●今月のビジネスセレブ
モンブラン ジャパン CEO
マーティン・ゴーディアン[Martin Gordian]Profile
1977年、ドイツ・ハンブルク生まれ。ハンブルク・ビジネススクール卒業後、日用消費財の分野に就業。バンブルク、東京、上海で働く。2010年よりラグジュアリーブランドビジネス界に身を置き、2020年モンブラン ジャパンCEOに就任。現在に至る。
モンブラン
モンブラン 1858 ジオスフェール
●愛用歴/約1年
●価格/ 73万4800円
●購入場所/モンブラン 銀座本店
自社製のワールドタイム・コンプリケーション・ムーブメントを搭載。ふたつの半球状の地球は、24時間で1回転する。
「ふたつの回転する半球ディスクを備えた文字盤は本当に興味深く、とてもユニークです! そして、ダイヤルのスモーキーブルーのニュアンスと、スフマートレザーストラップ。毎日、この時計を眺めて楽しむことがやめられません」
MONTBLANC[モンブラン]
モンブラン 1858 ジオスフェール
〈モンブラン〉傘下の名門マニュファクチュール〈ミネルバ〉にオマージュを捧げた“1858”コレクションの中でも、個性際立つコンプリケーションとして高い評価を得ている、ワールドタイマー機能搭載モデル。回転するふたつの半球上に、世界七大陸最高峰、そしてモンブラン山がドットで示されている。これは2018年発表のファーストモデルに次いで、2020年にリリースされたブルーダイヤルバージョン。よりモダンでスタイリッシュな印象を醸し出す。
高級筆記具ブランドとして、絶対的な知名度とステイタスを誇る〈モンブラン〉が、ラグジュアリーウォッチ界に参入したのは1997年。そのインパクトは大きく、知性的なブランドイメージと真摯なウォッチメイキングによって、瞬く間にラグジュアリーウォッチの分野でも成功を収めた。近年では、傘下の名門マニュファクチュール〈ミネルバ〉が受け継いできた伝統と最新テクノロジーを融合させた自社製のコンプリケーションを意欲的に発表し、時計界での存在感は年々高まる一方だ。
昨年、モンブラン ジャパンのCEOに就任したマーティンが、自ら選び、毎日のように愛用しているのも、今日の〈モンブラン〉のウォッチメイキングの非凡な個性を体現する1本だ。
「モンブラン ジャパンのCEOに就任するに当たり、まずは時計を購入しました。物、スタイルからスタートするタイプなので(笑)。でも、それはビジネスに、そして〈モンブラン〉というブランドに気持ちを入れるためにとても重要なことだったと思います」
この、“モンブラン 1858 ジオスフェール”のファーストモデルが発表された2018年当時、マーティンは同業他社に在籍していた。しかしながら、このユニークなデザインのワールドタイマーは、彼の心を捉えていたという。
「今まで世の中になかったデザインと機能もとてもユニークで、ある意味センセーショナルでした。時計業界の中でも大きな話題になり、私も、〈モンブラン〉がとうとう、これほどまでにアイコニックな時計を出したな、と。そして個人的に、いつか欲しいと思いました」
その思いを果たし、入手してから約1年。この時計はマーティンにとって、“仲間”であり“相棒”。つまり、かけがえ
のない存在となった。
地球儀を半分に割ったような、ふたつの半球体。12時側の北半球は反時計回りに、6時側の南半球は時計回りに回転する。このふたつの半球体によるワールドタイム表示は、ユニークなだけではなく、なんと瞬時に異なるタイムゾーンを読み取ることができるという優れた実用性も兼ね備えている。
「この大胆なデザインは確かに目立つけれど、放たれる雰囲気はとてもシック。派手すぎず、ワル目立ちはしません」
そのバランスこそが、〈モンブラン〉のタイムピースの持ち味であり、大きな魅力のひとつだ。そして昨年来、世界を取り巻くこの状況下で、この時計はさらなるパワーを発揮している。
「自由に旅行に行くことができなくなって、まだ先の状況も不透明。そんな今、この時計は旅への憧憬を掻き立て、見るだけでワクワクしてきます。ダイヤルの上の地球を眺めていると、次に行きたい国、場所が、自然と頭に浮かんでくるのです。実は私の子供も、この時計の大ファンで(笑)。地球は回っていて、世界はこんなに広くて……というふうに、子供と一緒に過ごす時間を豊かに彩ってくれています。子供の視野も、これで随分と広がったのではないでしょうか」
そんな唯一無二の個性を宿すワールドタイマーだが、武骨さとは無縁。その佇まいからはスタイリッシュで洗練されたオーラが漂っている。
「この美しいブルーのダイヤルと、同系色のストラップもとても気に入っているポイントです」
ヴィンテージ調のストラップも、フィレンツェにある〈モンブラン〉の工房で製作されているレザー。少しくすんだような、絶妙なカラーニュアンスが瀟洒な雰囲気を醸し出している。
「ブルーは、様々な服装に合わせやすいし、どんな色の靴にもマッチします」
この日の、ダークなチェックのジャケットと、ほどよい抜け感のあるタイドアップスタイルにも、馴染みながらさりげなく存在感を発揮している。
「私にとって時計というのは、もちろん時刻を知るためのものでもあり、ファッションの一部でもあるけれど、それらを超越した、自分自身を託すものです。毎朝起きて時計をつけるとき、今日はどんな自分でいたいか? 自身に問いかけます。そう、とても大きな役割を担ってくれているのです。なので、語弊があるかもしれないけれど、もはや時刻を知るためより、楽しい時間、幸せな人生を過ごすためにつけるもの、欠かせないものですね」
次に欲しい時計も、もう心の中では定まっている。
「週末用に、ブロンズの、“モンブラン 1858 モノプッシャークロノグラフ”。イエローのナイロンナトーストラップ付きが私のウィッシュリストの一番上にあります。もちろんムーブメント含め語りどころは多々ありますが、なによりルックスが大好きなのです!」
高級筆記具から時計まで適材適所のもの作り1906年、ドイツ・ハンブルクの銀行家と、ベルリンのエンジニアらによって創業。1924年、高級万年筆の代名詞となるマイスターシュテュックを発表、1934年には社名に〈モンブラン〉の名が冠された。1993年、リシュモン・グループの傘下に。1997年、スイスの時計産業の聖地、ル・ロックルに自社工房を設立、2007年には名門ミネルバを傘下に収めラグジュアリーウォッチ界に確固たる地位を確立。フィレンツェで製作する高品質なレザーグッズも好評。適材適所なモノ作りで世界のファンを魅了している。
雑誌『Safari』11月号 P252~253掲載
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photo : Tomoo Syoju(BOIL) text : Kayo Okamura