ジェローム・ドゥ・ラヴェルニョール/サンルイCEO
430年以上もの間、ブランドが存続してきた理由とは?
フランスを代表するクリスタルメゾン〈サンルイ〉。創業は1586年。以降、国王主催のディナーなど数々の華やかな場面を飾り、今年3月にはマクロン仏大統領が各国首脳をベルサイユ宮殿に招いて行ったEU首脳会議でのギフトにも選ばれた。そんな〈サンルイ〉が430年以上続く秘密はどこにあるのか。来日したCEOジェローム・ドゥ・ラヴェルニョール氏に聞いてみた。
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「非常に高度な職人技、高品質、伝統と革新の組み合わせをもとに、常に時代に沿って生きてきたからだと思うのです。それを続けるには人材育成が大事です。よい職人になるには10年は必要ですが、熟練職人の引退などで技術が絶えぬよう多くの若い職人を育成し、私は年齢のピラミッドを保つよう心がけています」
時代性の面で、1920年代からすでに外部デザイナーと協業している点も面白い。
「 職人にはノウハウがありますが、創造的とは限りません。でも、そこにデザイナーが未来に対するビジョンを持ちこんだら? 両者が出会うことでお互いが過去をよりよく理解し、未来を創造することができるようになるのです。今年6月のミラノサローネで発表を予定している、フランスのデザイナー、ピエール・シャルパンと一緒に作った新作 “カドンス”もそのいい例といえるでしょう」
そんな野心的な未来志向を持つ〈サンルイ〉は、現在も新たな成長に向け、刺激的なチャレンジを続けている。
「直近の魅力的なポータブルランプの影響もあり、オーダー数がすでに年内に作れる量を超えています」
成長はするが肥大化はできないと語る氏。そこには品質に妥協しない姿がある。
『Urban Safari』Vol.28 P5掲載