【まとめ】ハラハラドキドキの展開に血が騒ぐ!
怒涛のアクション映画100選!PART01
『Safari Online』で紹介してきた映画作品の中から、ハラハラドキドキのアクション映画に絞って再構成し、一挙ご紹介します!
『タイラー・レイク ―命の奪還―』
製作年/2020年 監督/サム・ハーグレイヴ 脚本/ジョー・ルッソ 出演/クリス・ヘムズワース、デヴィッド・ハーバー、ゴルシフテ・ファラハニ 配信/ネットフリックス
激しいバイオレンスアクションがストレスを解消!
クリスが演じるのは、アフガニスタンなどに出征経験のある傭兵タイラー・レイク。彼は世界各地の危険なミッションを依頼され、持ち前のパワーと完璧な計画で任務をクリアしていく。アクション映画の主人公としてパーフェクトすぎるキャラだ。
今回タイラーが請け負ったのは、誘拐された犯罪組織のボスの息子を救い出す仕事。舞台はバングラデシュのダッカ。少年の捜索と救出劇は、現地のギャングや警察をも巻きこみ、想定外の危険なレベルへと発展していく。撮影は実際にダッカとその周辺で行われたため、現地の空気感や匂いまでが伝わってきそうなリアル感。
最大の見どころは、タイラーの“強さ”だ。無敵の肉弾戦に、スナイパーとしての銃撃テクはスーパー級。さらに瞬発力もハンパなく、敵をバッタバッタと倒していく。
そのタイラーの活躍を追うカメラにもご注目。それが、中盤くらいに約10分間続くワンカット(に見える)シークエンスだ。カーチェイスにはじまり、入り組んだ集合住宅内へと続く敵との攻防で、タイラーとカメラが一体化。観ているこちらに圧倒的な没入感、臨場感を届けてくれる。
『ミッドウェイ』
製作年/2019年 製作・監督/ローランド・エメリッヒ 出演/エド・スクレイン、パトリック・ウィルソン、ウッディ・ハレルソン、豊川悦司、浅野忠信、國村隼
戦艦の間を飛行するダイナミックな映像に興奮!
1941年、日本軍のパールハーバー奇襲により、本格的な戦争になだれ込んだ日米両国。アメリカ合衆国軍はミニッツ大将を指揮官に、日本本土を爆撃開始。そして大日本帝国軍は連合艦隊司令官の山本五十六海軍大将を中心に次の一手を考える。アメリカ軍は情報戦で、日本が戦いを仕掛ける場所を、ハワイのミッドウェイ沖と確信した……。
ハリウッド映画なので基本的にアメリカ側の視点で、日本は“敵”として描かれると思いきや、意外や意外、豊川悦司、浅野忠信、國村隼という日本が誇る名優をキャストしただけあって、日本側の葛藤や決断もかなりドラマチック。ハリウッド映画によくある“なんちゃって日本”というムードはほぼゼロ!
戦闘アクションは圧巻の一言。エメリッヒ監督は当時の実際の戦闘機に据え付けられたカメラの記録映像を見たそうで、上空5000mから急降下して爆撃する感覚をパーフェクトに再現。
戦艦の間をダイナミックに飛行するその映像は、観る者のアドレナリンを上げまくる。アメリカの空母エンタープライズ、日本の戦艦大和、空母赤城など名だたる艦船は、外見はもちろん内観まで忠実なテイストで表現。人間ドラマに深入りせず、戦いの駆け引きとアクションに集中するのもエメリッヒらしい!
『オールド・ガード』
製作年/2020年 原作・製作総指揮/グレッグ・ルッカ 監督/ジーナ・プリンス=バイスウッド 出演/シャーリーズ・セロン、キキ・レイン、マーワン・ケンザリ 配信/ネットフリックス
不死身の肉体を持つ苦悩に、最後は涙!
シャーリーズが演じるアンディは、“不死”の肉体を持って生まれてきたという設定。戦いでケガをしてもすぐに治癒し、命を落とすことはない。何百年も生き続け、人類の歴史に“傭兵”として関与し、重要なミッションをこなしてきた。
“オールド・ガード”と呼ばれる不死身のチームは、新たにメンバー入りした軍兵士のナイルを含めて現在、4人。彼らは“死なない”という特殊な能力を持っているのだが、それ複製しようと、製薬会社が恐るべき陰謀を仕掛けてくる。
一見、スーパーヒーロー映画のようだが、描写は徹底してリアル。アクションとドラマのバランスも絶妙で、グイグイと作品世界に引きこまれる感覚を味わえる。
スリムなボディを生かした、流れるように美しいアクション。そして、男たちも率いて限界に挑むリーダーシップ。シャーリーズの性別を超えたかっこよさは、そのしなやかな動きを観ているだけで惚れぼれする! また新メンバーのナイル(こちらも女性)の無鉄砲な活躍にもテンションがアガるだろう。
そして、オールド・ガードたちの“永遠に生き続ける”という能力を持ったがための苦悩、これに関しても要所要所で語られ、その痛切さもビンビン伝わってくる。メリハリあるストーリー展開は、実に映画然としている。ちなみに、一瞬だけ登場する脇キャラも印象的なので、ご注目を。全体の流れから、シリーズ化の可能性も感じてしまうので、そんな想像力を広げながら楽しむのも一興だ。
『スノー・ロワイヤル』
製作年/2019年 監督/ハンス・ペテル・モランド 出演/リーアム・ニーソン、トム・ベイトマン、エミーロッサム、ローラ・ダーン
過激すぎるアクションと驚きの展開に大興奮!
復讐のために麻薬組織のボスに近づこうとする、除雪作業員ミルズ。犯罪小説を参考に相手を殺し、始末するという彼の行動はかなり強烈。けれども、それに輪をかけるように登場するキャラが超濃厚で、ハンパない個性派ばかり。さらにいちいち言うこと、なすことが極端。と、これほどクセモノが揃った映画も珍しい。たとえるなら、クエンティン・タランティーノの過激さと、コーエン兄弟のとぼけた味わいがミックスされた作風とでもいえようか。これは間違いなく映画ファンのテンションを爆上げする作品だ!
激しいバイオレンスや、目を覆いたくなる残虐描写が展開。当然、次から次へと人が死んでいくわけだが、その割には映画全体のムードは殺伐とはしていない。というのも、背景が雪に覆われた町なので、映像がやけに美しいし、ワルたちが雪で無邪気に遊ぶなど楽しいシーンが挿入されるからだ。さらに、「えっ?」と思わせる予想外の演出が、常に観る者を裏切っていくので最後の最後まで目が離せない。
『ザ・アウトロー』
制作年/2017年 製作総指揮・監督・脚本/クリスチャン・グーデガスト 製作・出演/ジェラルド・バトラー 出演/パブロ・シュレイバー、オシェア・ジャクソン・Jr、カーティス・“50セント”・ジャクソン
男っぽい匂いが全編にわたりプンプン!
ジェラルドが演じる役はLA郡保安局重犯罪特捜班のリーダー、ニック。この男、実に武骨! 犯人逮捕のためならなんでもやるタイプで、空気なんか全く読まない。まさに、“粗野であっても卑ではない”といったキャラなのだ。女性には絶対嫌われるだろうが、部下にとっては頼れる大将というわけ。
物語は、特捜班と絶対に捕まらないギャング団との熾烈な攻防戦が描かれるクライム・アクション。『ヒート』を彷彿とさせる銃撃戦など、男っぽい匂いが全編にわたりプンプン匂う骨太作品。命を賭けた男たちのぶつかり合いが見どころなのだが、ギャング団側のエピソードではクライマックスに向けた伏線が張られるなど、ヒネリの効いた仕掛けもある。
『ランボー ラスト・ブラッド』
製作年/2019年 監督/エイドリアン・グランバーグ 出演/シルベスター・スタローン、パス・ベガ、セルヒオ・ペリス=メンチェータ
容赦ない激しいアクションに血が騒ぐ!
アラバマの牧場で、友人の女性と、その孫娘ガブリエラと平穏な日々を送っていたランボー。しかし、自分の父を探しにメキシコへ向かったガブリエラが人身売買のカルテルにさらわれてしまい、ランボーは彼女を救い出そうとする。
これまでベトナムやアフガニスタン、ミャンマーと、実際に起こっていた紛争や戦争を背景に闘ってきたランボーだが、今回は若い女性たちの命を“物”のように扱う悪人どもに、怒りの鉄拳を撃ち下ろす。
ベトナム戦争によるPTSD(心的外傷後ストレス)に今も苦しんでいるなど、過激ヒーローの原点もしっかりドラマにこめられているし、“孤独に戦う”ランボーの姿が第1作を彷彿とさせるのだ。
ただし、さすがにランボーとはいえ、肉体的な衰えは隠せない。メキシコの凶悪な連中にボコボコにされるシーンもあり、そのぶん、シリーズの過去作以上に、悲壮感に共感できるのは事実。絶対的に形勢不利なシチュエーションに、いったいどうやって落とし前をつけるのか?
クライマックスのアクションにはランボーの頭脳戦も駆使されつつ、その激しさと容赦のなさは賛否を呼びそうなレベルだが、これもランボーらしいといえば、そのとおり。全体にどこか1980年代映画のノスタルジーも感じさせる本作。シリーズファンならエンドロールに心を揺さぶられるのは間違いない!
『エンド・オブ・ステイツ』
製作年/2019年 監督/リック・ローマン・ウォー 出演/ジェラルド・バトラー、モーガン・フリーマン、ジェイダ・ピンケット=スミス、ニック・ノルティ
容疑者となった主人公の諦めない不屈の精神!
シリーズ3作めの最大のポイントは、主人公であるシークレット・サービスのマイク・バニングが大統領暗殺の容疑者とされる展開。休暇中、湖で釣りを楽しむ大統領を、上空から無数のドローンが攻撃する。大統領は重体。生き残ったのがマイクだけ。そして彼が犯人だという証拠が“裏工作”されていた……。FBIからの追跡、陰謀を仕組んだ敵との闘いと、全体的にはオーソドックスな構成。けれども、そのテンポのよさと、要所の緊迫感あふれた演出で、アクション映画としての安定感はバッチリ! ラストまで飽きずに楽しめることは保証しよう。
大統領を襲う攻撃方法が最新のドローン爆弾。そしてアメリカ大統領選挙にロシアが関与した“ロシア疑惑”も物語に盛りこまれるなど、アクション、テーマとも、リアリティあふれる内容になっている。また、ついつい魅了されてしまうのが、マイク・バニングの男気と忠誠心。犯人と疑われながらも、真相を突き止めようと奮闘する姿には胸を打たれるはず。彼が肉体の衰えを自覚するエピソードが、これまた切実で……。最新のネタに、時代が変わっても古びないヒロイズムが合体したところが本作の魅力にほかならない。
『海底47m 古代マヤの死の迷宮』
製作年/2019年 監督/ヨハネス・ロバーツ 出演/ソフィー・ネリッセ、コリーヌ・フォックス、システィーン・スタローン
パニック映画らしいドッキリ演出が満載!
学校ではいじめに遭い、家庭では父の再婚相手とその娘、つまり血のつながらない姉との関係も微妙……。そんな高校生のミアが、義姉サーシャのイケてる仲間3人と、秘密の海底洞窟に潜る“ケープダイビング”を体験する。
しかし、マヤ文明時代に沈んだ遺跡が残るその洞窟が崩れ、脱出が困難に。酸素も残り少なくなる中、なんと人食いザメまで現れて……と、次々と起こる緊急事態は、いかにもパニック映画の王道。この作品、3年前に公開された『海底47m』のシリーズ続編。物語は無関係だが、メキシコが舞台で、主人公の姉妹がサメに襲われるという“世界観”は受け継いでいる。
遺跡の洞窟なので、とにかく狭い場所が多数。観ているだけで思わず息苦しくなる瞬間があるし、要所でドッキリ演出も用意され、この手の映画としては十二分に目的達成。
助かったと思ったら、さらなるピンチが訪れたり、自分勝手なヤツがとんでもない仕打ちを受けたりと、期待どおりの展開がむしろ楽しくなっていく。
キャストにも注目で、姉の役がジェイミー・フォックスの娘で、その友人がシルヴェスター・スタローンの娘。ハリウッドを代表する2大スターの二世が、海中で死闘を繰り広げる。そんな光景を目にするだけで、なんとも感慨深い!?
『トリプル・フロンティア』
製作年/2019年 原案・脚本/マーク・ボール 監督・脚本/J・C・チャンダー 出演/ベン・アフレック、オスカー・アイザック、チャーリー・ハナム、ギャレット・ヘドランド 配信/ネットフリックス
予測不能な犯罪劇にハラハラしっぱなし!
民間軍事会社に所属する主人公のポープ(オスカー・アイザック)が、ブラジルの麻薬王から大金を強奪しようとする物語。声をかけたのは、米陸軍特殊部隊時代の仲間。大金に目がくらんだ5人は、かなり強引といっていい作戦をはじめるのだが……。
『七人の侍』や『オーシャンズ』シリーズ、さらには『アベンジャーズ』シリーズなど、腕に自信のある者たちが“ワンチーム”になる設定は、それだけでテンションが上がる。本作もその流れを受け継いでいて、しかもヒーローではなく“アウトロー”の集団だというのが大きな魅力。大金を強奪する場面でも、それぞれ我が強い彼らのプライドがぶつかり合う。
そして、この映画、メインとなる強奪作戦自体だけでなく、その後のアドベンチャーも大きな見どころ。舞台はブラジルながら、撮影が行われたのはコロンビアやハワイ。
超絶景&特大スケールの山岳やジャングルをバックに、ヘリコプターまで駆使しながら、思わず息をのみ、叫びたくなるようなアクションが用意されているのだ。
5人の運命も予定調和じゃないので、サプライズも楽しめる。ちょいワルどころじゃない、ハイレベルなワルたちの犯罪アクション映画を是非!
『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』
製作年/2020年 製作・出演/マーゴット・ロビー 監督/キャシー・ヤン 出演/メアリー・エリザベス・ウィンステッド、ジャーニー・スモレット=ベル
女子たちの過激なアクションにワクワクが止まらない!
ハーレイ・クインは、あのジョーカーの元カノ。もともとは精神科医だったが、ジョーカーによって過激な悪女に変貌させられてしまった。とはいえ、今作にジョーカーは登場せず、彼と別れた後の物語が展開。
悪の組織が狙うダイヤモンドが少女に盗まれ、その少女とハーレイが出会ったことで、とんでもない攻防へとなだれこんでいく。全編、遊び心満点のビジュアルが展開。ピンクを基調にしたハーレイのファッションや、かわいい物で埋め尽くされた彼女の部屋。ペットのハイエナ(!?)に、コミックのような絵作り、ミュージカルへのオマージュなど、どれも観ていて素直に楽しめる。
肉体改造されているとはいえ、ハーレイのアクションは一流アスリートに近いリアル感。野球のバットを武器に暴れまわったりする姿は、豪快そのもの。冷静に観れば、その行為はほぼ犯罪なんだけど、彼女の強引な“基準”にだんだん感化されていくはず。この高揚感こそ、最大の魅力かも。
ハーレイと少女の関係を中心に、最初は敵対していた人物も含めて、女性キャラがひとつにまとまっていく姿は、まさに現在のハリウッドのトレンド。さらに思わずホロリとくる瞬間もあったりして、ハーレイのぶっとんだ言動と同じく、映画自体も予想の枠を軽々と突き破っていく。それが、快感!
『スペンサー・コンフィデンシャル』
製作年/2019年 監督/ピーター・バーグ 出演/マーク・ウォールバーグ、ウィンストン・デューク、アラン・アーキン 配信/ネットフリックス
熱血アクションに、とにかくテンションが上がる!
主人公は、5年の刑務所暮らしを強いられた警察官のスペンサー。出所後、もちろん復職できるわけはないのだが、持ち前の正義感に逆らえず、勝手に危険な事件の捜査に乗り出していく。
そんな設定自体、映画向き。しかも演じるのが、マーク・ウォールバーグ。カッとなったらすぐに手が出てしまうワイルドな性格で、しかも格闘能力は抜群。肉体派スター、マークにぴったりなうえに、彼の当たり役となった『テッド』のようなコミカルな魅力も今回のスペンサー役に加味。
無謀で強引なその行動やアナログな性格に、観ているこちらはアドレナリンが上がったり、思わず笑ってしまったりと、その配分が絶妙なのだ。
監督のピーター・バーグは、男くさいアクション映画が得意中の得意。これまで4本の映画でマークと組んでいるだけあって、スペンサーに共感させる演出がスムース。
相棒を演じるのが、初の映画出演である人気ラッパーのポスト・マローン。ややぎこちない演技も役柄にぴったりで、スペンサーとの微妙な距離感が、これまたいい感じ!
『1917 命をかけた伝令』
製作年/2019年 製作・監督・脚本/サム・メンデス 出演/ジョージ・マッケイ、ディーン=チャールズ・チャップマン、マーク・ストロング
命懸けで伝令を届ける若き兵士の使命感!
舞台はタイトルにあるとおり、1917年。第一次世界大戦で、1600人の仲間に作戦中止を知らせるため、2人の若きイギリス兵士が危険な戦闘区域を進んでいく。
息苦しい塹壕や、死体も転がる平原、敵が潜んでいそうな農家など、行く先々に危険が漂っているので、ワンカットの映像なのにまるで飽きさせない。しかも想像を超えた“瞬間”が何度も訪れるので、そのたびに主人公たちの気持ちになってドキドキし、驚き、激しく感極まってしまうのだ。
監督はサム・メンデス。実は前作『007 スペクター』でも、冒頭、メキシコシティでのジェームズ・ボンドのアクションを、信じがたいワンカットで撮影。観客の心をガッチリ掴んでいた。
もちろん2時間全部を一気に撮ったわけではなく、スーパー級の映像技術も駆使して全編を繋いでいるわけだが、その切れ目はまずわからないだろう。
そして戦闘機や爆撃のアクションにはCGも使われているが、リアル感が半端じゃない。無線での連絡もできなかった時代なので、すべて人力で伝令を届けるという使命が、主人公たちの勇気と決意をさらにドラマチックに彩る。
若き兵士たちのまっすぐな顔つきや、短い登場の実力派スターたちの味のある演技で、ヒューマンドラマとしての感動も超ド級だ!
『ゾンビランド:ダブルタップ』
製作年/2019年 製総・監督/ルーベン・フライシャー 出演/ウッディ・ハレルソン、ジェシー・アイゼンバーグ、エマ・ストーン、アビゲイル・ブレスリン
ゾンビ相手に悪ふざけするノリに抱腹絶倒!
世界中がゾンビだらけになった状況で、生き残った人間はごくわずか。前作『ゾンビランド』の主人公4人組もなんとかサバイバルに成功。新たな隠れ家としてホワイトハウスで生活している。そんな彼らがよせばいいのに、エルビス・プレスリーの“聖地”であるグレイスランドに向かう物語。新たに全身ピンクでキメたギャルが加わるなど、コメディのノリは、さらにフルスロットル。ゾンビたちもさらに進化し凶暴になるなど、アクションの過激さも前作を超えている(前作は、過激さが少ないと不満の観客もいたらしい!?)。
なにより嬉しいのは、メインキャストが復活しているということ。エマ・ストーンは『ラ・ラ・ランド』でオスカー女優になったし、ジェシー・アイゼンバーグやウディ・ハレルソンも前作の後にアカデミー賞にノミネート。今やハリウッドのトップスターに君臨する彼らが『ゾンビランド』の続編なら……ってことで再結集。しかも以前と変わらぬ、ふざけたノリで楽しそうに演じているのは、ホント、微笑ましい! そしてエンドクレジットのオマケ映像も痛快さを極めているので、最後までお観逃しなく!
『フッド:ザ・ビギニング』
製作年/2018年 製作/レオナルド・ディカプリオ 監督/オットー・バサースト 出演/タロン・エガートン、ジェイミー・フォックス、イヴ・ヒューソン、ジェイミー・ドーナン
現代風ロビンフッドに共感度も抜群!
広大な屋敷に住む領主ロビンは、十字軍の1人として異国で激戦を繰り広げる。4年後、帰国した彼は、自身が戦死したとされ、領地も財産も没収されていたことを知る。腐敗した政府への反逆を誓った彼は、頭巾(フッド)で顔を隠し、政府から金を奪うように。そして、いつしか民衆のヒーローになり……。あるときは、自己中心的で傲慢な領主。そしてまたあるときは、正義のために闘う盗賊。この2面性こそがヒーローの条件⁉ もちろん、ロビンの真骨頂、弓の特訓や、正義の行動がまさかの裏目に出てしまうなどの、ドラマチックな展開もあちこちに用意されている!
舞台は一応、中世のイングランド。けれどもキャラクターの設定や会話は、かなり現代風にアレンジしているので、歴史物が苦手な人でも大丈夫。そして、ロビンと恋人のマリアン、そのマリアンの新しい恋人との三角関係といった、恋愛ネタも随所に盛りこまれている。また、弓を駆使した戦いのほか、肉弾戦や大爆発、さらに馬車の疾走などアクションでの興奮度は期待どおり。豪快なヒーロー映画が好きな人にとっては、大満足すること間違いない!
『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』
製作年/2019年 製作/ケビン・ファイギ 監督/ジョン・ワッツ 出演/トム・ホランド、ジェイク・ギレンホール、サミュエル・L・ジャクソン、ジョン・ファブロー
お調子者から真のヒーローへと成長!
タイトルに“家を遠く離れて”とあるように、ピーターと友人たちはヨーロッパ旅行へ出かける。これまでスパイダーマンといえばNYの摩天楼をスイングするイメージだったので、映像もアクションも今回はかなり目新しいかも。そこだけでもテンションが上がるが、さらにピーターの“ときめき高校生活”が旅先ということもあって、開放的感もアップ。青春ムービーとしての面白さも期待以上だ。
異次元から来たという新キャラ、ミステリオとの関係など重要なドラマもあるが、全編に貫かれているのは、恩師トニー・スタークを失って、目的に迷うピーターの苦悩。そして、そこからの成長。胸をわしづかみにされる瞬間があるとすれば、それは、ピーター役のトム・ホランドのこれまでの“お調子者キャラ”から脱した精悍な表情。さらにメインとなるバトルの設定も、過去のアメコミヒーロー作品とは異なるので、ちょっぴり意外な後味が楽しめるはず。
『X-MEN:ダーク・フェニックス』
製作年/2019年 製作・監督/サイモン・キンバーグ 出演/ソフィー・ターナー、ジェームズ・マカボイ、マイケル・ファスベンダー、ジェニファー・ローレンス、ニコラス・ホルト
大切な仲間との対峙に泣けてくる!
完結編で描かれるのは「仲間と戦うことができるのか?」という難題。X-MENメンバーの重要人物ジーン・グレイが、邪悪な別人格ダーク・フェニックスを覚醒させてしまう。しかも、そのパワーは最強(ハッキリ言って、過去のX-MENキャラの中で強さのレベルがハンパない!)。そして、暴走するジーンに対して、仲間たちは総力戦で立ち向かう。そのアクションバトルの迫力には圧倒。見応え十分なのは保証したい!
冒頭の宇宙ミッションから、各キャラの連携プレーでたたみかけてくる怒涛の展開。そのため、それぞれのパワーを予習してから観た方が楽しめるかも。過去のシリーズで描かれてきた超人パワーの葛藤や、人間との対立は省略気味。でもそのおかげで、素直にアクションシーンが楽しめる構成に。ここ数作は時間軸が複雑になってわかりづらい印象もあった『X-MEN』だけど、今回はシンプル。だから、物語に没入しやすいのは間違いない。ジーンの苦悩や、X-MEN内の男女問題も気になるが、まさかの劇的な展開も用意されているから、アクションはもちろん、細かいドラマにも感情移入しながら観るのをオススメします!
『アベンジャーズ/エンドゲーム』
製作年/2019年 監督/アンソニー・ルッソ、ジョー・ルッソ 出演/ロバート・ダウニー・Jr、クリス・エバンス、マーク・ラファロ、クリス・ヘムズワース、スカーレット・ヨハンソン
ヒーローたちが織りなすドラマに号泣必至!
最強の敵サノスと戦うために、反目しあっていたアイアンマンとキャプテン・アメリカがついに共闘。完結編にふさわしい、空前の戦いが繰り広げられる。特筆すべきなのは、絶妙な構成。多数いるヒーローたちのドラマを上手に配分、複数の場所で展開するドラマを交錯させるなど飽きのこない工夫がなされている。そのため複雑なシチュエーションになっても、どこで何が起こっているかがわかりやすいし、テンポよくグイグイと引きこまれていくというわけ。さらにキャプテン・マーベルの無敵レベルのパワーや、アントマンがカギを握る一大プロジェクトなど、新メンバーたちの活躍も物語のキーポイントになっているので要注目。
MCUの熱いファンだけでなく、細かい内容は忘れてしまった人にも楽しんでもらうため、過去の要点を思い出させる演出も用意されている。しかも、単なる振り返りだけでなく、しっかりと感動を呼ぶエピソードとなっているのだから恐れ入る。ヒーロー総登場の集大成なので、もちろんアクションはスゴいことになっている。しかし、ドラマ部分で、ここまで熱いものが込み上げてくるとは思わなかった。クライマックスからエンディングにかけてもたらされる展開も予想外なはず!
『シャザム!』
製作年/2019年 製作/ドウェイン・ジョンソン 監督/デビッド・F・サンドバーグ 出演/ザカリー・リーバイ、アッシャー・エンジェル、マーク・ストロング
能力をいたずらに使う新ヒーローに笑っちゃうはず!
外見は大人のヒーローなのに、中身は子供という主人公。そのギャップは、あのトム・ハンクス主演の映画『ビッグ』を思わせ、変身を知った親友とのやりとりなど、ユーモアのセンスは完璧。スーパーパワーをイタズラに使い、それを動画にアップしちゃう悪ノリには思わず笑ってしまうはず。『ハリー・ポッター』や『ロッキー』を彷彿とさせるシーンなど、ヒーロー映画の“あるある”ネタを盛りこんでいるので、映画好きには満足度が高いはず。後半には、ヒーローの真の役目に目覚め、意外な感動も用意されている。
また、急に大人になったことから、“酒を飲む”とか“大人のお店に入る”など、ヤンチャな行動も。そんな“大人になったらやってみたかったこと!”には、ほぼすべての男が共感するだろう。『ボヘミアン・ラプソディ』で人気が復活したクイーンの曲を使ったシーンなど、テンションを上げる演出も多い本作。余計なことを考えず、本能的に入りこめるアクション快作ってことだけは保証したい!
『バンブルビー』
製作年/2018年 製作/マイケル・ベイ 監督/トラビス・ナイト 出演/ヘンリー・スタインフェルド、ジョン・シナ、ホルヘ・レンデボルグ・Jr
バンブルビーとの交流で心を再生する主人公に号泣!
「とにかく戦え!」「すべて破壊しろ!」といわんばかりだったこれまでの作品と違い、少女チャーリーとロボットの関係描写がまぁ~繊細。父と一緒に古いクルマの修理をする時間が好きだった少女が、父を亡くした今も1人クルマいじりを続けることで心の傷を埋めようとする。その過程で、古いクルマに姿を変えた地球外生命体バンブルビーに出会い……という冒頭からしてすでに目頭が熱く。しかもこのバンブルビー、なかなかよい子で、地球に不慣れながらもチャーリーの言いつけを忠実に守るし、チャーリーのためならえんやこら。いちいち健気で、かわいいったりゃない。そんなバンブルビーに触れ、再生していくチャーリーの心のドラマが泣ける。ちなみに、物語の舞台は’80年代。チャーリーとバンブルビーの交流の中で’80年代ソングがナイスな存在感を放つなど、レトロ感もたまらなく愛おしい!
『キ
製作年/2019年 監督/アンナ・ボーデン、ライアン・フレック 出演/ブリー・ラーソン、サミュエル・L・ジャクソン、ジャイモン・フンスー
思わず“あるある”と共感しちゃう‘90年代シーン!
記憶を失った主人公が、不屈の精神とパワーで軍人として活躍する。宿敵に捕らわれるが、脱出して地球に不時着……と、展開だけ聞くと、よくある超人ヒーローもののパターン。しかし、こちらの予想をいい意味で裏切っていくドラマが用意され、マーベル映画を観慣れた人でも新鮮な驚きを味わえる。過去の記憶からは、女性ゆえに受けた不当な差別などもあったりして、このあたりもほかのヒーロー映画よりドラマチックだろう。自分探しや葛藤がパワーになっていく点は、同じ最強女子を描いたDC映画『ワンダーウーマン』とも違うので、比較してみるのもいいかも。
そんな独特なヒーロー映画も、実は違った楽しみ方ができるというのも、この作品の魅力。それっていうのが、舞台設定。アラフォーにとっては青春ど真ん中だった‘90年代が舞台の物語。だから、当時リアルに経験してきたカルチャーが存分に味わえるという。なんせ、キャプテン・マーベルが地球に落下した先は、あの“ブロックバスター・ビデオ” ! ’90年代に全盛だった米レンタルビデオチェーンで、日本にもあったのご存知? それ以外にもポケベルなど懐かしいアイテムが登場するので、見ているだけで楽しい気分になる。サミュエル・L・ジャクソン演じるニック・フューリーもデジタル処理で若返り。キャラも超軽妙と、『アベンジャーズ』とのギャップもファンにとっては“ツボ”になること確実!
『スパイダーマン:スパイダーバース』
製作年/2018年 監督/ボブ・ペルシケッティ、ピーター・ラムジー、ロドニー・ロスマン 声の出演/シャメイク・ムーア、ジェイク・ジョンソン、ヘイリー・スタインフェルド、ニコラス・ケイジ
スパイダーマンズ”の絆と別れに号泣
主人公はピーター・パーカーではなく、ブルックリンの中学校に通うマイルス。アフリカ系とヒスパニック系のハーフだ。偶然にもスパイダーマンの能力を身につけた彼が、闇社会の敵と戦うというのがベースの物語。けれども当然、能力には四苦八苦するばかり。そこに現れるのは、とある仲間。その仲間とは、なんと異次元で活躍するスパイダーマンたちなのだ。死んだはずのピーター・パーカー(オッサン化している!)をはじめ、モノクロの探偵や日本のアニメ少女、はたまたブタのスパイディと、実にクールな面々。各キャラの描写もデジタルだったり、アナログだったりとオモチャ箱をひっくり返したようなチグハグな顔つき。マイルスのスパイダーマンとしての成長と覚醒に、仲間の絆が見事に重なって、いつのまにか胸が熱くなっている!
もう1つの特徴が、遊び心満点の映像表現。CGと手書きを融合させた独特のタッチは、CGアニメが主流のハリウッドの中で、逆に斬新で、めちゃくちゃかっこいいのだ。たとえば、コミックのようにセリフや効果音が文字で表現されたり、印刷ミスっぽくバックの色がわざとズレていたり、というのがそれ。これこそが“アメコミ”本来の世界かも、と思わせるパワフルな1作。実写のヒーロー映画にマンネリを感じている人には、あらゆる要素が新鮮なので心からオススメしたい!
『アクアマン』
製作年/2018年 製作総指揮/ザック・スナイダー 監督/ジェームズ・ワン 出演/ジェイソン・モモア、アンバー・ハード、ウィレム・デフォー、パトリック・ウィルソン、ドルフ・ラングレン、ニコール・キッドマン
アクアマンのユーモアある豪快さは男の憧れ!
未知のテクノロジーと巨大モンスター軍で、地上の征服を狙う海底アトランティス帝国。それを止められるのは、ただ1人。アトランティス帝国の王族の血を引く男、アクアマンだった。人間の男とアトランティスの元女王の禁断の恋の果てに生まれたアクアマンことアーサー・カリーは、やがて地球の運命を握る戦いに身を投じていくことに。それは、地上に生きてきたアーサーが、海底のヒーローである自分と向き合うプロセスでもあった。
DCコミックのヒーロー総出演映画『ジャスティス・リーグ』で、仲間のヒーローたちとともに戦ったアクアマンがついに主人公に。いわゆる“単独主演”となる今回は、生い立ちから現在まで、アクアマンの物語がたっぷりと語られている。大雑把? いえいえ大らかともいうその性格は豪快で、深刻な状況もユーモアで乗り切るのがアクアマンの持ち味。そのノリはアクションシーンにもいえることで、お魚もびっくりの海中バトルは目まぐるしくダイナミック。それもそのはず、『ワイルド・スピードSKY MISSION』のジェームズ・ワン監督が腕を振っているのだから。これでもかといわんばかりのド派手アクションを披露してくれる。
『マイル22』
製作年/2018年 原案・脚本/リー・カーペンター 監督・脚本/ピーター・バーグ 出演/マーク・ウォールバーグ、イコ・ウワイス、ジョン・マルコヴィッチ、ロンダ・ラウジー
米特殊部隊の戦術シーンのリアルさに驚愕!
タイトルが意味するのは、主人公たちに課された過酷なミッションの移動距離(22マイル=35.4km)のこと。舞台はアジアの架空の国、インドカー。世界を震撼させる危険な物質が盗まれ、CIA機密特殊部隊がその重要な手がかりを知る男をアメリカに亡命させようとする。インドカーのアメリカ大使館から移送機が待機する空港までの距離はわずか22マイル。しかし、CIAの精鋭たちによる重要参考人の護送には、信じがたい困難が待ち受けていた……。
今作の最大の見どころは、CIAが展開する作戦をリアルに描いたところ。まずは、マーク・ウォールバーグ演じる主人公ジェームズを中心とした実戦部隊“チャイルド”のあざやかな戦闘ぶりに、冒頭から驚かされる。ロシア諜報組織の隠れ家を急襲するシーンで、室内を制圧後に予想もしない敵の反撃に遭遇。混乱する状況の中でも、敵の“確保”から“殺害”への指示変更などを冷静に確認し、仕留めていく。銃器の扱いも含め、戦闘場面の生々しさは超級だ! ミッション完遂後は、地元警察に正体がバレないように、証拠や痕跡を一切残さずに立ち去る。そんな完璧な仕事人ぶりにもリアリティを感じるはず。
『クリード 炎の宿敵』
製作年/2018年 監督/スティーブン・ケープルJr. 脚本・出演/シルベスター・スタローン 出演/マイケル・B・ジョーダン、フローリアン・ムンテアヌ、ドルフ・ラングレン
ロッキーのライバル、ドラゴのその後の人生が泣ける!
ロッキーの指導により、世界ヘビー級のタイトルマッチに勝利したアドニス・クリード。恋人のビアンカにプロポーズし、公私ともに人生は絶好調だった。そんな彼の前に現れたのが、ウクライナのボクサー、ヴィクター・ドラゴだ。ヴィクターの父は、かつてアドニスの父アポロをリング上で死に追いやった宿敵イワン・ドラゴ。時を超え、息子同士の因縁の対決がはじまる……。
1985年『ロッキー4/炎の友情』と濃密につながる本作。アポロとドラゴ、それぞれの息子が父親の思いを託されるという設定が、なんともムネアツなのだ。特に敵役のドラゴ親子の苦闘は切実!父イワンはロッキーに敗れたことで、祖国や妻に見捨てられ、実は落ちぶれた生活を送っていたことが明らかに。シリーズファンならこれだけでも泣けてくる。息子のヴィクターが、心に深い傷を抱えつつ父に闘争心をかき立てられる姿は、敵対する相手ながら胸に迫るはず。
『スカイライン 奪還』
製作年/2017年 製作・監督・脚本/リアム・オドネル 出演/フランク・グリロ、ボヤノ・ノヴァコヴィッチ、イコ・ウワイス、ヤヤン・ルヒアン
エイリアンにシラットで闘いを挑む!
イコ・ウワイスと聞いてピンときた人はアクション映画がお好きな人だろう。インドネシアの伝統的な武術シラットのチャンピオンで、現在35歳。アクション映画界の期待の星だ。演技の表現力はまだまだなのだが、格闘での表現力はズバ抜けている。そんな彼が、ついにエイリアンと戦うというのだから見逃すわけにはいかない!
前作で地球を3日間で征服してきたヤバい奴らなのだが、イコは銃を使わずまさかのシラットで真っ向勝負! クライマックスではラオスの寺院で複数のエイリアンを相手に大立ち回りを披露する。エイリアンものといえば、あっけなく人が倒される描写が多いだけに、格闘術で退治する様はなんとも痛快なのだ! ちなみに『ザ・レイド』出演したヤヤン・ルヒアンも出演。こちらも圧巻の格闘を見せるが、壮絶すぎるラストを迎えることに
父と子のエピソードに、新たな生命の誕生をめぐる攻防など、アクション以外も見どころが多い。もちろんハイドラックス社が手掛けるVFXも進化。エイリアン同士が巨大ロボットに搭乗して戦う東映ヒーロー的な演出もあるなど、最後までムネアツな内容と、満喫できること請け合いだ!
『イコライザー2』
監督/アントワーン・フークア 脚本/リチャード・ウェンク 出演/デンゼル・ワシントン、ペドロ・パスカル、アシュトン・サンダース、メリッサ・レオ
ドラマ部分の深みが増している!
デンゼル演じるマッコールは、元CIAの凄腕エージェント。昼はタクシードライバーとして世の悲喜こもごもを眺め、夜は法で裁けぬ悪党をわずか19秒で葬り去る闇の請負人として暮らしている。そんな彼のもとに、CIA時代の上司が殺害されたとの知らせが届く。独自に調査するうちに、敵は自分と同じ特殊訓練を受けたスペシャリストであることを掴む。
本作が、“いい意味で裏切ってくれる”ポイントは、見応えのあるドラマ部分だ。前作同様、ついついアクションを期待してしまうのだが、そこは曲者デンゼル。続編とはいえ、同じ内容とはならない。特に昼間に展開する物語は人の機微が描かれていて実に味わい深い。同じアパートに住む青年マイルズとの交流は師と弟子といった関係。『タイタンズを忘れない』のように正義感ある役が似合うデンゼルが演じることで、胸に迫るものがある。
とはいえ、アクションがもの足りないというわけではない。冒頭での列車内での攻防やタワーマンションでの格闘は、お決まりの19秒で手際よく始末。クライマックに至っては、嵐の中で19秒以上の死闘が繰り広げられる。監督のアントワン・フークアとは、『トレーニング・デイ』から4度めとなるタッグ。円熟味ある構成に、安心して身を委ねられる作品なのは間違いない。
『スカイスクレイパー』
製作年/2018年 製作・出演/ドウェイン・ジョンソン 監督・脚本/ローマン・マーシャル・サーバー 出演/ネーヴ・キャンベル、チン・ハン
超高層ビルが襲撃を受けて燃え盛る!
ドウェイン演じるウィルは元FBI人質救出部隊のリーダー。現在は、危機管理コンサルタントとして、香港に新しく建てられた超高層ビル“ザ・パール”の保安査定を担当している。開業を間近に控える中、謎のテロリストがビルを襲撃。上層階は爆破され、炎の海と化してしまう。同じ上層階には、運悪く妻と子供たちが滞在中。危険を知ったウィルは、家族を救うため燃え盛るビルへ突入する。
本作を面白くしている仕掛けが、ハイテク制御の超高層ビル。セキュリティの管理をテロリストに奪われたため、外部から容易に侵入ができないというわけ。そこでウィルは、隣の建設中の建物によじ登り、クレーンをつたってビルへ大ジャンプ! 冒頭から手に汗握る展開が繰り広げられる。このほか、イーサン・ハントよろしく窓ガラスに張り付いての移動や巨大風力タービンのすり抜けなど、名作のいいとこ取りな場面も!
ドウェイン作品となると派手な肉弾戦を期待しがちだが、本作ではその怪力を救助に使うことの方が多い。子供を救うため崩れ落ちそうな渡り廊下を支えるなど八面六臂の活躍をする。家族救出劇に加えて、クライマックスにかけてテロリストの本来の目的などが判明するなど物語は急展開。敵の美女コマンドー役のハンナ・クィンリヴァンのクールな魅力にも是非注目してほしい。
『ザ・プレデター』
製作年/2018年 監督・脚本/ショーン・ブラック 脚本/フレッド・デッカー 出演/ボイド・ホルブルック、トレヴァンテ・ローズ、ジェイコブ・トレンブレイ
バトルは激烈を極める!
メキシコに謎の宇宙船が墜落。元特殊部隊の傭兵クインが、そこで回収した乗組員(=プレデター)のマスクと装置を息子のローリーに送る。しかしローリーが装置を起動してしまったことで、研究室に捕獲されていたプレデターが覚醒し、脱走。さらにその動きを感知し、宇宙から強力なプレデターもやって来る!
今回のプレデターの特徴は、他の種族のDNAも使って進化している点だ。後から襲来するプレデターに至っては、肉体自体も巨大化している。しかしオリジナルの精神は守られ、強敵には敬意を払い、弱い者は攻撃しないなど、プレデター版武士道にシリーズファンは歓喜するはず。
クインを中心にした、ならず者部隊ルーニーズvs.プレデターの対決だけでなく、プレデターを利用する政府の極秘機関も入った三つ巴になだれこむ点も、今作の凄まじさの要因。クライマックスにかけて、アクションの過激度は天井知らずとなり、もはやどうなっているのかわからないレベルの描写もあるが、観ているこちらはひたすら勢いにのみ込まれていく。監督は『アイアンマン3』のシェーン・ブラックなので、激烈を極めるバトルと、笑わせる演出のバランスが絶妙。特にルーニーズそれぞれの個性は、あの『七人の侍』も思い出させ、後半にかけて彼らに激しく感情移入してしまうはず!
『アントマン&ワスプ』
製作年/2018年 監督/ペイトン・リード 出演/ポール・ラッド、エバンジェリン・リリー、マイケル・ペーニャ
女性ヒーロー、ワスプが参戦!
主人公のスコット・ラングは、前科者のいわゆるダメ男。妻にも愛想をつかされて離婚し、養育費が払えないので愛する娘に会う機会も少ない。そんな彼が、天才科学者のピム博士が開発した特殊スーツを着て、正義のヒーロー“アントマン”となっていく。今回は、ピム博士の娘、ホープも特殊スーツを身につけた“ワスプ”として一緒に活躍。ちなみにアント=蟻に対し、ワスプはスズメバチ、ジガバチの意味。
ピム博士の研究所を狙う敵で、肉体を透明化し、物体をすり抜ける能力をもつ“ゴースト”も女性キャラ。そして、30年前に量子世界に閉じこめられたピム博士の妻も重要な役割を果たすなど、MCU作品にしては、『ブラックパンサー』に続いて“女子力”が高い本作。そのぶん、アントマン=スコットの頼りなさが強調されることになり、笑えるシーンもたっぷりだ。そう、この『アントマン』、MCUの中でも最も肩の力を抜いて気楽に楽しめる作品であり、今回の続編もその路線で突っ走る。
アントマンもワスプも、自慢のパワーといえば、身長1.5cmのミニサイズになること。敵の目をかいくぐり、小技が冴えわたるのだが、今回は周囲の物のサイズを変える能力も発揮。ビルやクルマを小さくしたり、お菓子のペッツを大きくしたりとやりたい放題。さらにパワーが制御できなくなって、アントマンが身長24mの巨大サイズになってしまうなど、とにかく観ているだけで痛快!
『オーシャンズ8』
製作年/2018年 製作/スティーブン・ソダーバーグ 監督・脚本/ゲイリー・ロス 出演/サンドラ・ブロック、ケイト・ブランシェット、アン・ハサウェイ、ヘレナ・ボナム=カーター
ゴージャスなダマしが面白い!
犯罪のターゲットとなるのは、NYのメトロポリタン美術館で行われる、ファッション界最大規模のイベント“メットガラ”。多数のセレブたちも集結するなか、ハリウッド女優ダフネ・クルーガーが身につける、なんと1億5000万ドル相当のダイヤモンド・ネックレスを狙う。万全なセキュリティを突破するため、集められた7人のプロたちの完璧な計画がスタート。『オーシャンズ8』なのに7人? その理由は観てのお楽しみだ。
チームの中心となる“2トップ”を演じるのは、ともにオスカー女優のサンドラ・ブロックとケイト・ブランシェット。貫禄十分の2人を眺めていると、難攻不落の計画が、成功への“確信”に変わる。サンドラが演じるのは、『オーシャンズ』前3作でジョージ・クルーニーが演じたダニーの妹。一応、兄のダニーはこの世にいないという設定だが、果たして……? 共演陣で注目なのは、やはりオスカー女優のアン・ハサウェイ。ターゲットとなるスター女優役で、傲慢&天然な言動で笑わせてくれる。
メットガラのシステムへのハッキングはもちろん、目にもとまらぬ速さの“スリ”、防犯カメラを使ったトリックに、ゴミ箱に付けた隠しマイク、目の前の物をスキャンするメガネなど、ありとあらゆるテクニック&グッズが登場し、それらがきっちり犯罪計画に組みこまれている。このあたりはシリーズらしいあざやかさ。女性たちが行うことで痛快さも増している一方で、“女性”を武器にした、ありがちな誘惑攻撃が少ない点はむしろ清々しい。
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text:Hiroaki Saito、Hikaru Watanabe、Mayuko Kumagai、Manabu Souma、Toru Yonehara