テロに立ち向かう勇気に涙!『ホテル・ムンバイ』
世界中を震え上がらせた2008年にインドのムンバイで起こった同時多発テロ。イスラム過激派の実行犯グループが、大都市の駅やレストラン、ホテルなどを同時に襲撃。多くの市民や観光客が巻きこまれ、五つ星のタージマハル・ホテルも宿泊客や従業員が人質に。そしてここは実行犯による籠城がなんと60時間も続いた。そのホテルを中心に、悲惨な事件をとことんリアルに再現したのが本作『ホテル・ムンバイ』だ。
- SERIES:
- 今週末は、この映画に胸アツ!
- TAGS:
- 今週末は、この映画に胸アツ! Culture
『ホテル・ムンバイ』
ムネアツなポイントは?
“誰が犠牲になるかわからない状況に震える!”
ムンバイの各所で起こる銃撃や爆発シーンで、オープニングから一気にたたみかけてくる本作。この緊迫感は、最後の最後まで途切れることはない。その後に描かれる高級ホテルでの攻防、ロビーでの銃乱射、レストランからの脱出、鍵をかけた客室にも迫る危機は、リアルな表現で、その惨劇に目を覆いたくなるほど。いつ、誰が、次の犠牲者になるかわからない不安と戦慄は、この手のテロ事件映画の中でも最高レベルだろう。9.11同時多発テロで、ハイジャックされた機内を再現した傑作『ユナイテッド93』を彷彿とさせる作品だ。
生まれたばかりの我が子を救おうとするアメリカ人夫婦など感動ポイントも多いが、最も胸を揺さぶるのは、従業員たちの自己犠牲精神。ホテルから脱出できたにも関わらず、宿泊客を守るためにホテルに残るという彼らの選択は、まさに“名もなきヒーロー”の姿そのもの。一方、本作では少年のようなテロ実行犯たちの素顔にもフォーカス。電話越しに指示を出す首謀者によって彼らが“操られていた”という沈痛さもあぶり出している。かなりヘビーな体感映画かもしれないけれど、生き残るために立ち向かった人々の勇気には胸を打たれるはず!
『ホテル・ムンバイ』
監督・脚本・編集/アンソニー・マラス 出演/デヴ・パテル、アーミー・ハマー 配給/ギャガ
2018年/オーストラリア・アメリカ・インド/上映時間123分
9月27日(金)より、TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー
© 2018 HOTEL MUMBAI PTY LTD, SCREEN AUSTRALIA, SOUTH AUSTRALIAN FILM CORPORATION, ADELAIDE FILM FESTIVAL AND SCREENWEST INC