男も惚れるハリウッドの兄貴!
ジョージ・クルーニー映画5選!
人気海外ドラマ『ER緊急救命室』で一躍スターとなったジョージ・クルーニー。スマートで頼りがいのありそうなイメージは、映画界でも貴重な存在。そんな彼の魅力が発揮された5作品をセレクト。夏休みに是非、鑑賞してみて!
『フロム・ダスク・ティル・ドーン』
製作年/1996年 監督/ロバート・ロドリゲス 共演/クエンティン・タランティーノ、ハーヴェイ・カイテル
テレビスターから映画へと進出!
『ER緊急救命室』のロス先生として大ブレイクした後の初主演映画。脚本は出演もしている奇才クエンティン・タランティーノ。『エル・マリアッチ』『デスペラード』で注目された、当時、新進気鋭のロバート・ロドリゲスが監督を務めたクライムアクション……と思いきや、途中からいきなりヴァンパイアホラーに華麗に転換するという斬新さが面白い1本。
銀行強盗を繰り返しながら逃亡し、メキシコ国境の怪しげなナイトクラブまでやってきたクルーニー演じる兄と、タランティーノ演じる弟のゲッコー兄弟。しかしそこはヴァンパイアの巣窟で、セクシーなダンサーたち(サルマ・ハェック様がダイナマイト級の美しさ)が突如牙をむき大パニックに!
目の前で繰り広げられる血の饗宴に、ゲッコー兄弟と、人質の牧師(ハーヴェイ・カイテル)とその子どもたちが立ち向かう。タランティーノらしいトークもハチャメチャ展開も血みどろアクションもごった煮のうま味MAX、クセになる1本だ。牧師の娘を演じたジュリエット・ルイスがかっこいい。
『オーシャンズ11』
製作年/2002年 監督/スティーヴン・ソダーバーグ 共演/ブラッド・ピット、マット・デイモン
人柄や“らしさ”が発揮されたS級作品!
詐欺師や泥棒などそれぞれ犯罪のスペシャリスト11人がダニー・オーシャン(ジョージ・クルーニー)のもとに集結し、ラスベガスのカジノから大金を盗み出すという軽妙なクライムドラマ。クルーニーをはじめ、ブラッド・ピット、マット・デイモン、アンディ・ガルシア、ジュリア・ロバーツ、ドン・チードル、ケイシー・アフレックなどなど、超豪華オールスターキャストなので彼らがスクリーンの中で一堂に会しているのを観るだけで眼福!
銃を使わずに切り抜けるあっと驚く計画や、スピーディかつスタイリッシュな展開で、これぞザ・ハリウッドなエンターテインメント。観終わった後も爽快感バッチリ。兄貴的存在のクルーニーを中心にプライベートでも親しくなったキャストたちの息の合ったやり取りも見どころ。彼ら自身が楽しそうに演じているのが実に印象的だ。
クルーニーは続編の『オーシャンズ12』『オーシャンズ13』では製作総指揮を担当。『12』ではキャサリン・ゼタ・ジョーンズやヴァンサン・カッセル、『13』ではアル・パチーノなど、新たなスターが加入、オーシャンの仲間たちも全員勢揃いしたのはクルーニーの人望と人脈のおかげか。
『グッドナイト&グッドラック』
製作年/2005年 監督/ジョージ・クルーニー 共演/デヴィッド・ストラザーン、ロバート・ダウニー・Jr.
信念が詰まった監督作!
ジョージ・クルーニーが『コンフェッション』に続いてメガホン(兼脚本)を執った実話を基にした社会派ドラマ。“赤狩り”の恐怖が横行していた1950年代を舞台に、実在のニュースキャスター、エドワード・R・マローが、真実と正義のためにマッカーシズムに立ち向う姿が描かれる。
当時の雰囲気を再現する美しいモノクロ映像、ジャズをベースにした効果的なサウンドトラックはもとより、静謐な筆致でありながら当時の緊迫感を伝える描写や、ヒシヒシと伝わってくるマローのジャーナリスト魂にアツくなる。
アメリカではセレブが政治的発言をするのは当たり前だけど、クルーニー自身も積極的に発言するタイプで、過去には「俺はリベラルだ」と語ったことも。父ニックがニュースキャスターだったことや、幼い頃よりマローをヒーローだと思っていたということも含め、彼の信念が詰まった渾身の逸品!
『マイレージ、マイライフ』
製作年/2009年 監督/ジェイソン・ライトマン 共演/ヴェラ・ファーミガ、アナ・ケンドリック
クールでスマートな大人の男を好演!
クルーニー演じるライアンは企業の“リストラ宣告人”。アメリカ中を飛び回り、1年のほとんどが出張という生活だ。そのせいか人生哲学も「バックパックに入らない人生の荷物は背負わない」。気軽でドライな人間関係を好む独身だ。
そんなライアンが「出張を廃止し、オンラインでリストラを」と提唱する野心満々の新入社員ナタリー(アナ・ケンドリック)と、旅先で意気投合して大人の関係になるアレックス(ヴェラ・ファーミガ)というふたりの女性との出会いによって、自らの人生や生き方を見つめ直していく。
空港でのスマートかつスムーズな行動の極意、飛行機や滞在先のホテルでの過ごし方など旅慣れたクールな大人の男像を体現するクルーニーはさすがのかっこよさ。けれど、後半、これまでの人生哲学に疑問が生じた彼がふと、自分の“居場所”を考えてみると……。
原題の『Up in the Air』は“上空”とか“浮ついた”という直訳のほかに、“地に足がついていない”というライアンの生き方を差しているのだろう。人との繋がりの大切を感じさせてくれるビタースウィートな珠玉作だ。
『ファミリー・ツリー』
製作年/2011年 監督/アレクサンダー・ペイン 共演/シェイリーン・ウッドリー、ボー・ブリッジス
フツーの男を魅力的に演じ上げる!
ジョージ・クルーニーというと、映画でもプライベートでもセクシーでリア充でモテモテなイメージがあるけれど、本作で演じるのは人生の袋小路に迷い込み、あたふたするごくフツーの男だ。ハワイ在住の弁護士マットは周りには悠々自適な生活をしていると思われがちだが、実際は仕事に忙殺されて家庭を顧みる余裕もない。ある日、妻がボートで事故に遭って昏睡状態になったことをきっかけに、妻には浮気相手がいて離婚を考えていたことが発覚する。
家庭をおろそかにしてきたため意思疎通がうまくいかないふたりの娘、回復見込みのない妻の看取り、妻の浮気相手との対峙。さらにマットは先祖代々に伝わる広大な土地の売却問題にも悩まされる。扱っている要素はシリアスだけど、全体的にはコミカルな雰囲気。
情けなかったりかっこ悪かったりうまくいかなったり思い通りにいかなかったり。誰もが多かれ少なかれ感じる人生のダメな部分を愛してあげたくなる、静かに心揺さぶる作品。アカデミー賞脚色賞受賞。