真面目に造っていても 遊び心はたっぷり!
若い頃はちょっと不真面目なヤツのほうがモテたりしたもの。でも大人になればそんな真面目さにこそ価値がある。クルマも同じ。真面目で遊び心たっぷりな1台がいい!?
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- ドライブは楽し! vol.55
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[フォルクスワーゲン T-Cross]
VOLKSWAGEN T-CROSS
法人という言葉がある。社団法人や財団法人といった団体を指すときに使う。もちろん、我々が属す会社もそうで、ネットで検索すると"個々の集合体"なんて感じになる。なにが言いたいかというと、法人にも人間同様"人格"や"性格"があるということ。自動車業界に長く身を置くとそんなことを感じる機会が多いものだ。たとえば今回スポットを当てる〈フォルクスワーゲン〉(以下、VW)。ご存知のように世界有数のカーブランドで、グループ全体の規模は業界トップクラス。〈アウディ〉〈ポルシェ〉〈ランボルギーニ〉〈ベントレー〉などを擁する、実に多彩なグループだ。
そのグループの中心にある〈VW〉の性格は至って真面目。クルマ造りに関して、まわりを驚かすような衝撃は少なく、コンサバティブなモデルがほとんどだ。そもそもドイツ語の"フォルクスワーゲン"を和訳すると"大衆車"となるのだから、ある意味、企業理念にブレはない。
真面目な要因は土地柄にもあると思う。本拠地のあるヴォルフスブルクは言うなれば北ドイツ。勤勉で時間厳守といった人の多い地方だ。寒い土地柄から生まれた性格だろう。〈VW〉スタッフと話していてもそんな感じがする。で、それに対し、南ドイツのバイエルン州のカーメーカーはもう少しざっくばらん。試乗会の夜、ワイン片手にかなり盛り上がる……。
なんて話をしたのは、このT ーCrossがあまりにも真っ当にできていたから。一見してポップでかわいらしく仕上がっているが、中身は実直。それはパッケージングからしてそうで、全長を短くしながらロングホイールでキャビンをきっちり広くしていたり、ドライビングポジションをアップライトにし、目線を高くしているところなどから汲み取れる。言うなればSUV然としているのだ。これは昨今、このクラスで主流となったクロスオーバー車へのアンチテーゼとも取れる。SUVがブームなってからおよそ20年。この辺でもう一度原点に立ち返ろう、という〈VW〉のメッセージなのではないだろうか。デザインもそう。大胆なモディファイはなく、ポロやゴルフの系譜に連なる。シンプルな造形は〈VW〉らしさ満点。好みで分かれるデザインではなく、多くの人が好感を持ちそうな仕上がりだ。
なにはともあれ、奇をてらわないオーセンティックなコンセプトでT ーCrossは我々の前に現れた。これこそ、真面目な〈VW〉が手掛けた新型車。北ドイツの実直なクルマ造りをどうぞご堪能ください。
ほかにもある!
このクルマの楽しみ方&使い方
今回発売を開始したT ーCrossはファーストエディションとなる2つのモデルをラインナップする。T ーCrossTSIファーストとT ーCross T SIファーストプラスだ。どちらも一般的な導入記念モデルのルールに沿うようにオプションらしき装備がはじめからてんこ盛りなのが特徴。詳細は割愛するが、安全装備も快適装備も充実。プラスのほうは18インチのアルミホイールまで装着するのだからありがたい。
さらに言えば、ファーストプラスにはデザインパッケージなるものが用意されている。それはドアミラー、アルミホイール、シートをカラフルにするもので、ブラック、オレンジ、グリーンから選ぶことができる。ホイールまでカラーリングされるのは相当珍しい。また、この3つのデザインパッケージは、一部の組み合わせを除いて8つのボディカラーと組み合わせることができる。その意味じゃかなり遊べそう。どうせなら、ホイールをオレンジかグリーンにするのをおすすめしたい。リセールを念頭において無難なカラーで収めるという考え方もないことはないが、そんな時代じゃない。
「本当はオレンジのホイールにしたかったけど……」、という人のクルマを横目に大手を振って走ろうじゃないか。
もちろん、あくまでもそこはセンスよく。奇抜な色の組み合わせはNGだ。遊び心は持っても奇をてらわないのが〈VW〉流であることを忘れずに。
ココにもソソられる!
01 ラゲッジスペース
荷物も人も大切に考えられている!
開口部が広く、出っ張りがなく使いやすいのが〈VW〉流。スペースもリアシートを倒せばかなり広く使える。もちろんシートは6:4の分割可倒式。さらに、そのリアシートはスライドができる。実用性という面で真面目に造られている証拠だ。
02 インテリア
スマホ感覚で使えるのがいい!
ダッシュパネルセンターにはオリジナルのインフォテイメントシステムが装備される。ナビゲーションのほか、スマホと連動させてアプリを立ち上げることも可能。また、スマホのワイヤレスチャージング機能も装備するなどなかなか便利。
03 エンジン
小さなエンジンでも力強い!
エンジンは1.0ℓ直列3気筒TSIを搭載。ポロに積まれるターボで過給するユニットと同じだが、116psにパワーアップされているのがミソ。走りは力強く、排気量を聞かなければ1.0ℓとは信じがたい。ギアボックスは7速DSGとなる。
SPECIFICATIONS
フォルクスワーゲン T-Cross TSIファーストプラス
●全長×全幅×全高:4115×1760×1580㎜
●ホイールベース:2550㎜
●エンジン:1.0ℓ 直列3気筒DOHCターボ
●最高出力:85kW(116ps)/5000-5500rpm
●最大トルク:200Nm/2000~3500rpm
●トランスミッション:7速DSG
●駆動方式:フロント駆動 ●車両重量:1270kg
●定員:5名 ●税込み価格:335万9000円
●問フォルクスワーゲン カスタマーセンター ☎0120-993-199
※写真は欧州仕様車です
雑誌『Safari』3月号 P224・225掲載
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