Safari Onlineの人気記事『【まとめ】絶対に泣ける感動映画23本!』から、年始に観たい感動映画をよりぬき! まだまだ感動映画を知りたいという人は、リンクからアクセスしてみて!
『ニュー・シネマ・パラダイス』
製作年/1989年 監督・脚本/ジュゼッペ・トルナトーレ 出演/フィリップ・ノワレ、ジャック・ぺラン、アントネラ・アッティーリ
泣ける映画の代表作!
映画ファンに“泣ける作品ランキング”を調査したら、確実にトップ3には入ると思われるのが、この作品。未見の人には教えられない(でも、なんとなく予想できる)号泣必至のラストだけでなく、要所にグッとくるシーンを用意している。それらが、映画を観る喜びと強烈につながっているから、何度も涙腺が刺激されるのだ。満席の映画館で人々が一緒に笑い、泣き、拍手するという光景は、新型コロナウイルスで“密を避ける”ルールとなった時代で観ると、本当に愛おしく感じられ、目が潤んでしまうはず。
イタリアのシチリア島の小さな村で、“トト”と呼ばれるサルヴァトーレ少年が、映画を大好きになる。村の映画館で映写技師として働き、映画監督へと成長した彼が、過去を回想する物語。ローマにいるトトが、母から恩人の死を知らされ、故郷の村へ帰ってくる。少年時代のトトを演じたサルヴァトーレ・カシオの、あまりに無邪気な表情に感動しない人はいないだろう。そしてエンニオ・モリコーネによる音楽は、映画史でも最高の仕上がり。ドラマや登場人物の心情との重なり具合が絶妙すぎて、メロディに反応して目頭が熱くなる、“パブロフの犬”的な作用を起こす!
『I am Sam アイ・アム・サム』
製作年/2001年 監督・脚本/ジェシー・ネルソン 脚本/クリスティン・ジョンソン 出演/ショーン・ペン、ミシェル・ファイファー、ダコタ・ファニング、ローラ・ダーン
父娘の姿に心を揺さぶられる!
難病モノというジャンルは、基本的に涙を誘うのが目的で作られるが、過剰になったり、あざとくなったりする可能性も高い。そのハードルを軽々と超え、さわやかな感動を届けてくれるのが、この作品。知的障がいのために知能は7歳のままのサムは、スターバックスで仕事をしながら、一人娘のルーシーと生活している。ルーシーの母親は出産後にすぐに失踪しており、サムはシングルファーザー。前半は、周囲の人々の温かいサポートで毎日を乗り越える父娘の姿が誠実に描かれ、観ているこちらは、早い段階から目頭が熱くなってしまう。
やがてルーシーが7歳になり、父よりも“大人”になったことで、サムの養育能力が問われることに。ルーシーがサムの元から引き離されたことで、サムは裁判で訴えるという無謀なチャレンジに出る。サムとルーシーの親子愛、それを取り戻そうとするサムの実直な奮闘と、いくつもの感動のポイントが、登場人物に寄り添うように演出され、名作となった。人気アーティストがカバーした、数々のビートルズの曲もドラマとぴったりで効果的。サムという難しい役をリアルにこなしたショーン・ペンもさすがだが、ルーシー役、ダコタ・ファニングの天才子役ぶりに、心を揺さぶられるのは確実だ。
『ビューティフルマインド』
製作年/2001年 原作/シルビア・ネイサー 監督/ロン・ハワード 脚本/アキバ・ゴールズマン 出演/ラッセル・クロウ、ジェニファー・コネリー、エド・ハリス
夫婦の絆に涙する!
すべての真理を見つけるという、理想を追い続ける数学者の卵ジョン。名門大学院を卒業した彼は米国防省の暗号解読員として活躍するが、敵国の刺客の影に、つねに怯えていた。そんな彼の救いとなったのが、かつての教え子アリシアの存在。ジョンの不安定な精神状態は、やがて統合失調症と診断され、その病状は日増しに悪化していった。彼の妻となったアリシアは辛抱強く彼を救おうとする。
ノーベル賞を受賞した数学者ジョン・ナッシュの伝記に基づくヒューマンドラマ。周囲には変わり者と見られるだけで、じつは精神を深く病んでいた彼が、妻の献身的なサポートによって快方に向かい、絆の大切さを学んでいく。妻アリシアとは実際には離婚していた時期もあり、映画が史実と異なるとの批判も受けたが、離婚しても彼を見捨てなかったアリシアの献身は事実に基づく。主演を務めたラッセル・クロウはもちろん、アリシア役でアカデミー賞を受賞したジェニファー・コネリーの熱演にも注目。
『チョコレートドーナツ』
製作年/2012年 製作・監督・脚本/トラビス・ファイン 出演/アラン・カミング、ギャレット・ディラハント、アイザック・レイバ
偏見に立ち向かう姿に感動!
1979年、カリフォルニアに住むショーパブのパフォーマー、ルディは隣室の住人であるドラッグ中毒のシングルマザーの息子で、ダウン症の少年マルコを引き取ることに。ゲイの恋人で検事局で働くポールとともに、家族のような愛情に結ばれていく彼ら。しかし、世間の同性愛への風当たりは強く、マルコと引き離されたルディとポールは法廷で争うことを決意。そんなふたりに、さらなる逆風が……。
ゲイの男性が育児放棄された子供を育てた実話にヒントを得て製作された、疑似家族の物語。同性愛者への世間の偏見をリアルに見据えつつ、この逆風に立ち向かうゲイカップルの奔走を描く。彼らと、その“息子”となるダウン症児の強い絆は、胸を引き裂かれるような展開と相まって強烈な後味を残す。ちなみに、主人公ルディを演じた『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』の演技派アラン・カミングは、本作の製作以前に実際に同性婚をしている。
『フィラデルフィア』
製作年/1993年 製作・監督/ジョナサン・デミ 脚本/ロン・ナイスワーナー 出演/トム・ハンクス、デンゼル・ワシントン
考え方も境遇も違う2人の絆にグッとくる!
米フィラデルフィアの法律事務所で働くアンドリューは、ゲイでエイズ患者であることを隠している。そんなある日、仕事のミスを盾に取り、事務所は突然、彼を解雇。その実質的な理由が病気にあることを知ったアンドリューは法廷で争おうとするが、偏見から彼の弁護を引き受ける者はいなかった。同性愛嫌いの黒人弁護士ジョーもそのひとりだったが、やがてアンドリューに共鳴して弁護を務める。そして全米注視の裁判が幕を開けた……。
『羊たちの沈黙』のジョナサン・デミ監督が、トム・ハンクスとデンゼル・ワシントンを迎えて手がけた必見作。同性愛やエイズ患者に対する世間の偏見を告発しながら、ふたりの男の法廷での共闘を描く。考え方も境遇も異なるふたりの間に芽生える友情は、戦いが厳しくなるほどに強くなる。そんな彼らの心の結びつきにグッとくる力作。難病を体現したハンクスは本作でアカデミー主演男優賞を受賞。
『最強のふたり』
製作年/2011年 監督・脚本/エリック・トレダノ、オリビエ・ナカシュ 出演/フランソワ・クリュゼ、オマール・シー、オドレイ・フルーロ
思いやりと友情に心があったまる!
頚髄損傷によりカラダを動かせず、介護を必要とする大富豪フィリップ。その新しい介護人に、は貧困街に住む前科者の移民青年ドリスが選ばれた。盗難を働きかねない者を雇ったことに周囲は反対するが、フィリップは障がいを気にせずズケズケとモノを言うドリスを気に入っていた。ともに過ごす時間の中で、彼らは強い絆で結ばれていく。やがてフィリップは文通相手の女性に心を惹かれるが、障がいに負い目を感じて恋に臆病に。ドリスはそんな彼を励まし、応援するのだが……。
世界中で大ヒットを飛ばし、フランス映画の日本での興行記録を塗り替えた好編。障がい者に対して、人は憐れみの目を向けがちだが、本作のドリスは違う。フィリップが車椅子生活者であろうと、大富豪であろうと遠慮せず、ほかの人間に見せる思いやりと同じような気持ちで接する。そんな目線の対等さに、学ぶべきことは多いのでは? 東京国際映画祭では最高賞のサクラグランプリを受賞。
『きみがくれた未来』
製作年/2010年 原作/ベン・シャーウッド 監督/バー・スティアーズ 出演/ザック・エフロン、チャーリー・タハン、レイ・リオッタ、キム・ベイシンガー
亡くなった弟が兄を支えるファンタジー作品!
兄弟を描いた映画は、兄から弟、または弟から兄への屈折した感情が描かれることが多い。しかしこの映画は、兄弟の愛情が“どストレート”で、逆に新鮮。心洗われる感動作になっている。大学進学も決まった高校生のチャーリーが、11歳の弟サムを乗せて車を運転中、事故に巻き込まれる。チャーリーは生死の境をさまよったあげくに助かるが、サムは命を落としてしまった。大好きな弟を亡くした悲しみ、そして自分の責任にさいなまれるチャーリーの前に、なんと死んだはずのサムが現れる! ファンタジックな要素を前面にフィーチャーしつつ、それをあざとく感じさせないのが本作の魅力だ。
年齢が近い兄弟は何かとぶつかり合うものだが、この映画の場合、チャーリーにとってのサムは、面倒をみて、世話をしてあげる存在。サムも兄からの愛情を素直に受け止めており、だからこそ天国から戻ってきて、チャーリーの話し相手になるのだ。2人が会う場所が、一緒に野球の練習をした森というのも、しみじみと味わい深い。そしてもちろん、この密かな兄弟の関係は、いつか終わりが来ることを予感させる。その決着のつけ方にも無理がなく、兄弟の関係に最後まで心が温かくなるはず。幻想的な森や、チャーリーがヨットに乗る海など、撮影が行われたカナダの美しい自然にも癒される。
『私の中のあなた』
製作年/2009年 原作/ジョディ・ピコー 監督・脚本/ニック・カサベテス 出演/キャメロン・ディアス、アビゲイル・ブレスリン、アレック・ボールドウィン
ドナーとして生まれてきたアナの決断に心震える!
“泣ける映画”というのは、設定を聞いた段階である程度、予想がつくもの。逆に、泣かそうという“あざとさ”を感じ、引いてしまう人がいるのも事実だ。しかし時として、予想した感動の、さらに一歩先へ突き進んで心を揺さぶってくる映画もある。『私の中のあなた』はそんな一本だ。
主人公は、11歳の少女アナ。彼女には白血病を患う姉のケイトがいるのだが、アナはその姉のドナーになるべく遺伝子操作で生まれてきた。幼い頃から白血球やリンパ球を提供するなど、過酷な治療に耐えてきたアナだったが、腎臓移植手術の際、ついに「自分のために生きたい」と両親を相手に訴訟を起こす。
親の都合によって“デザイナーベイビー”として誕生したアナ。それだけでセンセーショナルで、アナの立場になって胸が締めつけられるのは確実。ただ本作は、ケイトの病気、家族がバラバラになりかけるアナの訴訟の先に、さらにエモーショナルな展開も用意している。そこで不覚にも泣かされる人が多いのだ。
アナ役のアビゲイル・ブレスリンは天才子役ならではの複雑な心情を見事に体現。そしてアナに無理を強いてきた母親役、キャメロン・ディアスのクライマックスでの演技が心にしみて、(キャメロンには失礼だが)そこも意外な感動のツボになっている。
『フォエバー・フレンズ』
製作年/1988年 原作/アイリス・レイナー・ダート 製作・出演/ベット・ミドラー 監督/ゲイリー・マーシャル 出演/バーバラ・ハーシー、グレイス・ジョンストン
理想と現実に戸惑う友情物語の傑作!
“友情モノ”も、映画では泣けるポテンシャルの高いジャンル。この『フォーエバー・フレンズ』は、日本語タイトルが示すとおり、友情物語として揺るぎのない作り。主人公2人は女性だが、性別に関係なく観る者の心をわしづかみする。
サンフランシスコのビーチで、たまたま出会った2人の少女、CCとヒラリー。遠く離れた場所に住む彼女たちは、それから長い間、文通を続ける。やがてCCはクラブ歌手、ヒラリーは弁護士となって再会。同居生活や、それぞれの結婚、ケンカに仲直り……と、濃密な友情ストーリーが続いた後、2人には切実な運命が待ち受ける。
“文通”というのが時代を感じさせるが、メールやSNSとは明らかに違う、相手への心配、伝わらないもどかしさを実感させる本作。追い求める夢、理想と現実に悩むドラマでは、主人公2人のキャラが対照的なので、親友との距離感なども含め、どこかで必ず共感ポイントを発見できるはずだ。出会いの場所であるビーチが、クライマックスでも重要な役割を果たす。『Beaches』という原題の意味にしみじみと感動し、CC役のベット・ミドラーが歌う主題歌の歌詞が胸に迫ってくる。
『縞模様のパジャマの少年』
製作年/2008年 原作/ジョン・ボイン 製作総指揮・監督・脚本/マーク・ハーマン 出演/エイサ・バターフィールド、ジャック・スキャンロン、ベラ・ファーミガ
戦争映画の枠を超えた友情ドラマに泣く!
観た瞬間は衝撃の方が上回り、涙も出ないが、しばらくしてその結末がじわじわと思い出され、不覚にも泣いてしまう。『縞模様のパジャマの少年』は、そんな作品だ。第二次世界大戦下のドイツで、8歳の少年、ブルーノの一家が静かな片田舎に引っ越す。孤独な彼は、ある日、有刺鉄線のフェンスの向こう側にいた同い年のシュムエルと仲良くなり、2人はフェンス越しに話す時間を楽しむようになった。シュムエルはいつも縞模様のパジャマ姿だったが、ブルーノはその理由を知らない……。
ユダヤ人の強制収容所をテーマにした作品なので、なんとなく展開を頭に描きながら観続ける人も多いだろうが、この作品の場合、エンディングがあまりにも切実。戦争の悲惨さを伝えるのがテーマだとしても、これは一瞬、わが目を疑うレベルだ。
それでも映画を振り返れば、自分を正当化するために、大切な友人の心を傷つけるなど、戦争映画という枠を超え、等身大の友情ドラマとして感動が蘇るので、流れる涙は温かい。95分という長さなのでテンポもいいし、主人公たちを演じた2人の奇跡的な名演技にも引き込まれる、珠玉の名作だ。