【まとめ】キアヌ・リーヴスの出演映画19選!
『Safari Online』で配信してきたキアヌ・リーヴス出演作品をまとめてご紹介!
『ビルとテッドの大冒険』
製作年/1989年 監督/スティーヴン・ヘレク 脚本/エド・ソロモン 共演/アレックス・ウィンター、ジョージ・カーリン
キアヌのライフワーク的作品!?
およそ30年間にわたってトップスターの地位を保ち、いまだにファンが増え続けている、キアヌ・リーヴス。初期の代表作に『マイ・プライベート・アイダホ』や『スピード』を挙げる人も多いが、それらのクールなイメージとは裏腹に、彼の最初のブレイクは、この能天気な高校生役だと断言!
簡単に言えば、オバカなノリの青春映画。ロックスターになることを夢みるビルとテッドが、歴史の授業で落第の危機に陥り、謎の男の導きで過去にタイムトラベルする。電話ボックス型のタイムマシンを使い、ナポレオン、ベートーベンといった歴史上の人物を現代に連れてきてしまうのだ。
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のようなタイムトラベルものなのだが、ストーリーのつじつま合わせは完全に無視の、純粋なコメディ。ひたすら能天気なテッド役で、ここまで楽しそうに演じているキアヌは、いま改めて観ると新鮮そのもの!
『ハートブルー』
製作年/1991年 監督/キャスリン・ビグロー 共演/パトリック・スウェイジ、ゲイリー・ビジー
ナイーブな雰囲気を纏うキアヌに惹かれる!
パトリック・スウェイジがサーファーかつ強盗団のリーダーを、キアヌがそのサーファーたちの仲間に潜入するFBI捜査官を演じ、友情と逮捕の狭間で揺れる姿を好演。サーフィン(特に夜のサーフィンシーン!)やスカイダイビングのシーンはスタイリッシュかつ迫力があり、惹きこまれること間違いナシ。
監督はイラクを舞台にした『ハート・ロッカー』で女性監督として史上初めてアカデミー監督賞を受賞したキャスリン・ビグロー。製作総指揮は当時、彼女の夫だったジェームズ・キャメロンが務めている。
キアヌは精悍で頼りがいしか感じない『スピード』とは、だいぶ違う印象。本作ではハーバード大卒のエリートながら、カリスマ性のあるパトリック・スウェイジに惹かれ、その関係性や逮捕することに逡巡するようなナイーヴな雰囲気を残している。そこが、”らしく”て、実にイイ!
『マイ・プライベート・アイダホ』
製作年/1991年 監督/ガス・ヴァン・サント 共演/リヴァー・フェニックス、ジェームズ・ルッソ
美しいキアヌが堪能できる!
親友リヴァー・フェニックスとの最後の共演作であり、男娼のふたりがあまりに痛切で、あまりにも美しいことでも知られる青春ロードムービー。監督ガス・ヴァン・サントのマイノリティや異端者へのフラットな視線や繊細さが感じられる作品だ。
ポートランドのストリートで男娼として無軌道に暮らすマイク(リヴァー)とスコット(キアヌ)。彼らが、マイクの母親を探すため旅に出ることに。バイクのふたり乗りや長く続く一本道、夜の焚火での告白、対になっているかのようなオープニングとエンディングなど印象に残るシーンが多い。
やがて旅は終わりを迎え、孤児のマイクと市長の息子のスコットは別々の道を歩むことに。スコットにとっての青春時代の終わりと、マイクにとってのふたりの関係の終わりが重なり胸に迫る。当時27歳の美しいキアヌが堪能できる。
『リトル・ブッダ』
製作年/1993年 原案・監督/ベルナルド・ベルトルッチ 脚本/マーク・ペプロー、ルディ・ワーリッツァー 共演/アレックス・ウィーゼンダンガー
“いい人”キアヌにぴったりの役柄!
『ビルとテッド』の後、『ハートブルー』や『ドラキュラ』でキャリアを好調に積み上げてきたキアヌが、その唯一無二の魅力を発揮したのが、『リトル・ブッダ』。キアヌが演じるのは、シッダールタ王子=ブッダ(お釈迦様)。
作品全体の主人公は、ブッダの生まれ変わりと告げられ、アメリカからチベットへ向かう9歳の少年なのだが、その物語と並行して、シッダールタの半生が描かれていく。監督は『ラストエンペラー』などの巨匠、ベルナルド・ベルトリッチ。音楽は坂本龍一が手がけ、ドラマチックなスコアも印象に残る、荘厳な一作だ。
キアヌを偏愛するファンには、この作品を大切にしている人も多い。レバノンのベイルート生まれで、アジアの血も流れている彼に、この王子役がぴったりなのはもちろん、キアヌといえば、地下鉄で席を譲ったり、道で故障したクルマのドライバーを助けたりと、私生活での“いい人伝説”の宝庫。
自分のエゴを捨てて、悟りを開いた今作のシッダールタ役が、本人とシンクロしてしまう。王子としての凛々しさ、つらい苦行でボロボロになる姿、そしてひとつの境地にたどりつく運命……。そのすべてを体現できるキャストは、キアヌ以外に考えられない。
『スピード』
製作年/1994年 監督/ヤン・デ・ボン 共演/デニス・ホッパー、サンドラ・ブロック
短髪姿のたくましいキアヌが楽しめる!
キアヌ・リーヴスとヒロインのサンドラ・ブロックが大ブレイクした大ヒットノンストップアクション。時速80km以下になると爆発する爆弾を仕掛けられたバス。そこに飛び乗ったSWAT隊員のジャックが、いかに80km以下に速度を落とさず市中を走るか、いかに犯人にバレずに乗客を救出するか、いかに犠牲者を出さないか――車内を監視しながらも姿を見せない犯人と頭脳戦を繰り広げ、最後までハラハラドキドキ!
冒頭はエレベーター、メインはバス、最後は地下鉄といずれも動く密室を舞台に狂気の爆弾魔(デニス・ホッパー)と対峙するジャックがかっこよく、劇中ジャックがつけている〈Gショック〉(実際にもSWAT隊員が着用しているそう)やクルーカットが大流行。運転手のケガにより急遽バスのハンドルを握ることになった女子大生のアニー(サンドラ)との淡いロマンスもいい。
走る姿が豪快だったり、暴走バスを追いかけてド派手なカーチェイスを披露するなど、たくましいキアヌが観たいならうってつけな1本だ!
『マトリックス』
製作年/1999年 監督・脚本/ラリー・ウォシャウスキー、アンディ・ウォシャウスキー 共演/ローレンス・フィッシュバーン、キャリー=アン・モス
最強へと成長するキアヌにグッとくる!
言わずと知れたアクション映画の金字塔。コンピューターによって作られた仮想現実から目覚めたネオ=キアヌが、モーフィアス(ローレンス・フィッシュバーン)やトリニティ(キャリー=アン・モス)と共にコンピューターから人類を解放するための戦いに身を投じていく姿が描かれる。
VFX、ワイヤーアクション、バレットタイムなど、本作以前・以後ではアクションの撮影技術や表現方法がガラリと変わったことでも歴史的な1本。カラダを後ろにそらして銃弾を避けたり、対峙するふたりが空を舞いながら銃を向けあうなど、有名なシーンは今観てもワクワク度MAX。
特にキアヌが道着姿となり、格闘術を学ぶシーンは日本人にとって胸熱シーン。第2、3作と強くなっていくキアヌもいいのだが、やはり第1作での成長していく姿にはグッとくるものがある。
『スウィート・ノベンバー』
製作年/2001年 監督/パット・オコナー 共演/シャーリーズ・セロン
チャーミングなシャーリーズとのラヴストーリー!
広告業界のエリートとして仕事優先で生きてきたネルソン(キアヌ・リーヴス)の前に、美しく風変わりな女性サラが現れる。「11月だけ、私の恋人にならない?」というサラの奇妙な提案を受け、2人の期間限定の恋がはじまるが……。
自由奔放に生きる女性と彼女を本気で愛するようになる男性が、サンフランシスコの街を舞台に繰り広げるラヴストーリー。実は大きな秘密を抱えたヒロイン、サラをシャーリーズがチャーミングに好演。
強くたくましいイメージが定着し、ロマンス映画のヒロインに留まることの少ない現在のシャーリーズ・セロンから考えると、今や少々変わり種となった1本といえる。キアヌ・リーヴスとも実にお似合い。
『マトリックス リローデッド』
製作年/2003年 製作総指揮・監督・脚本/アンディ・ウォシャウスキー、ラリー・ウォシャウスキー 共演/ローレンス・フィッシュバーン、キャリー=アン・モス、ヒューゴ・ウィービング
第1作から4年を経ての続編
前作で人類の救世主として覚醒したネオは、コンピューターに人間が支配された現実の世界で、ザイオンと呼ばれる人間のコミュニティの一戦士となっている。前作で愛を芽生えさせたトリニティとの関係も順調のようだ。そのザイオンが、コンピューター軍の猛攻により危機が迫る。ネオはマトリックスの世界に飛び、それを阻止すべく駆け回るが、行く手にはさらなる試練が待ち受けていた。
マトリックスにはネオの運命を左右する多くのキャラクターがいる。メロビンジアンとパーセフォニーの夫婦は、この世界の特権階級に属しており、前者はこの世界で権力を拡大しようとする享楽主義者。ネオにしてみれば、“敵”というべき存在だ。後者は、そんな夫にウンザリしており、気まぐれな性格ゆえに、夫への当てつけのようにネオに協力する。
前作に続いて登場する“敵”エージェント・スミスは、ここではさらに手ごわくなる。元々はマトリックスの秩序を守るウイルス駆除的なプログラムだった彼は、この世界に嫌気がさしてシステムから離脱し、前作で敗れたネオへの復讐心によって動いている。自分の意識を他人にコピーして、自分と同じ存在を増殖させることもできる。ネオが100人ものスミスとバトルする場面は、本作のアクションのひとつの見どころだ。
『マトリックス レボリューションズ』
製作年/2003年 製作総指揮・監督・脚本/アンディ・ウォシャウスキー、ラリー・ウォシャウスキー 共演/ローレンス・フィッシュバーン、キャリー=アン・モス、ヒューゴ・ウィービング
『マトリックス リローデッド』と同時に製作!
人類がコンピューター支配に抵抗している世界。人類の救世主となることを運命づけられたネオは危機を脱したことで未来を知る能力を手に入れる。しかし、人類のコミュニティ、ザイオンはコンピューターの猛攻により破滅の危機に陥っていた。一方、マトリックスの世界はエージェント・スミスがコンピューター・ウィルスのように増殖して機能不全に陥り、サイバー・ワールドに危機をもたらしている。ネオはコンピューター界の統括者デウス・エクス・マキナと話をつけ、コンピューターと人間の共存社会の実現と引き換えに、強大な力を得たエージェント・スミスに戦いを挑む。
ドラマを理解するうえで重要なポイントは、前作と同様に預言者オラクルやマトリックスの設計者アーキテクト、そしてデウス・エクス・マキナといった、この世界の仕組みを知る者たちの発言だ。とりわけ“アノマリー”という単語は重要で、これは例外的な存在を意味する。秩序が保たれているコンピューターの世界にも、それは出現し、システムを左右する存在となる。ここではネオやエージェント・スミスがそれにあたる。クライマックスは、いわばアノマリー同士の激突。これがマトリックスの、さらには現実世界の命運を賭けた戦いとなる。
アクションの見せ場は、まさにこのクライマックスだろう。雨が降りしきる闇に覆われたマトリックス世界で、無数のエージェント・スミスのコピーに見守られながら、ネオとスミスは超人的な身体能力を駆使して一対一の対決を演じる。重力も引力も関係ない。地面を駆け、高く宙を舞う縦横無尽のスペクタクルは、シリーズの基本色である深緑のダークな色合いも相まって鮮烈な印象を残す。
『コンスタンティン』
製作年/2005年 原案・脚本/ケヴィン・ブロドビン 共演/レイチェル・ワイズ、シャイア・ラブーフ、ティルダ・スウィントン
複雑で屈折したキャラこそ真骨頂!
どこか孤独で、陰のあるヒーローは、キアヌが最も得意とするパターン。『コンスタンティン』の主人公は、この系列の中でも恐ろしいくらいにハマっている。地球上には、天使と人間、そして悪魔と人間の中間である“ハーフブリード”が存在。
探偵のジョン・コンスタンティンは彼らを見分けることができる。しかしタバコの吸い過ぎで、肺がんとなって余命1年の宣告。死後に地獄行きが決まっているジョンは、その運命を変えるべく、悪魔祓いを行っている。かなり複雑で屈折したキャラなのだが、キアヌが演じると素直に感情移入できてしまうから不思議!
タバコはもちろん、酒や腕時計にもこだわりのブランドがある。人生を捨てたような無常観を漂わせつつ、私利私欲の行動もとる。そんなジョン・コンスタンティンの生き方には、本能的にあこがれてしまう人も多いはず。
その一方で、ハーフブリードを巡る戦いでは、ホラーのテイストに特大スケールのアクションが融合され、かなり異色のテイスト。十字架の形をしたショットガンなど使われる武器もユニークだ。世界観も映像も、そしてアクションも、どこかマニア心をくすぐる印象ながら、王道のアクション映画を観ている気になるのは、ひとえにキアヌが主演だからかもしれない。キアヌ自身も続編を待望するほど気に入っている。
『イルマーレ』
製作年/2006年 監督/アレハンドロ・アグレスティ 脚本/デヴィッド・オーバーン 出演/キアヌ・リーヴス、サンドラ・ブロック、ショーレ・アグダシュルー
時空を超えた文通がロマンチック!
手紙には、人知を超えた不思議なパワーがあるのかもしれない。人間がタイムスリップしたら明らかにSFの世界だが、この作品のように手紙が時空を超えるドラマは、SFというよりロマンチックなムードが上回る。同名の韓国映画をハリウッドリメイクした本作。原題は『The Lake House(湖畔の家)』で、韓国版の海辺の家(イルマーレはイタリア語で“海”の意味)からアレンジされたが、基本ストーリーは同じだ。医師のケイトが湖畔の家から引っ越す際に、次の住人に向けて郵便ポストに手紙を入れる。ところがその手紙は2年前に移動。受け取ったのは、当時の住人で建築家のアレックスだった。
主人公2人が別々の時間に存在するのに、交換する手紙だけはなぜか行き来する。いくら手紙で心を通わせても、彼らは現実で会うことができない。そんなもどかしいシチュエーションにヤキモキさせつつ、後半、2人の運命がシンクロする瞬間、テンションが急上昇。サンドラ・ブロックとキアヌ・リーブスは『スピード』以来の共演で、アクション映画とは違う美しきケミストリーを見せ、ハリウッド2大スターの魅力を証明してくれる。ガラス張りの一軒家などプロダクションデザインも秀逸な一作だ。
『フェイクシティ ある男のルール』
製作年/2008年 監督/デヴィッド・エアー 脚本/ジェイムズ・エルロイ 共演/ヒュー・ローリー、クリス・エヴァンス、セドリック・ジ・エンターテイナー
ストイックなキアヌが楽しめる!
キアヌ・リーヴスのキャリアの中では、派手さが少ないものの、役にぴったりという点でハイレベルなのがこの作品。キアヌが演じるのはLAPD(ロサンゼルス市警)のトム・ラドロー。まわりに頼らない一匹狼で、捜査のためには手段を選ばない。性格は短気で、刑事なのにアウトロー。
善と悪の混沌とした世捨て人のようなキャラクターが、キアヌの魅力とマッチしている。かつてコンビを組んでいた同僚に内部告発されたトムだが、目の前でその同僚が覆面強盗に殺害され、トムの撃った銃弾も同僚に当たってしまい……。
脚本を手がけているのが、『L.A.コンフィデンシャル』などの原作者で犯罪小説の巨匠である、ジェームズ・エルロイ。そのせいか警察の裏事情や犯罪のシーンは徹底してリアルに描かれている。銃撃アクションなど、映画っぽい過激さより、現場の生々しさを重視した感覚で演出されているので、逆に新鮮かも。
この手の犯罪アクションは意外な展開がセールスポイントになることが多いが、今作は物語もアクションも、余計なヒネリを入れずに突き進んでいくところが魅力になっている。妻を亡くしたトムが、看護師の恋人と微妙な関係が続いていたりと、すべてにおいてストイックな雰囲気がキアヌに似合っているのだ。
『ジョン・ウィック』
製作年/2014年 監督/チャド・スタエルスキ 共演/ミカエル・ニクヴィスト、アルフィー・アレン
寡黙で孤独というキアヌらしさに魅了される!
裏社会で生きる凄腕の殺し屋だった男ジョン・ウィック。愛する女性と結婚し、平穏で幸福な日々を送っていたが、やがて妻は病死。さらに亡き妻が残した愛犬をかつての裏組織に殺されたことで憤怒、壮絶な復讐を遂げていくハードボイルドな作品。
本作では、柔術(カンフー)とガンアクションを融合した“ガンフー”を披露。敵をバッタバッタと倒していく様は痛快。『マトリックス』では流れるような華麗なアクションで魅了したが、こちらは至近距離での壮絶な格闘&銃撃戦が満喫できる!
また本作で演じるキャラは、寡黙で孤独な男。そういう面では、“サッドキアヌ”らしさも楽しめる1本といえるだろう。ちなみに製作総指揮も兼任している。
『ノック・ノック』
製作年/2015年 製作・監督・脚本/イーライ・ロス 共演/ロレンツァ・イッツォ、アナ・デ・アルマス
キアヌ史上、ダントツに心ざわめく1本!
ときどき想定外に振り切った役を演じ、ファンを驚かせるキアヌ・リーヴスだが、今作はその好例。建築家のエヴァンは、妻と子供たちが旅行に出かけ、ひとりで留守番をしていたところ、見知らぬ2人の若い美女が訪ねてくる。最初は警戒した彼も、雨で寒さに震える彼女たちを招き入れ、あろうことか欲望に逆らえず一夜の過ちを楽しんでしまう!
この時点でキアヌの意外な表情を楽しめるが、美女たちの態度が豹変。エヴァンを拷問しはじめてしまう。いたぶられるキアヌの姿には、ファンならずとも目を疑ってしまうだろう。近年の当たり役であるジョン・ウィックと同じく、ワンコが重要な役割なのもポイント。
仕事も一流で、理想的な家族をもつ主人公が、さんざんな目に遭う危険極まりないストーリーだが、元をたどれば自業自得。その哀れな状況は痛々しいばかりだが、観ているこちらも思わず共感してしまうのが、この作品のコワいところ。監督は『ホステル』など衝撃ホラー作品が得意のイーライ・ロス。セクシーで過激な描写もたっぷり用意されているし、エヴァンが迎える結末も含め、キアヌの主演映画の中でダントツに心ざわめく一本なのは間違いない!
『ネオン・デーモン』
製作年/2016年 原案・監督・脚本/ニコラス・ウィンディング・レフン 出演/エル・ファニング、キアヌ・リーヴス、カール・グルスマン
嫉妬と妬みがジワジワとやってくる!
モデルになる夢を追い、ロサンゼルスにやってきた少女ジェシー。モーテル生活をおくりながらモデル事務所との契約にこぎつけ、敏腕カメラマンに見出されてチャンスをつかんだ彼女は。事務所の先輩である売れっ子モデルたちを差し置いて、ファッションショーのトリに抜擢される。華々しい成功はジェシーに自身の美ぼうを自覚させるに至った。だが、一方ではそんな彼女を妬んだ者たちの恐ろしい策略が……。
『ドライヴ』の鬼才ニコラス・ウィンディング・レフンがファッション業界の狂気に切り込んだ衝撃作。ヒロインが抱く成功への渇望や、見知らぬ地での不安、それらが自信や傲慢へと変わるさまを見据える。一方では、嫉妬という他者の激しい感情があり、それらが絡み合って突入するクライマックスは弱肉強食の冷酷な世界を象徴するかのようで、ただただ壮絶。キアヌ・リーブスが、何を考えているかわからない不気味なキャラで出演している点にも注目。
『おとなの恋は、まわり道』
製作年/2018年 監督・脚本/ヴィクター・レヴィン 共演/ウィノナ・ライダー
年末年始にホッコリしたいならコチラ!
リゾートでのウエディングに招待されたフランク(キアヌ・リーヴス)とリンジー(ウィノナ・ライダー)。ともに独身の彼らは、空港で初めて対面。すでに、ここから言い合いになって険悪ムードがプンプン。しかも小さな飛行機で隣同士の席。フランクは花婿の異父兄妹で、リンジーはその花婿の元婚約者だと発覚する。噛み合わない会話でさらに険悪なムードになるが、まさかの宿泊ホテルでの部屋や、パーティでの席も常に隣同士。ウエディングの週末、2人の関係はどうなるのか……。
とにかくこの2人、性格に問題あり。思いこみが強く、恋愛に興味なし(と勝手に宣言)、しかも無駄な物に絶対にお金を使いたくないドケチなフランク。そして元婚約者の花婿に対してはもちろん、他人の悪口を言い出したら止まらないリンジー。こんな風に説明すると、最高にイヤミなキャラに思えるが、キアヌとウィノナが演じるとなぜか観ていて親近感が湧いてくるから不思議! お互いを毛嫌いしながらも、ふとした瞬間に相手にときめく感じを、彼らが実に繊細に表現しているのだ。
そしてこの映画は、リゾート・ウエディングの雰囲気を楽しむ、というポイントもある。飛行機も超小型のプロペラ機で、ホテルもめちゃくちゃ豪華というわけではない。結婚式はワイン用のブドウ畑の丘だったりする。しかし、そんなやけに癒される空間が、観ているこちらもロマンチックな気分へと誘われてしまう。というわけで、慌ただしい年末年始に、一息ついてホッコリしたい人にはおすすめ。もちろん、デートムービーとしても最適だ。
『ジョン・ウィック:パラベラム』
製作年/2019年 監督/チャド・スタエルスキ 出演/キアヌ・リーヴス、ハル・ベリー、ローレンス・フィッシュバーン
犬との超絶コンビプレーで敵を退治!
元凄腕の殺し屋ジョン・ウィック(キアヌ・リーヴス)が、亡き妻の遺した愛犬を無残に殺されたことから裏社会に復帰。たったひとりで巨大マフィアを壊滅させて、愛犬の復讐を果たした痛快作のシリーズ3作め。本作では掟を破ったことで命を狙われる立場となったジョンがNYから逃亡するハメになり、シリーズ史上最も派手で壮絶なアクションを繰り広げる。特に白眉はハル・ベリー演じるソフィアとジョン、ソフィアの愛犬という、人間ふたり、犬2頭の共闘シーン。
よく訓練された犬がソフィアの指示に従って敵に襲いかかっていく様子(ドッグ・フー)はかっこよすぎ。ソフィアと並んで歩く2頭の堂々とした(ちょっと得意げ)姿がとても凛々しく、そしてかわいい。やはり『ジョン・ウィック』シリーズといえば犬! “犬は最良の相棒”なのだ。
『マトリックス レザレクションズ』
製作年/2021年 監督:ラナ・ウォシャウスキー 共演/キャリー=アン・モス、ジェイダ・ピンケット・スミス、ヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世
キアヌの最新出演作!
『マトリックス』前3作は、その独自の世界観で、細部まで記憶している人は少ないに違いない。しかし、この最新作はまっさらな気持ちで向き合った方が、その世界観から改めてサプライズを受け取れるはず。キアヌが演じるネオは、ゲーム会社のデザイナーとして活躍しているが、どうも日常に奇妙なムードを感じはじめる。カフェで会った子供連れの女性にデジャヴのような感覚を味わったりするうちに、バッグスという女性が現れ、ネオを異世界に導く。いま目の前で見ている日常が、現実ではなかったと驚くネオ。ここから彼の新たな戦いがはじまるのだった。バッグスから渡された赤のカプセルを飲み、“現実”へ向かったネオとともに、われわれ観客はまたしても衝撃の空間を体験することになる。
たしかに出てくる用語にはわかりづらいものもあるが、人間の都市、ザイオンがアイオに変わった経緯など、登場人物がじっくり説明してくれる。また、前3作の映像があちこちに挿入され、懐かしさとともに、その世界観の広がりを把握できるのも事実だ。何より、2021年の現在、ヴァーチャル空間や、コンピューターの支配といった『マトリックス』のテーマが、より身近に、リアルに感じられる。そして物語の中心にあるのは、マトリックスの世界に侵入したネオによる、トリニティー(前3作でネオを導き、彼の命も蘇らせた女性)の救出劇。ラヴストーリーのようにドラマチックでもあり、そこだけ押さえておけば、複雑なシチュエーションに戸惑うこともないだろう。名作の復活という意味で必見だ。
『ジョン・ウィック/コンセクエンス』
製作年/2023年 製作総指揮・出演/キアヌ・リーヴス 製作・監督/チャド・スタエルスキ 脚本/シェイ・ハッテン、マイケル・フィンチ 出演/ドニー・イェン、ビル・スカルスガルド、ローレンス・フィッシュバーン、真田広之、リナ・サワヤマ
大阪でのバトルも登場!
殺し屋稼業を引退していたジョン・ウィックが、愛犬と愛車を奪われて激怒。マフィアと真っ向勝負する1作目から、直近の第3作にかけて、彼は裏社会を仕切る巨大組織から“追われる”身となっていった。孤高の闘いを続けるジョンは、この最新作で中東から大阪、NY、ベルリン、パリへと場所を移しながら、想像を絶する運命と立ち向かうことになる。上映時間はシリーズ最長の2時間49分。しかし体感的には、まったく長さを感じさせない。アクションとドラマのメリハリが、ここまで絶妙な作品は稀だろう。ジョンが向かうそれぞれの場所でのバトルは、アクション映画を観慣れた人にとっても斬新なスタイルが詰め込まれているので、ついつい“時間”を忘れて見入ってしまうのだ。なかでも注目してほしいのは、パリでも有名な凱旋門の周辺でのシークエンス。“いったいどうやって撮ったのか?”と目を疑う連携の数々は、アクション映画の歴史に残る見せ場と断言したい。
photo by AFLO