映画『サンキュー、チャック』単独インタビュー
マーク・ハミル「10代の頃に2年以上、日本で暮らし、青春時代の最も幸せな思い出になったよ」

スティーヴン・キングといえばホラー小説の大家だが、じつは“非ホラー”作品の映画化に傑作が多いことでも有名。『スタンド・バイ・ミー』、『ショーシャンクの空に』というタイトルを挙げれば、その事実に納得する人も多いはず。そんなキングの法則に当てはまる作品がまた一本、増えた。キングの短編を映画化した『サンキュー、チャック』は、いくつもの自然災害でネットや電話などダウンした世界に、タイトルにあるチャックという人物の人生を重ねながら、思わぬ感動を届ける一作。過去のどんな映画とも違う味わいが絶賛された。同作でチャックの人生に大きな影響を与える祖父を演じたのが、マーク・ハミルだ。『スター・ウォーズ』シリーズのルーク・スカイウォーカー役で知られる彼が、単独インタビューで自らの人生も振り返りながら語ってくれた。
ーーあなたが演じたアルビーは、孫のチャックに数学をもっと学んで堅実な仕事につけとアドバイスします。俳優という、ある種、リスキーな職業を選んだあなたは、どんな思いでアルビーを演じましたか?
「アルビーは何かと“数字”にこだわるけど、私は数学が大の苦手(笑)。でもだからこそ、自分の仕事をあれだけ情熱をもってアピールし、会計士がいなければ世界が成り立たないと主張する彼が魅力的に思えたんだ。そんなアルビーを正当に評価したい。自分と違う人生に、むしろ共感できる部分もあるということさ」
ーーアルビーの意に反してダンスに夢中になるチャックは、もしかしてあなたの子供時代と似ていたりは?
「私は幼い頃、新聞に毎日掲載される漫画に夢中になり、父から禁止されたにもかかわらず、コミックブックを読むようになった。その後、ディズニーの映画やワーナー・ブラザースのアニメ『ルーニー・テューンズ』も好きになり、ある時、テレビでクラレンス・ナッシュという白髪のスーツの男性が、マイクの前でドナルドダックの声を披露しているのを観て、衝撃を受けた。それまでドナルドの声を人間が出しているとは知らなかったので(笑)。そこで私は、声優という仕事をもっと知りたい欲求にかられた。ドナルドダックの声を仕事で担当している人がいるなら、その仕事をやってみたい、とね。当時はよくドナルドダックの声真似を練習したものだよ」
ーーそこからどんな行動に移したのですか?
「レコード屋に行き、『ロッキーとブルウィンクルの大冒険』(テレビアニメ)のアルバムを買い、その他のディズニーアニメのアルバムの裏を確認し、演じた俳優の名前をメモしたりした。それが8歳とか9歳の頃かな。そんな私を両親は『テレビの観過ぎだ』と心配してたけどね。でもテレビだけでなく読書も好きで、チャールズ・ディケンズやジュール・ヴェルヌなんかを読み漁った。とにかく現実では訪れることさえ想像できない場所に憧れていたんだ。つまりは現実逃避型の子供だね」
ーー想像できない場所へ行く夢は、俳優として『スター・ウォーズ』の主演で叶うことになりましたね。
「やはり幼い頃、テレビで観た『オズの魔法使』の虜になったんだけど、『スター・ウォーズ』の脚本を読んだとき、“これはまるで『オズの魔法使』だ”と心がときめいた。主人公の性別は違うが、どちらも退屈な日常から脱し、地平線の向こうの世界に行きたいと思う若者の物語。『オズ』のドロシーは、ブリキの木こり、かかし、ライオン、良い魔女と悪い魔女、魔法使いに出会う。私が演じたルークも農場で育ち、プリンセスと会い、宇宙の海賊にも遭遇する。アレック・ギネスが演じたオビ=ワン・ケノービは、ある種の魔法使いだし、ダースベイダーは象徴的な悪役だ。この2作は、主人公が冒険に出て、彼らとストーリーを奏でる構成が似ていて、しかもそれぞれ独創的。そんな作品に参加できたのは本当にラッキーだった」
ーー今回の『サンキュー、チャック』では、現場で脚本どおりに演じたのですか?
「そうだね。マイク(・フラナガン監督)の脚本はもちろん、スティーヴン・キングの原作に忠実に演じたかった。ただし、子役を相手にするシーンでは彼らの反応に驚いたこともあったよ。コディ(チャックの幼少期を演じた、本作の監督マイク・フラナガンの息子)は、父親に“電車のおもちゃがレールを3周したら、笑いを止めて”などと指示され、笑わない練習をしてた。その姿があまりに可愛らしく、そうした瞬間は私にもサプライズだったかな。私の若い頃は好奇心旺盛で、撮影現場でも落ち着かなかったので、まだ4歳か5歳のコディが自信をもって演じる姿に感動してしまった」

ーー子役との絆も深まったようですね。
「ベンジャミン・パジャック(少年期のチャック役)は映画の中でダンスの才能を披露するが、信じられないほど素晴らしい歌声の持ち主なんだ。ぜひYouTubeで、彼がミュージカル『オリバー!』の“Where Is My Love”を歌ってる動画を検索してほしい。ベンジャミンはもうすぐブロードウェイで、『ロストボーイ』(1987年のカルト的人気のホラー映画)のミュージカル版に出演するので、私も観に行く予定だよ」
ーー『サンキュー、チャック』の撮影を振り返るあなたの表情は、じつに穏やかで幸せそうに見えます。
「私のパートは約1週間で撮影が終わったけれど、じつは私の娘のチェルシーが、作品全体の製作を手伝っていたんだ。彼女は長年、私のパーソナル・アシスタントなので、その縁でね。『サンキュー、チャック』の真ん中あたりに素晴らしいダンスシーンがあって、その撮影にも立ち会ったチェルシーがうらやましくて仕方ない。5日間くらいの撮影で、天候や照明の調整、大勢のエキストラを相手に本当に大変だったそうだけど、そのシーンを完璧に撮れたことで、全スタッフが本作の成功を確信したらしい。あのシーンは、よくあるハリウッド映画と違って、奇跡が本当に起こり得るのだと信じさせてくれる。私にとっても、これまで観たことのない映像になっていた。『サンキュー、チャック』は、そういう瞬間がたくさんある作品だよ」
ーーこれまでのキャリアでも、かなり満足度の高い作品ということですね。
「私の妻も“あなたの出た映画で一番好き”と言ってくれた。個性豊かなキャストの誰もが完璧で、2回目に観た時、新たな発見もあった。作品の魅力を言葉で表すのが難しいけれど、その分、観る人それぞれが何かを発見する喜びがあると思う。私のキャリアの中でも特別な作品になったよ」
ーー『サンキュー、チャック』以外にも出演作が相次いでいます。
「同じスティーヴン・キング原作の『ロングウォーク』(6/26日本公開)も、『サンキュー、チャック』と近い時期に撮影した。その後すぐに『スポンジ・ボブ』の新作(『劇場版スポンジ・ボブ 呪われた海賊と大冒険だワワワワワ!』、日本は公開中)で声優を務めた。どれも違ったキャラクターで、どうやら私は多才だとみなされているらしい(笑)。本当に幸運だよ」
(※その他にも、声優を務めたアニメ『キング・オブ・キングス』も日本で公開中)
ーー残念ながら、インタビュー終了の時間です。
「じゃあ最後に一言。私は日本が恋しくてたまらない。10代の頃、2年以上、日本で暮らし、青春時代の最も幸せな思い出になったんだ。週末には(住んでいた横須賀の米軍基地から)東京へ行き、新幹線にも乗った。あの日々は本当に今でも大好き、大好き、大好きさ!」
『サンキュー、チャック』5月1日公開
原作/スティーヴン・キング 監督・脚本/マイク・フラナガン 出演/トム・ヒドルストン、キウェテル・イジョフォー、カレン・ギラン、マーク・ハミル 配給/ギャガ、松竹
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