〈ブルガリ〉は言わずと知れた、世界有数のジュエラー。1884年にイタリア・ローマで創業して以来、数え切れぬほどの洗練された、豪奢な宝飾品を生み出し、たとえばソフィア・ローレン、エリザベス・テイラー、ゲイリー・クーパーなどといったスターたちの寵愛も受けながら20世紀〜今世紀における“エレガンスと知性の象徴”となった。
その〈ブルガリ〉の根幹のひとつが、時計。同社は1970年代から時計製品を手がけ、こと、生産体制を盤石化し、2010年に“ウォッチメーカー宣言”を行ってからは高級マニュファクチュールとして時計シーンを牽引している。
その経緯の主役ともいうべきコレクション、オクト フィニッシモに、魅惑的な記念&限定モデルが登場した。“オクト フィニッシモ スケッチ 限定”と銘打ったこちらは、ネーミングの通りダイヤル一面に意味深長なスケッチを施した、オクト フィニッシモのスペシャル・バージョン。今年創業140周年を迎える同社が、代表作に象徴的なディテールを与えた。
オクト フィニッシモはイタリア語で“もっとも薄い”という意味のフィニッシモを謳う、高級スリムウォッチの急先鋒。最新の生産基盤を背景に手巻き式トゥールビヨン(2014年)やミニッツ・リピーター(2016年)など、高度な複雑機構をいずれも当時の世界最薄で実現し、ラグジュアリーウォッチの世界に新潮流をもたらした。今回の限定のベースとなる3針のオクト フィニッシモ オートマティックが誕生したのは2017年で、こちらも果たして自動巻きの時計として世界最薄記録を樹立。以降も同コレクションは様々なバリエーションで“最薄”の冠を矢継ぎ早に獲得し、今なお快進撃のさなかにあるわけだが、シンプルでユースフル、かつ価格帯的にも比較的手頃といえる3針の自動巻きはオクト フィニッシモの中核的存在として人気を博している。その傑作がアーティスティックで見目麗しき、スケッチダイヤルを纏った、という構図。
このスケッチは搭載される自社製ムーブメントCal.BVL138の背面、つまり裏蓋側からの眺めで、調速機構や、スリムウォッチの要である、ベースプレートに埋没させて厚みを減らす小径のマイクロローター、コート・ド・ジュネーブ装飾を施したベースプレート、さらにはそこに配される受け石のルビーなどまでが仔細に描かれ、罫線で示したパーツの名称も見て取れる。そう、これはムーブメントの起点。開発の過程でデザイナーが創造力をほとばしらせて一気呵成に描き切った、正式な設計図以前の素描なのだ。
このモデルのデザインを手がけた、つまりスケッチを描いたプロダクト クリエーション エグゼクティブ ディレクターのファブリツィオ・ボナマッサ・スティリアーニは国立デザイン大学ローマ校で工業デザインを専攻し、フィアットなどカーデザインの分野で頭角を現わしたのち20年を超えるキャリアを〈ブルガリ〉で積んだ、ブルガリ ウォッチの躍進を牽引する存在。彼は常にフリーハンドのスケッチからデザインをはじめることで知られ、このモデルにおいてもラフなダイナミズムと、緻密な構造美が同居する様子に並外れたクリエイティビティ、とりもなおさずオクト フィニッシモの魅力の本質が覗く。
2024年7月発売予定。世界限定280本。ケース径40㎜、自動巻き、SSケース&ブレス、100m防水。250万8000円。(ブルガリ/ブルガリ ジャパン)
フル巻き上げで約60時間駆動するCal.BVL138の厚さはわずか2.3mm。これを収めるケースの厚さは6.4mmで、このモデルは極めてスマートなルックスと、ケースの薄さに加え可動域が広く完全にフラットになるブレスレットなど、独自構造による快適な着用感が身上となっている。同時に、究極的な薄さでありながら110面のファセットを生かしたオクタゴナル(8角形)ケースが立体的なハイライトを生み、スケッチの魅力と融合しながら腕元で唯一無二のエレガンスを発揮する。
サファイアクリスタル製のケースバック(つまり、ここからダイヤルに描かれたグラフィックの本物が見られるというわけ)には創業140周年の記念&限定モデルであることを示す"EDIZIONE LIMITATA" and "1884-2024"の文字。名門ジュエラーらしい美意識と、希代のウォッチメーカーの技術力がモノトーンのスリムな躯体で交錯する。その様子は気高く、かつ、非常にファッショナブルだ。
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