ハリウッド大作といえば、スターたちがどこまで魅力をアピールしていそうかで“観たい指数”も大きく変わってくる。期待どおりの活躍をしているか? あるいは期待を裏切る暴走で楽しませるか? このあたりの条件をクリアするという意味で、『ザ・ロストシティ』は必見の一本だ。
主演はサンドラ・ブロック。それを聞いて、心に少しでも引っかかる人なら、冒頭から楽しめることは間違いない。人気のアドベンチャー小説を次々と執筆する作家が、自ら空前の大冒険を強いられるというストーリー。小説家のロレッタは、自作のイメージキャラクターでもあるモデルのアランとともに、新作発刊に合わせてプロモーションのツアーを開始。ファンイベントなどで盛り上がるなか、ロレッタは何者かの手によって誘拐され、南の島へ連れて行かれてしまう。とある金持ちが、伝説の古代都市の場所を発見するため、ロレッタの知識を利用しようとするのだが……。モデルのアランもロレッタ救出に向かうが、島では思わぬハプニングも続き、予想不能のアドベンチャーへとなだれ込んでいく。
宣伝ツアーのためのゴージャスな衣装のまま、島での大冒険でズタボロ状態になるロレッタは、サンドラ・ブロックが演じるからこそ豪快で笑える。そして筋肉自慢だが、どこか頼りなさ満点のアランは、チャニング・テイタムがその出世作『マジック・マイク』も思い出させ、こちらも水を得た魚のごとくノリノリだ。意外性を発揮するのは、ブラッド・ピット。古代都市が眠るとされる島での重要なキーパーソン役ながら、まさか、まさかの運命に! さらにハリポタ時代は遥か昔となったダニエル・ラドクリフの危うすぎる演技も味わい深し。俳優たちの振り切った怪演と、南の島での過激なアクションが見事なケミストリーを生んで、余計なツッコミも忘れさせる勢いが全編に充満。ここ数年、何かと“ポリコレ”などへの気遣いも目立つハリウッド作品だが、本作はそこも無関係とばかりに突っ走っていく!
『ザ・ロストシティ』
製作・出演/サンドラ・ブロック 監督/アダム・ニー&アーロン・ニー 出演/チャニング・テイタム、ブラッド・ピット、チャニング・テイタム、ダニエル・ラドクリフ 配給/東和ピクチャーズ
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