映画の劇中コーデに釘付け! 『ザ・ハンター』編
映画に登場するキャラクターの気になる着こなしを映画好きスタイリスト・遠藤亮輔が解説。
スティーヴ・マックィーン主演『ザ・ハンター』に出てくる正統派アメカジ!
実在の賞金稼ぎラルフ・ソーソンの半生を描いたスティーヴ・マックイーン主演 『ザ・ハンター』。ターゲットを探して西へ東へとクルマを走らせ、ときには自らの足で追い詰める。バウンティハンターが稼業であるラルフ・ソーソンは、ドライバーでありランナーである必要がある。
スティーヴ・マックイーン演じるバウンティ・ハンター、ラルフ・ソーソン
そうやって考えてみると彼の正統派アメカジスタイルは、賞金稼ぎとしてのユニフォームのよう。MA-1フライトジャケットはナイロン素材で愛車のシボレーのオープンカーでも風を通しにくい。また短丈でアームホールが広く袖がリブできゅっと締まっているディテールはハンドル操作の際、不自由しないし自ら走るときにもラク。大きい内ポケットには仕事道具のピストル一丁がスッポリ。ちなみにメインポケットにはフラップが付いているのも特徴だ。
デニムは、Lee200。ブルーの色合いも鮮やかで、撮影当時49歳だったスティーヴ・マックイーンも若々しく見える。短丈のMA-1と合わせれば、脚長効果もあるだろう。正統派なアメカジアイテムをジャストサイズで着ることでスッキリと見せているテクがにくい。
さらに見逃せないのが、足元。運転する時(かなり荒い運転で、縦列駐車では、しょっちゅう前後のクルマにぶつけている……)はドライビングシューズの方がいいけど、彼の場合は降車したあと、ターゲットを追い掛け回す必要があるからスニーカーを愛用。〈オニツカタイガー〉のように見えるが、同社に問い合わせてみたところ、どうやら違うようだ。
MA−1にデニムと、武骨で大人っぽい王道アメカジは、バウンティハンターという命がけの仕事をするプロフェッショナルなキャラクターを見事表現。インナーに清潔感のある白シャツを合わせているのは、出産を控える若き妻を大事に思うラルフの優しい一面を表しているように思える。
ちなみにこのスタイルを現代で楽しみたいなら、MA-1はそのままに デニムはテイパードの効いたイージーパンツ仕様に。足元は〈オニツカタイガー〉のメキシコ66に。これなら、イマドキ感がありつつ、ラルフ・ソーソンらしいたくましさが纏えるはず。
『ザ・ハンター』
製作年/1980年 監督/バズ・キューリック 脚本/テッド・レイトン、ピーター・ハイアムズ 出演/スティーヴ・マックイーン、キャスリン・ハロルド、イーライ・ウォラック
photo by AFLO