新ビジネススタイルを考えるとこの2択。
貫禄コートは上質素材と機能性素材が先発候補。
新しいビジネススタイルが浸透し、仕事着の選び方もずいぶん変わってきた。それはコートにもいえること。外出先でのリモートワークでも違和感なく着られ、そのままクライアントとの会合に出かけても失礼な印象を与えない。つまり、振り幅の広さが求められるということ。そんな時代には上質な天然素材と機能性素材、2つのコートを用意したい。スーツとカジュアル、両方に対応できる懐の深さが求められている。
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CASHMERE & WOOL
カシミヤや上質ウールなどの天然素材コートは、着る人の品格と審美眼を物語るもの。
新時代のビジネスシーンでもそこは変わらない。選ぶならテイラード技術に裏打ちされたもの。それに限る。
たっぷりとゆとりを持たせた身頃に対し、ピークドラペルが小さめというバランスが新鮮。芯材やパッドを使わず、美しくて印象的なシルエットを描くのは、まさしく〈ジョルジオ アルマーニ〉が得意とするところ。コート86万円、ニット24万円、パンツ16万5000円、シューズ7万7000円、バッグ33万円、手に持ったスカーフ13万8000円(以上ジョルジオ アルマーニ/ジョルジオ アルマーニ ジャパン)
カフェなどのリモートでも気楽に着られるコートを狙うなら、オーバーサイズを選ぶのもひとつの手。おすすめは、〈ジョルジオ アルマーニ〉が仕立てたこの1着。カシミヤに少量のポリエステルをブレンドした生地は非常に軽く、リラックスした印象に拍車をかけてくれる。しかも、ダブルフェイス仕立てなので、ほどよい張りもある。だから、オーバーサイズでもルースな印象に傾かず、洗練されたシルエットを描き出せる。
生地は、ウールにカシミヤを混紡したもの。張りコシがある一方、肌あたりは柔らか。コート84万円(ブルネロ クチネリ/ブルネロ クチネリ ジャパン)
技ありチェスターコート。
オフィスとリモートワークで印象を使い分けられるのが、この1着。2枚の生地を細い糸で繋ぎ合わせるテクニカルな手法を採用。シックな印象のシェブロン柄グレーと、肩の力を抜いて着られる無地のキャメル色という、表裏で2つの顔が楽しめる。
グレーを表側にして着用するときは、フラップ付きのパッチポケットがアクセントになる
上品な光沢を放つカシミヤフランネルは、伸びやかで動きやすさも抜群。コート75万7000円、ストール参考商品(以上ブリオーニ/ブリオーニ ジャパン)
力を抜いて着られる1着。
こちらの1着は、正統派のチェスターコートと思いきや、袖を通してみると薄くて繊細なカシミヤフランネルの1枚仕立て。310gというコートとしては出色の軽さで、その着心地は柔らかなカーディガンのよう。これならリラックスして着こなせるはずだ。
表裏の生地を接着したシームレス構造。コート61万2000円、スカーフ8万1000円、グローブ8万5000円(以上ロロ・ピアーナ/ロロ・ピアーナ ジャパン)
という常識は過去のもの。
「上質素材のコートだと雨が降る日は着にくい」という人はこちらの1着を。カシミヤの繊維1本1本に見えない撥水バリアを施す、レインシステム加工が施されている。だから突然の雨も心配ご無用。しかも超軽量だからアクティブに動けるのも嬉しい。
仕立てはもちろん、パッドも芯材もない1枚仕立て。コート45万9000円、ストール5万5000円(以上エルメネジルド ゼニア/ゼニア カスタマーサービス)
華やかなシルクをブレンド。
リラックス感と品のよさの両方を感じさせるこのコート。秘密は、オフ白にグレーメランジが浮かぶ配色だけにあらず。実はウールカシミヤに、25%もシルクをブレンドしている。だから、ニットでカジュアルに着ても、美しい光沢で違いを印象づけられる。
TECHNICAL FABRIC
ビジネスウエアのカジュアル化、外出先でのリモートワークの増加で注目されているのが高機能コート。
ナイロン系素材を筆頭に軽くて丈夫、さらに撥水性や防寒性も備えた素材は実用面で頼りになる。
襟にあしらわれたトライアングルの意匠は、スポーティな印象を与えるラバー製。なお〈プラダ〉は、すべてのナイロン製品を、2021年末までにこのコートに採用した“Re-Nylon”に切り替えることを目標に掲げている。コート〈参考色〉31万9000円、シャツ6万8000円、ネクタイ2万7000円、パンツ14万9000円、シューズ14万3000円、バッグ37万5000円 ※すべて予定価格(以上プラダ/プラダ クライアントサービス)
服選びのニューノーマル。
ニューノーマルという“新しい時代”を踏まえてコートを選ぶなら、サスティナブルという課題にも向き合うという考え方も大事。〈プラダ〉が手掛けた1着は、海で回収したプラスチック廃棄物などをリサイクルした“Re-Nylon”を採用。その一方でラバーパッチをポケットや襟にちりばめるという遊び心も満載。お洒落を楽しみながら、地球に優しいコートを着こなす。これもまた、新しい時代のお洒落だ。
表地にデニム柄を用いたこのバックパックも、ゴアテックスを採用。コート9万8000円、バックパック5万9000円(以上ヘルノ/ヘルノ・ジャパン)
ビジネスコートの理想型。
〈ヘルノ〉の中でも高機能を謳う“ラミナー”コレクションの1着。見た目は上品な比翼仕立ての定番ステンカラータイプだが、防水・防風・透湿性が極めて高いゴアテックス素材を採用。さらにダウンも封入しているので寒さにもめっぽう強い。
表地に加え、ボタンにもリサイクル素材を採用したエコな作りも魅力。コート7万1000円、シューズ5万6000円(以上ボス/ヒューゴ ボス ジャパン)
馴染む機能素材も秀逸。
スラックスにもデニムにも映えるコートといえば、やっぱりベージュのステンカラーコート。しかもこちらは表地に撥水加工を施し、裏地がキルティングだから保温力も高い。着ているうちにカラダのラインに馴染む形状記憶機能もあり、着心地も快適。
比翼仕立てのフロントを閉じるとクリーンな雰囲気に。コート31万円、サングラス3万9000円(以上ディオール/クリスチャン ディオール)
動きを妨げないコート。
ミリタリーが出自のモッズコートは、動きやすいシルエットが持ち味。これはそのスタイルを洗練させ、悪天候でも着られるテクニカルコットンキャンバスで仕立てた1着。ポケットに同色で施した“Dior”刺繍で、さりげないブランドアピールも。
コート6万2000円(モノビ/ストラスブルゴ)、シューズ2万1800円(リプロダクション オブ ファウンド/ストラスブルゴ)、ストール4万2000円(アリアンナ/ストラスブルゴ)
機能的にも安心感が違う。
このコートに採用した防水透湿素材は、ファブリックメーカーであるイタリアのベステ社が手掛けたもの。雨の浸水を防ぎつつ、ウエア内の蒸れを素早く排出するハイテク素材で、ビジネスマンにはありがたい。フードも実用的でスポーティな印象を醸す。
●ジョルジオ アルマーニ ジャパン
TEL:03-6274-7070
●ブルネロ クチネリ ジャパン
TEL:03-5276-8300
●ブリオーニ ジャパン
TEL:03-6264-6422
●ロロ・ピアーナ ジャパン
TEL:03-5579-5182
●ゼニア カスタマーサービス
TEL:03-5114-5300
●プラダ クライアントサービス
TEL:0120-45-1913
●ヘルノ・ジャパン
TEL:03-6427-3424
●ヒューゴ ボス ジャパン
TEL:03-5774-7670
●クリスチャン ディオール
TEL:0120-02-1947
●ストラスブルゴ
TEL:0120-383-563
『Urban Safari』Vol.18 P30~33掲載
photo : Takashi Noguchi, Tomoo Syoju(BOIL) styling : Kan Nakagawara(CaNN)
hair&make-up : Megumi Matsumoto text : Takumi Endo composition : Keiko Oshima