アマゾンプライム・ビデオ『アメリカン・フィクション』は皮肉が効いたコメディ作!
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“アカデミー賞効果”という言葉があるように、ノミネートや受賞による作品の認知度の広がりは侮れない。今年は『オッペンハイマー』がアカデミー賞後という最高のタイミングで日本公開されるが、他にも受賞によって一気に注目された作品もある。『アメリカン・フィクション』は、そんな一本だ。
『オッペンハイマー』は13部門ノミネートで結果的に作品賞など7部門の受賞。当初はもう少し多いと予想され、有力と言われて逃した賞のひとつが脚色賞だった。同賞に輝いたのが『アメリカン・フィクション』で、つまり脚本=ストーリーの面白さが高く評価されたということ。本作の主人公、セロニアス・“モンク”・エリソン(セロニアスという名が有名なジャズピアニストと同じで、その姓のモンクが愛称になった)は、大学で英文学を教えながら小説も書いている。彼の小説は批評家受けするものの、売上はイマイチ。一方で黒人女性作家が書いた小説がベストセラーに。その小説が、いかにも黒人のステレオタイプな内容でモンクは軽蔑していたのだが、半分ヤケクソになって彼も“いかにも黒人的”な小説を適当に書いたところ、それが爆売れ!ハリウッドで映画化!? という、モンクもびっくりの展開になってしまう。
たしかにストーリーだけでも痛烈に皮肉が効いている。結局のところ、アメリカのカルチャーは白人が支配していて“哀れな黒人”と表面的な差別を描いた方が受け入れられやすい。本作は、そのあたりを軽妙なコメディとして描いているので、皮肉から笑いへの鮮やかな変換が楽しいのだ。アカデミー賞では演技賞の2部門(主演&助演男優賞)にノミネートされたように、俳優たちのアンサンブルも絶妙。とくにモンク役のジェフリー・ライトは、純粋な苦悩に、卑屈さ、無神経さ、キレやすい性格まで一人の人間の多面性を見事に表現している。そして本題とは別に、モンクの家族のドラマが同時進行し、そこも本作の大きな魅力だ。モンクの母は認知症が出はじめ、姉や弟との関係、さらに隣人との恋など、かなりめまぐるしい要素が、ひとつの物語にピタリとはまっている。観た後、予想外にいい気分になり、アカデミー賞受賞を納得する人も多いのでは?
『アメリカン・フィクション』アマゾンプライム・ビデオで配信中
原作/パーシバル・エベレット 監督・脚本/コード・ジェファーソン 出演/ジェフリー・ライト、トレイシー・エリス・ロス、エリカ・アレクサンダー
2023年/アメリカ/上映時間118分
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