身分違いの恋愛を描く映画『ANORA アノーラ』は誰もがヒロインの虜になるはず!
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“アカデミー賞作品賞に絡む映画”と聞くと、社会性の強いテーマや、先鋭的センスなど、ちょっぴり敷居の高さを感じる人もいるかもしれない。しかし意外に、観始めたら止まらない、映画本来の楽しさを誰でも満喫できる作品も入っている。『ANORA アノーラ』は、そんな一本。頂点の作品賞でも有力だ。
主人公はNYのストリップダンサー、“アニー”ことアノーラ。ある夜、仕事場のクラブでロシア人青年のイヴァンを接客したところ、気に入られてしまう。イヴァンは新興財閥の息子で、アニーに“7日間の恋人契約”を申し出た。ギャラは、なんと1万5000ドル! 当然、仕事と割り切って引き受けるアニー。ところが楽しい7日間を過ごしたことで2人は結婚を決意してしまい……と、冒頭の展開を書くと『プリティ・ウーマン』のようなシンデレラストーリーなのだが、ここからジェットコースターのように急展開し、最後までどんな結末に到達するか、目が離せなくなるのが本作の特徴。身分違いの恋愛ドラマが、あまりにテンポの良い映像の切り替わりで描かれ、観ているこちらのテンションを上げつつ、中盤からはアクションサスペンス、脱力系コメディ、シリアスな感動作と、多方向に暴走し、しかも物語がブレないのは奇跡的と言える。
本作の成功を導いた最大のポイントは、アニー=アノーラを演じたマイキー・マディソンの魅力。クエンティン・タランティーノ監督の『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』のマンソンファミリーの一員などで知られる彼女が、ストリップダンサーとしての妖艶な肉体美から、したたかな行動、どんなピンチに陥っても自分の意思を曲げない強さ、さらに豪快なアクションまで説得力満点に表現。最初は“強引な自己チューの女”と感じた人も、映画が進むにつれどんどんアニーを好きになってしまうはず。今年のアカデミー賞主演女優賞は、このマディソンとデミ・ムーアの争いとみられているが、はたして結果は? 監督のショーン・ベイカーは、これまでも『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』など、社会からマイノリティ扱いされる人を共感たっぷりに描いてきた名手。アニー以外の登場人物に注がれた愛が、最後に残す余韻は超プレシャス!
『ANORA アノーラ』2月28日配給
製作総指揮・監督・脚本/ショーン・ベイカー 出演/マイキー・マディソン、マーク・エイデルシュテイン、ユーリー・ボリソフ 配給/ビターズ・エンド
2024年/アメリカ/上映時間139分
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