Safari Online

SEARCH

CULTURE カルチャー

2024.11.14 NEW


デンゼル・ワシントン「大谷も好きだけど、ジャッジも好き。NYヤンキースの大ファンだから、悔しくてたまらないよ」【映画『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』来日インタビュー】



『グラディエーターⅡ 英雄を呼ぶ声』は、アカデミー賞作品賞を受賞した『グラディエーター』の24年ぶりとなる続編。前作ではラッセル・クロウが演じたマキシマスが主人公だったが、今回はその息子、ルシアスの物語が展開する。アフリカ北部のヌミディアにローマ軍が侵攻。ヌミディアで暮らしていたルシアスは、激戦の末にローマに奴隷として連れて来られる。その彼に剣闘士=グラディエーターの才能があると目をつける一人の男がいた。マクリヌスという奴隷商人で、ローマ皇帝とも親しい彼は、やがて国の支配さえ目論むようになる。

このマクリヌスを任されたのが、ハリウッドを代表する名優のデンゼル・ワシントンだ。画面に登場するだけで、こちらの視線を釘づけにする圧倒的なオーラは今回も健在。悪の香りも漂わせつつ、ストーリーのキーパーソンであるマクリヌスは、デンゼルだからこそ血肉が通ったことを誰もが実感するだろう。リドリー・スコット監督とは2007年の『アメリカン・ギャングスター』以来の作品となるデンゼル。来日した彼に単独インタビューが実現。『グラディエーターⅡ』での役作りから、プライベートでのこだわり、ワールドシリーズの感想まで、あらゆる質問にことのほか楽しそうに答えてくれた。

ーーリドリー・スコット監督は、あなたにマクリヌス役をオファーする際に、ジャン=レオン・ジェロームというフランスの画家の絵画を送り「こういう感じの男を演じてほしい」と頼んだと言っていました。

「リドリーが絵画を? うーん、ちょっと記憶にないな。でも彼が私に送ったと言ってるなら、そういうことなんだろう。受け取ったかもね(笑)」

ーーではマクリヌス役を引き受けたのは、どんな理由からですか?

「この映画に出演するかどうか。迷った瞬間は一度もなかった。リドリーが私に電話をくれて“きみにしかできない役だ”と言ってくれたからね。脚本が手元に送られてきたのが先か、リドリーの電話が先か今となっては思い出せないが、それだけすんなり決まったということだ」

ーーマクリヌス役にどのようにアプローチしたのですか?

「マクリヌスは1作目に登場しなかったキャラクターで、かと言って古代ローマの歴史で参考になる部分はないので、とにかく脚本に頼るのみだった。1ページ目から集中し、そこから役を掘り下げていく。ただそれだけだよ」

ーーマクリヌスには悪役の側面があります。リドリーとの前回の映画『アメリカン・ギャングスター』や、アカデミー賞を受賞した『トレーニング デイ』と同じように、悪役を人間的にみせるあなたの技術が生きています。

「特に演技の秘策があるわけではない。映画を観る人に“こう感じてほしい”という意識で演じるわけではないんだ。脚本から得られたヒントに従い、そこに俳優としての表現を加えたものを、監督が撮影する。特にこうした大作では、編集が大きな役割を占めることを伝えたいね。私の演技が何に対して行われているか。たとえばマクリヌスがほくそ笑んでいても、私がまったく違うものを見て反応したカットが使われているかもしれない。そうやって役のイメージを形成するのも映画のひとつの手段なんだよ」

ーーそうしたことが起こるのも、監督があなたを信頼しているからでしょう。

「私の長年の経験と、以前のコラボレーションによって、リドリーは私に何の心配もせず自由に演じさせてくれた気がする。もちろん私もベストを尽くすことで、この映画が独自のものになったと感じるよ。じつは本作はスケジュールが特殊だった。撮影が始まって2〜3ヶ月後、俳優組合のストライキで中断してしまったんだ。そこから半年以上の空白期間を経て、終盤のシーンを4週間くらいで撮った。こうした変則の状況でも、リドリーは自分のアイデアに自信があったようで、私たち俳優をしっかり演出していたよ」

ーー『アメリカン・ギャングスター』の時、あなたはリドリーから監督としての仕事を学んだと言っていました。

「あの作品は、私の監督2作目『グレート・ディベーター 栄光の教室』と時期が重なっていたので、そんな理由で彼の演出法を観察していたんじゃないかな。今回はシンプルに俳優として、共演者に視線を送っていた」

ーー共演者のポール・メスカルは、あなたと一緒にカメラの前に立つことを心から光栄に感じていると語っていました。そのポールとあなたが闘うシーンは、黒澤明の時代劇のような様式美でしたね。

「そうだったかな? 私はあくまでも演じた男の中に存在するので、客観的にシーンを判断することはできない。“これはクロサワっぽい”というのは監督の意識の表れかもね」

ーー黒澤明といえば、あなたの次回作は黒澤の『天国と地獄』のハリウッドリメイクです。

「『天国と地獄』は誰が監督するのか決まっていない段階で、私のところにオファーが来た。脚本を受け取った時、心から気に入って、どんな作品になるべきか思い浮かべることができた。その作品にふさわしく、なおかつ一緒に仕事をしたい監督を私が提案した。それがスパイク・リーだよ」
 

  

 


ーー前作がアカデミー賞作品賞に輝き、今回の『グラディエーターⅡ』も賞に絡むのでは……という予想も出ていますが、期待を高めていますか?

「今年は僕の息子たちの作品も有力なので、アカデミー賞に向けた賞レースが楽しみだ。“家族びいき”みたいで罪悪感もあるけど(笑)。次男のマルコムが監督し、長男のジョン・デヴィッドが主演した映画(『The Piano Lesson』)と、リドリーと私の映画が共に高い評価を受けている。こんなに賞レースが面白い年はないね」

ーーあなた自身も助演男優賞の有力候補です。『グローリー』、『トレーニング デイ』ですでに2つのオスカーを持っていますが、3つ目も欲しいですか?

「母から教えられたのは“賞(award)は人間が与えるもの。神様からもらえるのが報酬(reward)”ということ。私はこの仕事をはじめて48年になるが、賞にどんな意味があるのかを学んできた。誰が賞を欲しがり、誰がどんな人に賞を与えたいのかを知ることは不可能なんだ。もちろん自分が賞の行方を決めることもできない。だから私は脚本を手に取り、そこに最善を尽くすことに人生を懸けてきた。でも、でも、でも……もしアカデミー賞をもらえる秘密があったら知りたいのが本音だよ(笑)」

ーー『グラディエーターⅡ』ではコロセウムで大観衆が熱狂するシーンも多いですが、日本では先日までメジャーリーグのワールドシリーズが大きな話題になっていて、その光景と重なったりします。

「実は私はNYヤンキースの大ファン。だから今、悔しくてたまらない。“どうした、ヤンキース!”って感じだ。コロセウムのグラディエーターに例えるなら、ヤンキースの選手たちは自分たちに弓矢や剣を向けたようなもの。メインイベントで大敗北を喫し、これから苦しみを味わい続ける。幸運なのは来年に期待できること。グラディエーターは負けたら次がないからね(笑)。私は大谷も好きだけど、ジャッジも好き。あぁ、もうこれ以上、話すのは止めておく」

ーーでは話を変えて、あなたはこうした取材などプライベートではつねに黒のファッションですね。

「そう。黒しか着ない。(服を上から指して)黒、黒、シューズは黒と白。(アンダーウェアのカルヴァン・クラインのロゴを見せ)下着も黒。以上! たまには他の色も着た方がいいかな? ブルーと黒の組み合わせとかは悪くないかもね」

ーーちなみにクルマは運転しますか?

「もちろん。2台所有している。1台はBMWアルピナのB7。加速が心地いい。もう1台は家族用のレンジローバー。この2台で十分だ。とにかく今はムダをなくしてシンプルに生活することを心がけている。そこから快適さが生まれる」

ーー最後に、若い俳優の目標にもなっているあなたが、今後どのような方向に進んでいくのか聞かせてください。

「この業界で最高の才能を持った人たちと、最高の仕事を続けていきたい。それがカメラの前(俳優)でも後ろ(監督)でも、その時のベストを尽くすこと。あとどれくらい仕事を続けられるかはわからないが、今日、明日に引退は決意しないだろう。そしてこの業界には若く才能に溢れた俳優も多いから、未来は明るいと思いたい。私の知識と経験を分かち合うことで、彼らの将来の成功の助けになることを願っているよ」

『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』11月15日公開
原案・脚本/デヴィッド・スカルパ 製作・監督/リドリー・スコット 出演/ポール・メスカル、デンゼル・ワシントン、ペドロ・パスカル、コニー・ニールセン 配給/東和ピクチャーズ
2024年/アメリカ/上映時間148分

●こちらの記事もオススメ!
リドリー・スコット監督「残念ながら、人間は歴史から何も学んでいない」【映画『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』インタビュー】
 

  

 

 
取材・文=斉藤博昭 撮影:三橋優美子 
text:Hiroaki Saito  photo:Yumiko Mitsuhashi
 〈ブランパン〉の“フィフティ ファゾムス”が進化中!新たな“バチスカーフ”はシンプルにいくか、ロマンあふれる複雑機構でいくか!?
SPONSORED
2024.11.13 NEW

〈ブランパン〉の“フィフティ ファゾムス”が進化中!
新たな“バチスカーフ”はシンプルにいくか、ロマンあふれる複雑機構でいくか!?

TAGS:   Watches
冬の格上レジャーシーンに、〈ゼニア〉の贅沢すぎる推しアイテム!
SPONSORED
2024.10.31

冬の格上レジャーシーンに、〈ゼニア〉の贅沢すぎる推しアイテム!

どうやら今年の冬は昨年よりも寒くなるとの予報あり。そうなると、冬のアウトドアレジャーに思いを馳せるのがアクティブ派の大人というもの。「さて、今年はどんなものを着て出かけようか?」、そう思ったら、まず見てほしいのがラグジュアリーライフスタイ…

TAGS:   Fashion
満ち足りたパーソナルタイムを〈レクサス〉で。素の自分に戻れるラグジュアリーがあります。
SPONSORED
2024.10.31

満ち足りたパーソナルタイムを〈レクサス〉で。
素の自分に戻れるラグジュアリーがあります。

クルマとは単なる移動手段ではない。求めるのは乗り心地と静粛性。さらに自宅のように寛げる“プライベートな居住空間”であるのが理想だろう。〈レクサス〉はあらゆる時間の過ごし方に対応する質の高い空間を提供してくれる。

TAGS:   Urban Safari Cars
〈モンブラン〉から日本限定トートバッグが登場!機能的でエレガントだからオンオフ問わず頼りになる。
SPONSORED
2024.10.31

〈モンブラン〉から日本限定トートバッグが登場!
機能的でエレガントだからオンオフ問わず頼りになる。

書くときの音にまでこだわって作っているというモンブランの万年筆。そんな世界最高峰の技術はまさにこのブランドならでは。その筆記具のDNAは当然バッグにも付随する。日本のリクエストのもとにデザインされた今回のバッグは容量、デザインともにオンオ…

TAGS:   Fashion Urban Safari
ビジネスリーダーの足元を華やかに彩るドレスシューズ。タキシードからセットアップまでスタイリングの幅が広がる〈ジ・オニツカ〉。
SPONSORED
2024.10.31

ビジネスリーダーの足元を華やかに彩るドレスシューズ。
タキシードからセットアップまでスタイリングの幅が広がる〈ジ・オニツカ〉。

ジャケットやスーツの装いは、かつてよりルールに縛られず自由に楽しめるように。足元のお洒落も然りで、特定の着こなしに映える1足というよりも、多彩な装いに対応できて、その装いを魅力的に輝かせてくれる1足が理想だ。〈オニツカタイガー〉から生まれ…

TAGS:   Urban Safari Fashion
多彩な特典でライフスタイルの強い味方に! “ヒルトン・オナーズ アメリカン・エキスプレス・プレミアム・カード”で週末の楽しみがグッと広がる!
SPONSORED
2024.10.29

多彩な特典でライフスタイルの強い味方に! 
“ヒルトン・オナーズ アメリカン・エキスプレス・プレミアム・カード”で週末の楽しみがグッと広がる!

「仕事も遊びもこだわりをもって楽しみたい」。そんな充実のライフスタイルを望む人が多くなってきている。なかでも、非日常を感じる体験を日常に取り入れることは、人生をより楽しくより豊かにする方法のひとつ。そんなライフスタイルを楽しむうえで大切な…

TAGS:   Lifestyle
SPECIAL GUEST 楢﨑智亜さんサファリ×ノルケイン Instagram LIVE開催!
SPONSORED
2024.10.28

SPECIAL GUEST 楢﨑智亜さん
サファリ×ノルケイン Instagram LIVE開催!

“ノルケインエキシビション”開催中のISHIDA表参道よりお届け! 話題の新作時計やオススメ商品など、見逃せないアイテムの数々をゲストの楢﨑智亜さんと一緒にご紹介します。

TAGS:   Fashion Watches
柔道家・村尾三四郎が〈エンポリオ アルマーニ〉の新作を着る!無限の可能性を秘めた挑戦者のスピリット
SPONSORED
2024.10.24

柔道家・村尾三四郎が〈エンポリオ アルマーニ〉の新作を着る!
無限の可能性を秘めた挑戦者のスピリット

東京五輪で逃した代表の座をパリ五輪で掴み取り、その名を世界に知らしめた柔道家の村尾三四郎。幼少期から“本物”の強さを追い求めてきた“令和の三四郎”は、すでに4年後のロス五輪で頂点に立つ自分の姿を思い描き、自らの無限の可能性を探求する険しい…

TAGS:   Fashion
大人のライフスタイルにぴったりなのは〈エルケクス〉!“軽くて暖かい”が冬アウターの条件!
SPONSORED
2024.11.01

大人のライフスタイルにぴったりなのは〈エルケクス〉!
“軽くて暖かい”が冬アウターの条件!

ひと昔前とは違って、近年は寒暖の予想が難しい。となると、今期はどんなアウターを狙うべきか迷ってしまう。ならば、気温やシーンに合わせて3タイプのアウターを揃えておくのがいい。おすすめしたいのは、ベーシックで着まわしやすい〈エルケクス〉。軽く…

TAGS:   Fashion
個性派を語るなら〈ハリー・ウィンストン〉プロジェクトZシリーズ!攻め顔に唸る斬新時計を身にまとう!
SPONSORED
2024.10.24

個性派を語るなら〈ハリー・ウィンストン〉プロジェクトZシリーズ!
攻め顔に唸る斬新時計を身にまとう!

まずは、それぞれのフェイスを見てほしい。ほぼ年1回のペースで登場するプロジェクトZシリーズが、いかに個性的でアバンギャルドな美しさを持っているかがわかるだろう。一方で、最高峰のダイヤモンドで名を馳せるNYブランドが、これほど攻めたデザイン…

TAGS:   Fashion Watches
〈マッカージュ〉なら羽織るだけでサマになる!大人のアウターは欲しいがつまった1着で!
SPONSORED
2024.10.24

〈マッカージュ〉なら羽織るだけでサマになる!
大人のアウターは欲しいがつまった1着で!

これからの季節に必要なのは、サッと羽織るだけでサマになるアウター。さりげない男の色気が漂って、さらに大人らしい上品さも欲しいところ。となると気になるのが、カナダ・モントリオール発の高級アウターブランド〈マッカージュ〉の新作。上質な素材使い…

TAGS:   Fashion
ラグジュアリー感が際立つ〈ファルコネーリ〉!大人の休日アウターはリッチで優しい素材がいい!
SPONSORED
2024.10.24

ラグジュアリー感が際立つ〈ファルコネーリ〉!
大人の休日アウターはリッチで優しい素材がいい!

〈ファルコネーリ〉といえば、知る人ぞ知るイタリアン・カシミヤのブランド。イタリアのクラフツマンシップと原産地にもこだわった選りすぐりの高級天然素材との組み合わせが、驚くほどの着心地のよさを生む。今回のジャケットやダウンも、カシミヤやメリノ…

TAGS:   Fashion
〈アウール〉の“ネーヴェ”は独特の色褪せ感が魅力!こなれた色落ちニットが休日スタイルの決め手!
SPONSORED
2024.10.24

〈アウール〉の“ネーヴェ”は独特の色褪せ感が魅力!
こなれた色落ちニットが休日スタイルの決め手!

“アフォーダブル・シック(上質を着こなす日常)”をテーマに、デザイン性と快適さを追求したアイテムが豊富な〈アウール〉。大ヒットしたジェットセッターパンツ“マルペンサ”でご存知の方も多いのでは? そんな〈アウール〉では、人気のロングセラーニ…

TAGS:   Fashion
シーンを選ばない〈Gステージ〉の1着!冬に頼りになるあったかウールの伸びるセットアップ!
SPONSORED
2024.10.24

シーンを選ばない〈Gステージ〉の1着!
冬に頼りになるあったかウールの伸びるセットアップ!

これからのホリデイシーズンは、なにかとイベントが多い。そんなときに頼りになるのが、黒のテイラードジャケットとパンツ。なかでも注目株は、オンオフ使えるセットアップが評判の〈Gステージ〉。温かみと品格がある素材感ながら快適に着られ、なおかつ表…

TAGS:   Fashion
〈ゼニス〉×〈ポーター〉の腕時計が話題沸騰!名作パイロットウォッチがまさかのコラボレーション!
SPONSORED
2024.10.18

〈ゼニス〉×〈ポーター〉の腕時計が話題沸騰!
名作パイロットウォッチがまさかのコラボレーション!

スイスウォッチメゾンの〈ゼニス〉と日本が世界に誇るバッグブランドである〈ポーター〉が、夢のコラボを実現! “旅”をキーワードにして、最新のパイロットコレクション2型をスペシャルな仕様へとアレンジ。両ブランドのクラフツマンシップを体現した、…

TAGS:   Fashion Watches

NEWS ニュース

More

loading

ページトップへ