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CULTURE カルチャー

2025.06.20

『ハリー・ポッター』シリーズでグラフィックデザインを担当!
“ミナリマ”が来日インタビューで語った貴重な舞台裏エピソードとは?

写真左からエデュアルド・リマ、ミラフォラ・ミナ

開業2周年を迎える『ワーナー ブラザース スタジオツアー東京 - メイキング・オブ・ハリー・ポッター』(以下、スタジオツアー東京)は、4月から始まった特別企画『炎のゴブレット』も好評で、来場者が途切れない状況だ。その企画に合わせ、映画『ハリー・ポッター』および『ファンタスティック・ビースト』シリーズで、グラフィックデザインを担当したミラフォラ・ミナとエデュアルド・リマが来日。“ミナリマ”というデュオの名前で『ハリー・ポッター』のファンの間で知られる彼らが、映画製作におけるデザインの舞台裏や、スタジオツアー東京で彼ら自身が手がけた展示の見どころ、さらに『ハリー・ポッター』のキャストや原作者J.K.ローリングとの“今だから明かせる”エピソードを語った。

ーー映画『ハリー・ポッター』シリーズは1作目からデザインに関わってきたそうですね。

エデュアルド「僕は2作目の『秘密の部屋』から、ミラフォラは1作目の『賢者の石』から関わっています。5作目の『不死鳥の騎士団』くらいからアシスタントも増えました」

ーー4作目の『炎のゴブレット』でシリーズは大きく動きます。そこで手がけたアイテムを例に挙げて、デザインの苦心などを振り返ってもらえますか?

ミラフォラ「3作目の『アスカバンの囚人』までは平面(2D)の装飾やタイポグラフィがメインだったのですが、4作目からは3Dのデザインを任され、タイトルにある“炎のゴブレット”や、そのケース、金の卵、ワールドカップのトロフィーを手がけました。ロンドンの美術館や博物館を訪れ、現実のアイテムを参考に、そこに20%くらい魔法の世界らしいアレンジを加えたのです。ゴブレットは、それ自体が“生きている”感じを表現したくて、木の幹のようなイメージでデザインしました。変化の激しい物語に合わせた感じですね」

ーー映画ではそのゴブレットから、魔法学校対抗試合の代表選手の名が書かれた紙が出てきます。スタジオツアー東京でも、その様子が再現されています。

エデュアルド「羊皮紙を巻くリボンにもこだわり、フランスのヴィンテージ・ショップまで出かけて調達しました。そして羊皮紙は各学校で使われる教科書の材質に近づけました。ファンの人たちの合点がいくように、細部まで気を遣うんです」

ミラフォラ「折り紙のような技術も使っていますよ。映画では、紙が燃やされるので何百枚も用意しなければなりません。しかも“燃えてない紙”、“半分燃えてる紙”、“1/4燃えてる紙”と多くのバージョンが要求されるので、作りながらストレスが溜まることもありました(笑)」
 

 

展示コーナーでは実際の羊皮紙も見ることが出来る

ーースタジオツアー東京には、あなたたちがレイアウトを含めて監修を行なった展示スペースもあるそうですね。

ミラフォラ「さまざまなショップが並ぶ展示には、私たち“ミナリマ”が担当したセクションがあり、全体をドーム型にして、何が映写され、どんなタイポグラフィを使うかなどアイデアを出しました。店のサインにはガラス職人の腕を借りたりと、作業も楽しかったですね」

エデュアルド「こうしたスタジオツアーの仕事では、映画を一緒に作ったメンバーが再集結するのも大きな喜びです」

ミラフォラ「あのセクションは、ロンドンのストリートが東京にそのまま運ばれたかのようで、私も大好き」

エデュアルド「どんな場所で、どんな方向で写真を撮っても“映える”と思いますよ(笑)」

ーースタジオツアー東京では、富士山や桜など日本らしい要素が取り入れられたアイテムが売られたりしています。あなたたちのデザインに日本の文化がインスピレーションになったりは?

ミラフォラ「『ハリー・ポッター』に関わる前から、グラフィック・デザイナーとして日本文化に興味を持っていました。1900年頃の広告やマッチ箱の構図に惹かれたりしたんです。そう考えれば、私たちが手がけた『ハリー・ポッター』のデザインと日本独自のデザインの相性は良いと感じます」

エデュアルド「『ハリー・ポッター』に出てくる本の装丁やテクスチャーも含めた全体のデザインに日本の影響は見てとれるでしょう。個人的には、クィディッチの世界大会に日本が出てこなかったのは残念でした。このスタジオツアーに展示されてる大会ポスターには日本も入っているので、ぜひチェックしてみてください」

ーーおふたりの役割分担も含め、『ハリー・ポッター』シリーズにおけるデザインのプロセスを教えてください。

エデュアルド「最初の頃は僕がレイアウト、ミラフォラがカリグラフィーという傾向があったけれど、きっちりとした役割は決めずに有機的な共同作業になっています。じつは3人目の“ミナリマ”という存在がいて、その架空の存在が、たがいの意見を交換したり、やることを変えたり、指示してくれてるんです(笑)」

ミラフォラ「とにかく手がけるアイテムが膨大なので、作品全体の流れというより、ストーリーの瞬間、瞬間に反応して仕事をした感じです。最も意識したのは、キャラクターに寄り添ったデザインですね」

エデュアルド「主人公ハリーの運命や成長に沿ってデザインを考えつつ、そこに僕らが独自の色彩を与えてもらったりと、そうした創作の自由がありました。物語ダークになってくると、クイディッチの試合はカラフルにするなど、デザイン面でメリハリをつけるんです。シリーズ初期はコンピュータの速度も遅く、フォトショップもバージョン5くらいだったので、手描きの作業も多かったですよ」
 
 

『日刊予言者新聞』は最も象徴的なデザインの一つ

ーー映画のデザイナーとして最も尊敬するのは誰ですか?

エデュアルド「『ハリー・ポッター』で一緒に仕事をしたスチュワート・クレイグ(美術監督)とステファニー・マクミラン(セットデコレーター)からは、映画業界のデザイナーとして大きな影響を受けました。デザイン自体はもちろんですが、周囲の意見を聞く現場でのアプローチを学びました。何より、気持ちを込めてデザインする姿勢が尊敬できます」

ミラフォラ「残念ながらステファニーは亡くなったので、今でも迷った時は『ステファニーならどうする?』と自問自答します」

ーー「ハリー・ポッター」の原作者、J.K.ローリングとの思い出は何かありますか?

エデュアルド「彼女は現場に来ると、私たちのエリアによく足を運んでくれました。小道具の本の装丁などに、作家として親近感があったのでしょう」

ーーでは『ハリー・ポッター』のキャストとのエピソードで、印象に残っていることは?

ミラフォラ「双子のフレッド&ジョージを演じたフェルプス兄弟の一人から『小道具に細かいデザインを詰め込むのはこんなに大変なんですね。僕らもそれくらいの努力を演技に注ぎます』と言われた時は感動しました」

エデュアルド「ヘレナ・ボナム=カーターは、役のベラトリックスの衣装と髪型のままで僕らのオフィスに遊びに来たのですが、彼女は物作りが大好きらしく、何時間か手伝ってくれました。撮影の待ち時間だったようです」

ミラフォラ「そうそう。ハサミで切ったり、糊付けしたり」

エデュアルド「あとこれは別作品でのパーティだったのですが、アラン・リックマンに『ハリー・ポッター』のデザイナーだと自己紹介したら、『君たちか、私をイライラさせるデザインを手がけたのは!』と返されました。もちろん、それは彼らしい英国風ブラックジョーク(笑)。その後、彼はハグしてきて『同じ仕事をしてきた身として、君たちほど素晴らしいアーティストはいない』と言ってくれました。俳優になる前、彼もグラフィック・デザイナーだったんです。今も忘れられない、感動のエピソードですね」

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取材・文=斉藤博昭 text:Hiroaki Saito
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