クライムアクション『ダーティ・マネー』は超ハードなバイオレンス描写に驚かされる!
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正義と悪が混沌としたキャラクターが、とんでもない運命を強いられる。映画やドラマでそんな役割を果たすのが“悪徳刑事”。『L.A.コンフィデンシャル』、『トレーニング デイ』、『アメリカン・ギャングスター』、日本では北野武監督作など数々の名作で、裏では不正行為も平気で行うキャラクターが強烈なインパクトを残した。その魅力を受け継いだ韓国映画が『ダーティ・マネー』だ。
刑事としての仕事は有能で、兄弟のような関係を築いていたミョンドゥクとドンヒョク。捜査を進めるために、時には相手に裏金を要求して自分のポケットに入れるなど“副業”も常識だった彼らが、またとない情報を得る。中国マフィアが資金洗浄のために巨額の資金を韓国から持ち出すというのだ。重病の娘の治療費が欲しいミョンドゥクと、ギャンブルで多額の借金を抱えたドンヒョクは、またとないチャンスを逃さないため、細心の計画を練って大金を横取りしようとするが……。当然、計画はかなり無謀。とんでもないアクシデントが次々と発生するのは、映画としてのお約束。だからこそ息もつかせぬ展開が待っている。2人の汚職刑事に、彼らの計画を知らない警察の仲間や上層部、そして中国マフィアが入り乱れ、中盤からの壮絶さが想像以上なのも韓国映画ならでは。
過去の同類作品と比べても、感情移入する度合いが高めの本作。その理由はミョンドゥクとドンヒョクのキャラが、“完璧”な仕事人ではなく妙に人間くさいから。映画の冒頭は2人の関係にコミカルな部分もあったりして、知らず知らずに共感させる。特に『野獣の血』などの演技派、チョン・ウが演じる兄貴分のミョンドゥクが、強引さと、頼りがい、脆さと焦りなどさまざまな感情をアピール。味方の警察もごまかしながら、どんどん悪化する状況での攻防から目が離せなくなる。凄まじい銃撃戦、超ハードなバイオレンス描写がクライムアクション映画の魅力を加速しつつ、善と悪が交錯するドラマのわりに、流れがわかりやすいのもこの『ダーティ・マネー』のポイント。人生が“詰んだ”と感じた瞬間、人はどんな行動をとってしまうのか……。そんな切実な部分もリアルに迫ってくる一作だ。
『ダーティ・マネー』5月30日公開
監督・脚本/キム・ミンス 出演/チョン・ウ、キム・デミョン、パク・ビョンウン 配給/クロックワークス
2024年/韓国/上映時間100分
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