柔らかな光と木の質感がシンプル空間を際立たせる
今回訪問したのは、お気に入りのエリアに見つけたマンションをリフォームして自分たちらしくリセットした板倉邸。四角い画一的なマンションもドアや床の選び方、家具や小物の置き方などインテリア次第で、海外のリビングを思わせる洒落た空間になる。家具や照明の選び方、フォーカルポイントの作り方を是非参考にしてみて!
- SERIES:
- 西海岸的なハッピー・ルーム! vol.30
板倉邸/3LDK/70㎡バーチカルブラインド越しに柔らかな光が入るLDK。床は、同じ長さの小片を市松模様に張っている凝ったデザイン。ダイニングチェアは、背板からアーム、後脚まで一体となったラインが美しくひと目ぼれしたもの
海外赴任のため中東で5年間暮らした板倉さん一家。当時、休みを利用してしばしば訪れたのが、北欧の国々だった。「もともとミッドセンチュリーやロングライフデザインのものが大好きでした。北欧のデザインに触れたことで、木のもつ柔らかさを生かした、使い勝手のよさと美しさを追求した暮らし方がいいなと自然に思うようになって。今の家にもそれが色濃くでています」と語る。
帰国後、周囲に公園や緑が多いことが気に入って選んだ中古マンションをリフォーム。予算にメリハリをつけ、既存のものを生かしながら、自分たちらしくリセットしていった。
たとえば、床はモザイクパーケットとも呼ばれる市松模様の寄せ木張りをチョイス。フローリングの上に張ることで、遮音性を高めつつ、部屋全体をレトロモダンな印象にしている。建具は既存のドアを残しながら一部を増設したり変更。クローゼットの扉はルーバードアに、LDKへのドアはガラス張りにして、圧迫感を軽減し視線の抜けを作っている。
さらに注目したいのは家具や小物使いだ。ダイニングの照明はレトロなデザインのツートーン。ライティングビューローやソファは、いずれも木の脚付きで北欧らしさを感じさせるデザイン。北欧家具に脚付きが多いのは床暖房などの熱による影響を防ぐためとされているが、先細りのすっきりとしたテイパードレッグは、繊細で軽やかなルックスにもひと役買っている。板倉さんはLDKにあえていろいろな高さのソファやチェアを配置。
「そのほうが、気分に合わせて座る場所を選ぶ楽しさがありますし、余白に変化が生まれて、空間が広く感じられます」
お気に入りの小物や器は、素材やアイテムごとにまとめ、敢えてコーナーに飾るなど、フォーカルポイントにも変化をつけて楽しんでいる。
01 空間をすっきりと見せるグレーのカウンターキッチンカウンターと収納庫はグレーの色使いが絶妙。中にはWi-fiルーターなどを収納。カウンター上部は吊り戸棚を外して視界を広くとった
02 細工の美しさが際立つヴィンテージ家具ライティングビューローは、時間を経たチーク材が美しい艶を放つヴィンテージ品。引き出しの木目まで合わせて突き板を張った職人技が光る
03 ドアは色・質感を揃えルーバードアで軽やかに木の質感豊かな無垢の床とドアが落ち着いた印象を醸す。真鍮の取っ手がアクセントに
04 あえてコーナーをフォーカルポイントにチェストの上にはスリランカやベネチアを訪れたときの小物を。さりげない置き方にもセンスが光る
05 抑えのきいた色遣いでミニマルでシャープにスクエアなタイルや鏡のシンプルなウォッシュルームはスケルトンの収納棚で使い勝手もいい
ソファでくつろぎ音楽や映画を楽しむモスグリーンの1人掛けソファは、帰国して間もなく購入したヴィンテージ品。丁寧な縁取りが施された布張りで、7つのクルミボタンを配した上品な作り。ハイバックの背もたれとアールを描く細いアームが、座る人を包み込むようで、家族のお気に入り。ソファに身を沈めて、プロジェクターで映画を見たり、本を読んだりして過ごすオフタイムは至福の時間だ。
キッチンカウンターで長女が本を読んだり、家族でカードゲームをしたりしています。休日には自転車で公園に行くことも多く、子供たちが伸び伸び野性化しています(笑)。
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●ハウストラッド
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雑誌『Safari』10月号 P198~199掲載
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photo : Takafumi Matsumura text : Kuniko Nakajo