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CULTURE カルチャー

2024.09.15


『スケアクロウ』のCPOシャツ。【アノ映画のファッションに憧れて。Vol.52】



本コラムへの登場頻度が高いアル・パチーノは、特に1970年代はアメリカ軍関連のアイテムを映画で身につけてある種のファッション・アイコンだった。現在のパチーノとは若干かけ離れたイメージだが、以前、ここで紹介した『セルピコ』(1973年)の時と同じく、『スケアクロウ』(1973年)でもパチーノはアメリカ海軍の常用アイテムを上手に着こなして現れる。何しろ役柄が過去5年間船上で過ごしたことがある人物という設定なのだから、着こなし上手なのは理にかなっているのだ。

南カリフォルニアの路上で出会った男2人がアメリカ大陸の南西部に位置する街、ピッツバーグに向けて旅をする。目的は、6年の刑期を終えて出所してきたマックス(ジーン・ハックマン)にとっては、ピッツバーグで洗車場をはじめること、そして、長い船乗り生活を終えたライオン(パチーノ)はピッツバーグを経由してかつて一度も会ったことがない我が子に会うためデトロイトを目指していた。
 

  

 


マックスもライオンも路上生活に耐えられる汚れが目立たないダークで強靭なレイヤードスタイルが身についている。マックスがバーシティセーター、花柄のスポーツシャツ、チェックのフランネルシャツ等を頻々に取っ替え引っ替えしているのとは対照的に、ライオンはネイビーにインスパイアされたニットキャップ、CPOシャツ、シャンブレーのワークシャツを常備服にしている。頻繁に着替えるのがいいのか、同じような服でまとめてこだわりをアピールするか、2人を比較するとカジュアルウェアのあるべき着方が見えてくるかもしれない。
 

  

 


ライオンのワードローブで注目したいのはCPOシャツだ。海軍仕様であることから、第二次対戦中に艦上で海兵隊員が着ていた分厚いフランネルのシャツがオリジナルとなり、色は濃紺、6つボタンの前立て、1つボタンのカフス、胸元のパッチポケットが特徴だ。CPOシャツは戦後、海兵隊OBたちが私生活でも着続けたため、人気が再燃。”CPOシャツはシャツジャケットの真髄”と評するファッションコラムがあるくらいだ。それによると、CPOシャツの人気は戦後数十年で高まり、1960年代から70年代にかけてピークを迎えたとされている。『スケアクロウ』の公開時期とぴったり重なるわけだ。

ライオンはCPOシャツの下にマリンブルーのワークシャツや薄手のシャンブレーシャツを合わせている。また、シャツの上にはボートネックやラグランスリーブの紺のセーターを着込み、茶色のコーデュロイパンツを穿いていることもある。それら何気ない路上生活者スタイルが、よく見るとめちゃくちゃオシャレに見えるのは、若き日のパチーノがかなりの着こなし上手だったから。ちなみに、パチーノとハックマンはこのスタイルでサンフランシスコの路上に立ち、物乞いのポーズをとってメソッド演技のヒントにしたのだとか。服と演技は連動しているのだ。

『スケアクロウ』
製作年/1973年 監督/ジェリー・シャッツバーグ 脚本/ギャリー・マイケル・ホワイト 出演/ジーン・ハックマン、アル・パチーノ、ドロシー・トリスタン、アン・ウェッジワース、リチャード・リンチ

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文=清藤秀人 text:Hideto Kiyoto
photo by AFLO
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