人間関係が希薄になりつつある、コロナ禍。けれども、人と人との絆はやはり大事。そんなことを思い出させてくれる、絆映画を5本セレクト。熱い友情や愛情に、感涙必至! また、「あの感動映画は入っていないの?」と思った人は、まずは“【まとめ】絶対に泣ける感動映画23本!”をチェックしてみて!
『アウトサイダー』
製作年/1983年 原作/S・E・ヒントン 製作総指揮・監督/フランシス・フォード・コッポラ 出演/C・トーマス・ハウエル、マット・ディロン、ラルフ・マッチオ、トム・クルーズ
ポニーボーイとジョニーの絆に胸熱!
舞台は19660年代、アメリカの田舎町。そこでは若者たちの裕福な一派=ソッシュと、貧困層のグループ、グリースが抗争を繰り広げていた。グリースの年少者ポニーボーイとジョニーはトラブルからソッシュのリーダーを刺殺してしまい、追及を逃れるために町を離れることに。この逃避行は彼らの友情を深める。しかし、やがてグループ間の対決は避けられなくなり、ある事故で重傷を負ったジョニーを病院に残して、ポニーボーイは戦いに臨むが……。
S・E・ヒントンのベストセラー小説を映画化した、鬼才フランシス・フォード・コッポラの青春ドラマ。グループ内の友情はもちろんだが、とりわけ印象に残るのはポニーボーイとジョニーの絆。黄金のように輝く子ども時代の純粋さは長くは続かない。人はどこまで、黄金のままでいられるのだろう? 兄弟のように強く結びついた彼らの関係は、それを問いかけてくる。YAスターと呼ばれた当時の若手俳優たちの豪華共演も見どころ。
『こわれゆく女』
製作年/1975年 監督・脚本/ジョン・カサヴェテス 出演/ジーナ・ローランズ、ピーター・フォーク
夫婦の愛と葛藤の物語
工事現場で監督の仕事をしているニックと妻メイベルは3人の子どもたちを育てながら、はた目には幸せに暮らしている。しかし、メイベルは夫とのすれ違いから、情緒不安定に陥っていた。やがて常軌を逸する行動に走った彼女は精神病院に入院することに。数カ月後、メイベルはおとなしくなって帰宅するが、ニックの無神経な言動が引き金となり、彼女の自制心は壊れてしまう……。
ニューヨーク・インディーズの伝説ジョン・カサヴェテスが愛妻ジーナ・ローランズを主演に起用して放った、愛と葛藤の物語。愛し合っていても埋められない、夫婦の心の溝を浮き彫りにしながら、人妻のこわれゆく心をリアルに描写。一方で、そんな母が錯乱状態に陥ろうとも寄り添おうとする子供たちの一途さに心を揺さぶられる。大熱演を見せたローランズはアカデミー主演女優賞にノミネート。『刑事コロンボ』でおなじみのピーター・フォークによる、不器用な夫の好演も光る。
『さよなら子供たち』
製作年/1987年 製作・監督/ルイ・マル 出演/ガスパール・マネッス、ラファエル・フェジット
占領下の子供たちの友情に涙する
1944年、ナチス占領下のフランス。親元を離れ、カトリック系の寄宿学校に疎開している12歳のジュリアンは、転校生ジャンと知り合う。クラスに打ち解けようとしないジャンは、実は神父によって匿われたユダヤ人だった。その事実を知っても気にすることなく、ジュリアンは彼と親しくなり、彼らの友情は日増しに強くなっていく。だが、幸福な日々は長くは続かず、学校がユダヤ人を匿っていることを何者かが密告し……。
『死刑台のエレベーター』などで知られる名匠ルイ・マルが、自身の体験に発想を得て生み出した秀作。人種偏見とは無縁の子供たちの友情や、神父と生徒たちの信頼など、尊い人間関係を真摯に見つめる。一方で、それらを無情に引き裂いてしまう、戦争という現実。そんな悲劇が後の人生にあたえる影響をも視野に入れた、マル監督の深みのある演出が光る。子役たちの好演も忘れ難い。
『しあわせの隠れ場所』
製作年/2009年 原作/マイケル・ルイス 監督・脚本/ジョン・リー・ハンコック 出演/サンドラ・ブロック、クィントン・アーロン
幸運な出会いと絆にほっこり
唯一の家族である母が薬物依存更生施設に入れられ、途方に暮れる黒人の高校生マイケル。寒さに震えているところを、裕福な白人の人妻に助けられた彼は、その一家の好意により、家に置いてもらうことに。実の家族のように接してくれる彼らに支えられ、マイケルは学業に励み、一方でアメフト選手としての才能を開花させる。それは後に、彼と一家に、さらに大きな喜びをもたらした……。
スーパーボウルでの優勝歴もある元NFLの人気アメフト選手マイケル・オアーの実体験を元にしたヒューマンドラマ。貧困にあえいでいたところを、慈悲深い一家に助けられた彼の、幸運な出会いを温かみとともに活写。物語の視点は、一家の勝ち気な妻の視点で語られ、彼女とマイケルの疑似親子というべき関係の構築が感動の肝となる。ヒロインを務めたアカデミー賞女優サンドラ・ブロックは、本作でも同主演女優賞候補に。
『マイ・ライフ』
製作年/1993年 製作・監督・脚本/ブルース・ジョエル・ルービン 出演/マイケル・キートン、ニコール・キッドマン
生死を超える人と人の絆の強さに感動!
仕事で成功を収め、愛する妻ゲイルと幸福に暮らしている30代の男ボブに降りかかった悲劇――末期ガンの宣告。ショックを受けながらも、彼はゲイルのお腹にいる、まだ見ぬ息子に向けたビデオレターを撮りはじめる。そこには人生の教訓はもちろん、直接は教えてやれないであろうヒゲの剃り方も。しかし、精神的にも不安定になっていくボブは、死にたくないという気持ちをますます強くし、精神治療法に最後の望みを託す……。
『ゴースト/ニューヨークの幻』の脚本家ブルース・ジョエル・ルービンが監督を務めた人間ドラマ。自分がもしも余命宣告を受けたら、どうするか? 見る者は、まずそれを考えるに違いない。主人公が選択したのは、愛する家族に何かを残すこと。そこに生死を超える人と人の絆の強さが浮かび上がる。お涙頂戴に走ることなく、人間性を重視して物語を紡いだルービンの演出はお見事。マイケル・キートン&ニコール・キッドマンの演技派競演にも注目。
photo by AFLO