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2025.02.01 NEW


【 セバスチャン・スタン 】『アプレンティスドナルド・トランプの創り方』への大きな挑戦

PROFILE
1982年、ルーマニア生まれ。12歳のときに米・ニューヨーク州に移住、俳優の道へ。人気ドラマ『ゴシップガール』のカーター・ベイゼン役で注目を集める。2011年、『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』に出演し、のちにウィンター・ソルジャーとなるバッキー・バーンズを好演。以降、複数のMCU作品で同役を演じ続けている。他の出演作に『ブラック・スワン』『オデッセイ』『ラスト・フル・メジャー 知られざる英雄の真実』など。『ア・ディファレント・マン(原題)』では第74回ベルリン映画祭主演俳優賞に輝いた。



セバスチャン・スタンといえば、『アベンジャーズ』を軸とするマーベル・シネマティック・ユニバース、通称MCUのヒーロー、ウィンター・ソルジャーの姿を思い浮かべる人が大半だろう。キャプテン・アメリカの親友にして、一時は敵対関係にも陥ったウィンター・ソルジャーことバッキー・バーンズの物語は大勢のMCUファンを熱狂させることに。彼とキャプテン・アメリカの哀しき友情にスポットを当てた『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』を、一連のシリーズの最高傑作に推す声も多い。TVドラマや舞台を中心に活躍していたセバスチャン・スタンのキャリアにおいても、運命の思わぬ渦にのみ込まれる悲劇のヒーロー、ウィンター・ソルジャーを好演したことが大きな転機となった。

しかしながら、ウィンター・ソルジャーがMCUの映画に登場したのは、シリーズ自体が一旦のエンディングを迎えた2019年の『アベンジャーズ/エンドゲーム』が最後。同年にはウィンター・ソルジャーがヒーロー仲間のファルコンとコンビを組んで活躍するドラマ『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』の撮影がはじまったものの、コロナ禍の影響による制作中断などに見舞われ、配信に至るまで2年弱を要することになった。その後、MCUのシリーズ自体が改変期に入ったこともあり、スクリーンやテレビで彼の活躍を楽しめる機会はしばらくおあずけ。ウィンター・ソルジャーが次に登場するのは、MCUのアンチヒーローたちが集う新作映画『サンダーボルツ*(原題)』にて! と発表されたのは、2022年9月のことだった。

キャプテン・アメリカ役のクリス・エヴァンスら、MCUを牽引してきたスター俳優たちの多くがシリーズからの卒業状態にある今、初期メンバーでありながらMCUとの末長いつき合いを感じさせるスタンの存在は貴重かもしれない。すでに撮影済みの『サンダーボルツ*』は、日本でも2025年のゴールデンウィークに公開予定。ウィンター・ソルジャーは作品の中で、アンチヒーローたちが組むグループのリーダー的役割を担うという。ヒーローの親友だったはずが、壮絶な運命を経てヒーローの敵と化し、問題を乗り越えて再び絆を結び、今度は一癖も二癖もある者たちのリーダーへ。ウィンター・ソルジャーがたどる道はなんとも複雑で、その分興味深くもあるが、スタン自身もストーリーを楽しんでいる様子。演じるキャラクターの成長と、俳優セバスチャン・スタンの成長。そのふたつをうまく融合させながら、キャリアを前進させることに注力しているようだ。

とはいえ、もちろんセバスチャン・スタンのキャリアはウィンター・ソルジャーに終始するものでは決してない。『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』が公開された翌年、『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』ではヒーローから一転、フィギュアスケート選手トーニャ・ハーディングの暴力的な元夫を演じて衝撃を与えることに。『パム&トミー』ではヘヴィメタルバンド、モトリー・クルーのドラマーとして知られるトミー・リーをエキセントリックに演じ、エミー賞主演男優賞にノミネートされた。ヒーロー役と大事につき合っていく一方、そのイメージを軽々と飛び越えてくるスタンだが、そんな彼にとっても大きな挑戦であったに違いない“問題作”が2025年1月に日本公開。カンヌ映画祭でも話題をさらった『アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方』では、あのドナルド・トランプを演じている。説明するまでもなく、ドナルド・トランプといえば規格外の発言と行動で知られるアメリカ合衆国元大統領(このたびの選挙で“元”ではなくなったが)。かつては成功を夢見る初々しい若者だったトランプがある人物との出会いを経て、現在の彼に近い姿へと変貌していく過程を追ったのが『アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方』だ。スタンが演じるのは今の人物像とは異なる若き日のトランプが中心とはいえ、周囲からは出演に反対する声も上がったとか。だが、俳優としての挑戦に背を向ける選択肢はなかったようで、反対の声がむしろ彼の背中を押したという。また、売れっ子俳優ゆえの宿命というべきか、『アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方』の撮影を終えた直後、『サンダーボルツ*(原題)』の撮影現場に向かうというハードスケジュールをこなすことに。トランプを演じるうえで増量も余儀なくされていたところから一変、ヒーローらしい身体つきに戻すためのワークアウトに取り組む必要もあった。

短期間での肉体改造に悩まされるばかりか、役から役への切り替えにも実は少々てこずったというスタン。もちろん、それはあくまでも彼の中での問題であり、我々が目にするのは完璧なウィンター・ソルジャーだろうが、幅広い役柄に挑み続ける彼は今後も役ごとに頭を悩ませることになるだろう。そして、悩みと向き合うことをどこか楽しんでいるセバスチャン・スタンもいる気がする。



『アプレンティスドナルド・トランプの創り方』

破産寸前にまで追い込まれた若きトランプ(スタン)は、政財界の実力者が集う高級クラブで悪名高き辣腕弁護士ロイ・コーンに出会う。勝つためには手段を選ばないコーンはトランプを気に入り、“勝つための3つのルール”を伝授するが、それが思いもよらない怪物を生み出すことに……。監督は『聖地には蜘蛛が巣を張る』のアリ・アッバシ。ロイ・コーンを『メディア王 ~華麗なる一族~』のジェレミー・ストロングが演じる。
2025年1月17日、TOHOシネマズ日比谷ほかにて全国公開
©2024 APPRENTICE PRODUCTIONS ONTARIO INC. / PROFILE PRODUCTIONS 2 APS / TAILORED FILMS LTD. All Rights Reserved.



反対される多くの声に反発するように「渦中の人」の役柄へと挑戦。
セバスチャン・スタン

 
Information

『Urban Safari』Vol.45 P8~9掲載

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