今年が最後のチャンス! 〈アバルト〉124スパイダー
出合えるのは、これが最後かもしれない。そう思うと、全力でアタックしてみたくなるのは男の性。次はもうないかもしれないチャンスならば、それを逃して人生を後悔したくないですよね? というのも、希少なFRライトウエイトオープンカーが、またひとつ消えていくから。今年(2020年)に生産終了を発表しているのは、1972年に初代が発表され、2016年に再び蘇った〈アバルト〉124スパイダーだ。
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改めてルックスを見直してほしい。実はかなり優れたカーデザインがなされているということを再認識していただけるかと思う。薄いボンネットの先に大きく口を開いたエアインテーク。左右に彫りの深いヘッドランプが配置されるも、瞳の中の丸い意匠がどこかチャーミングさを感じさせ、見る者を笑顔にしてしまう。キャビンはぐっと後ろに配置され、サイドビューのバランスもきれいだ。
筆者も124スパイダーには高速道路や街などで何度か遭遇したことがあるのだが、そのたびにハートをギュッと掴まれ、つい見送ってしまう。まるでそう、たとえるならばサソリの毒にチクッと刺されるような感じなのだ。まさに華と毒を同時に併せ持ったモデルなのだということを、見るたびに思い出す。
実はこのクルマ、〈マツダ〉ロードスターとシャシーや内装を共用している。しかし、ロードスターの実に日本的なワビサビを感じさせる“醤油顔”に対して、驚くほどにきっちりとイタリアンフェイスに仕上げ、キャラを完全に分けたことにはイタリアンデザインの妙を感じて唸ってしまった。いやはや、イタリア人のこのセンスときたら!
さらに実はこの124スパイダー、生い立ちも面白い。実は広島の〈マツダ〉の工場で生産されているのだ。といっても〈アバルト〉のチューンが施された1.4ℓマルチエアターボエンジンなど、パワートレイン系など専用部品はイタリアからの直輸入。つまり組付けを広島で行っているということ。そう聞くと、個人的にはネガティブよりも、こういっちゃなんだが製品としての信頼度は高い気がしてしまう。信頼の日本組付けなんて、機械としては高ポイントじゃないですか。
この124スパイダー、エンジンがイタリア直輸入という以外にも萌えポイント多数。ブレーキは〈ブレンボ〉製、ショックアブソーバーは〈ビルシュタイン〉と、クルマ好きをワクワクさせる部品たちのオンパレード。なにかとメカ好き小僧の心を上手に煽ってくる存在なのだ。そして事実、走りはその高揚感を全く裏切らない!
特に1.4ℓマルチエアターボエンジンの、ぐわっと最初から盛り上がるトルクはさすがラテンのチューニング。この124スパイダーには嬉しいことにMTも用意されているのだが、アクセル操作の最初からきっちり大きなトルクが生まれるので、クラッチミートがとてもイージーなのだ。中間〜高速にかけてもターボの伸びも、息切れのないエキサイティングさ。1.4ℓという数字以上の“踏み感”に、ヤミツキになること間違いなしだ。
新車で買えるのもあとわずか。キャラ立ちオープンが欲しい方は急いで!
★DATA 〈アバルト〉124スパイダー
●全長×全幅×全高:4060×1740×1240mm
●車両重量:1130kg(MT)/1150kg(AT)
●ホイールベース:2310mm
●エンジン:1.4ℓ直列4気筒マルチエア16バルブ インタークーラー付きターボ
●最高出力:125kW(170PS)/5500rpm
●最大トルク:250Nm(25.5kgm)/2500rpm
●トランスミッション:6速MT/AT
●駆動方式:後輪駆動
●税込み価格:406万円(MT)/416万9000円(AT)
●アバルト
TEL:0120-130-595