1957年にエミリオ・プッチ本人がデザインした幾何学プリント(ルパと呼ばれる)を、今季の〈エミリオ・プッチ〉のゲストデザイナー、クリステル・コーシェがリデザイン。繊細かつ大胆なグラフィックがほかにはない1着。5万円(エミリオ・プッチ/エミリオ・プッチ ジャパン)
英国を代表する歌手スティング。彼の曲はなぜかヒップホップシーンにおいて、元ネタとして使用されることが多く、「シェイプ・オブ・マイ・ハート」の冒頭のクラシックギターのフレーズをサンプリングしたナズの「ザ・メッセージ」や「イングリッシュマン・イン・ニューヨーク」をリメイクしたブラック・アイド・ピーズの「ユニオン」など枚挙にいとまがない。このサンプリングという行為、ネタ元への敬愛のみならず、そこに現代的なエッセンスをプラスすることで、よりいっそう楽曲をいいものにしようという“温故知新”的試みのように思うが、どうだろうか?
“故(ふる)きを温(たず)ねて新しきを知る”という話をファッションの世界に当てはめるなら、この〈エミリオ・プッチ〉のパーカは最良の材料だ。なぜなら、1957年にエミリオ・プッチ本人がデザインしたプリントが、デザイナーのクリステル・コーシュによってサンプリングされ、オーバーサイズのパーカに落としこまれることで、2020年の現代にフィットするデザインへと生まれ変わっているから。まさに、スティングの名曲がヒップホップアーティストによって全く新しく進化したように!
細部にまでデザインが行き届いているからこそ、着ている者をラグジュアリーな気分にさせてくれる。紐の先のシルバーのアグレットに入ったブランド名がまさにそれ。見落としがちだが、あるとないとでは大きな違いだ
●エミリオ・プッチ ジャパン
TEL:03-5410-8992
雑誌『Safari』11月号 P156掲載
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