと大切に使っている1本です。不思議なことに、その独特の書き味にかつてとはまったく違う感動を覚えました。同時に、こうしたクラシカルなものを所有し、身につけたりすることに喜びを感じるようになりましたね」
〈ファーバーカステル伯爵コレクション〉のデザインも、感性にフィットした。
「クラシカルな要素と個性的かつエモーショナルな要素が見事に融合しています。それは、偶然にも私自身が好んで身につけている〈グラハム〉の腕時計にも共通点があるのです。クラフトマンシップとモダンデザインのフュージョンという点は、私が好む腕時計と万年筆にどこか共通するものがあるのかもしれません」
年を重ね、自分らしいスタイルと万年筆の共通点を発見したパトリック。今後の人生もともに歩んでいくに違いない。
愛用の万年筆
プラチナコーティング 万年筆
ファーバーカステル伯爵コレクション
プラチナコートのコンビ!
高級家具に用いられる黒檀を胴軸に使い、金属の部分にプラチナコーティングを施すことでラグジュアリー感あふれる仕上がりに。全体をエレガントにまとめたデザインに対し、クリップ部分でキャラクターを際立たせたデザインバランスがパトリックの好みなんだとか。
プラチナコーティング 万年筆
ファーバーカステル伯爵コレクション
お気に入りのモデル!
同じコレクションに位置づけられる素材違いのモデルも所有している。これは胴軸の部分もプラチナコーティングで統一した作りで、どこか洗練されたメンズアクセサリーのような佇まい。右の万年筆と同じく、18金ペン先の極めてなめらかな書き味もお気に入りだ
手元やデスクまわりも
自分らしい世界観に!
COMPANY DATA
GRAHAM[グラハム]
時計通の心を掴む個性派ウォッチブランド
“クロノグラフの父”と呼ばれる英国人時計師ジョージ・グラハムの名を冠し、1995年にスイス人CEOのエリック・ロトが設立。万人受けよりも通に受けるタイムピースをモットーに、英国風のウィットの効いたクロノグラフなどで時計愛好家の心を掴んでいる。
雑誌『Safari』 12月号 P342・343掲載
photo : Mamoru Kawakami text : Takumi Endo