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CULTURE カルチャー

2023.11.26


【まとめ】マーティン・スコセッシの監督映画8選!

『Safari Online』で配信してきたマーティン・スコセッシ監督の映画作品をまとめてご紹介!




『レイジング・ブル』

製作年/1980年 監督/マーティン・スコセッシ 共演/ジョー・ペシ、キャシー・モリアーティ

体重を27kg増やした伝説的作品!
最近ではクリスチャン・ベールや、日本の鈴木亮平のように、役に合わせて極端な体重の増減に挑む俳優が増えたが、その原点といっていいのが今作のデ・ニーロだ。すでにアカデミー賞では助演男優賞を受賞済みで、主演男優賞にも2度ノミネートされていた彼が、念願のその主演男優賞に輝いた記念すべき一作である。

デ・ニーロが演じたのは、実在のミドル級ボクサー、ジェイク・ラモッタ。納得のいかない判定負け、八百長試合などを経験し、タイトルマッチで復活するも、性格が災いして破滅的人生にも導かれる。デ・ニーロはボクサーらしい肉体を作り上げたうえに、引退後の太った姿を再現するため、なんと体重を27kgも増量。信じがたい変貌は、いま改めて観ても驚くばかり!

全編、モノクロ(タイトルなど一部のみカラー)なのだが、その美しさは、ため息が出るほど。生々しさに徹するボクシングのシーンも、モノクロゆえの荘厳さが漂っている。そんな極上の映像美とともに、栄光と挫折、プライドが激しく交錯する劇的な男の運命が強烈に迫ってくる、まぎれもない傑作だ。 

 
 

 

『アフター・アワーズ』

製作年/1985年 監督/マーティン・スコセッシ 出演/グリフィン・ダン、ロザンナ・アークエット

立ち寄ったカフェで迎える不条理な夜
単調なパソコン業務を終えた主人公が、街角のカフェで一人の女性と出会う---。そんなロマンティックな風景が、いつしか不条理極まりない夜へと変わるブラックコメディ。ストーリーはずっと螺旋階段を登り降りしているみたいだし、登場人物もとびきりの変人ばかり。交わす言葉はみんなチグハグで、こちらの真剣な問いかけにちっとも向き合おうとしてくれない。そのくせ逆恨みして、なぜか主人公を執念深く追いかけ回す始末。まるでカフカ的な世界を80年代ニューヨークへ置き換えたかのような場面の連続である。

実は当時、スコセッシ監督は、長年温めた大作が一旦中止に追い込まれ、大きな挫折を味わっていた頃だった。そんな矢先にこの脚本と出会ったのはまさに運命。自身の混沌と不条理を投影するかのような本作を、驚異のバイタリティで、しかもごく低予算で撮り上げたのだとか。その結果、カンヌ映画祭では監督賞を受賞。巨匠に映画づくりの楽しさを再認識させた作品であることを思うと、この出口なしの不条理さがむしろ輝いて見えるはずだ。 

 
 

 

『ケープ・フィアー』
製作年/1991年 監督/マーティン・スコセッシ 共演/ニック・ノルティ、ジェシカ・ラング、ジュリエット・ルイス

静かなる狂気に震える!
強烈な役が多かったキャリアの初期を経て、俳優としての円熟期に入ったデ・ニーロが、再び過激な持ち味を全開にしたのが、この作品。若い時代のような振り切った感じではなく、静かに、そして不気味に狂気を漂わせる演技に、名優の底知れぬ実力がマックスで発揮されている。

1962年の名作『恐怖の岬』のリメイク。少女暴行の罪で14年の刑期を終えたマックスだが、自分を救えなかった弁護士への恨みが消えず、その一家に近づき、家族を崩壊させていく。マックスは復讐のために直接、手を下すのではなく、法を犯さないレベルでじわじわと弁護士家族を支配し、彼らの心を操る。映画を観ているこちらも、精神的な恐怖に陥っていき……というサイコスリラー。

全身タトゥーで、過剰に鍛え上げた肉体。外見もインパクト大なうえに、相手の弱みを瞬間的に察知し、利用する動物的本能、そして人のよさそうな態度がモンスターのように豹変する瞬間と、デ・ニーロの演技はトラウマになるほどの迫力。弁護士の娘との危険なやりとりなど、心ざわめかせるシーンが多数! 

 
 

 




『ディパーテッド』
製作年/2006年 製作・監督/マーティン・スコセッシ 出演/レオナルド・ディカプリオ、マット・デイモン、ジャック・ニコルソン、マーク・ウォールバーグ

警察とマフィアに潜入した男たちの交錯にハラハラ!
レオナルド・ディカプリオとマット・デイモンの競演による覆面捜査もの。バイオレンス描写を得意とするマーティン・スコセッシ監督によるツボを押さえた演出で、アカデミー賞作品賞に輝いている。

ディカプリオ演じるビリーは警察から犯罪組織に、デイモン扮するコリンは逆にギャングから警察へと、それぞれ身分を偽って潜入することに。犯罪組織、警察と、どちらも内通者がいることに気づくが、人狼ゲームさながらに正体をつかむことができない。周囲を欺いて暮らすうちに、本当の自分を見失いそうになり、苦悩するビリーの姿は観ていて、心が痛むはず。

全編とおして緊迫感があるのだが、イチオシなのは2人が最接近する劇場のシーン。ビリーの仕掛けた罠と知らず、組織のボス、コステロとコリンが密会。後方で息を潜めるビリーは、立ち去るコリンを追いかけ路地裏を駆け抜ける。暗闇で、互いの存在を感じ取り、武器を構える……と、残念ながら、ここでのマッチアップはお預け。しかし、互いの身分がバレるかもしれない、というドキドキ感は存分に味わえる名場面だ。 

 
 

 
驚愕のラストに悶絶!先が読めないサプライズ映画5選!

『シャッター アイランド』
製作年/2010年 製作・監督/マーティン・スコセッシ 出演/レオナルド・ディカプリオ、マーク・ラファロ、ベン・キングズレー

繰り返し鑑賞して伏線を回収してみて!
孤島のアッシュクリフ精神病院から、収容患者の女性が姿を消すという事件が発生。連邦捜査官のテディが相棒のチャックと捜査を始めると、病院全体が密かに進める実験など危うい事実が明らかになっていく。アカデミー賞作品の『ディパーテッド』のほか、5回のタッグを誇る、監督マーティン・スコセッシ×主演レオナルド・ディカプリオという映画界最強コンビによる一作。

激しい嵐が不安感を高めるなか、病院の院長をはじめ登場人物の言動がいちいち謎めいていたり、テディの隠れた目的が発覚したりと、観る側の意識をどんどん混乱に導く。今作の場合、この混乱にハマっていく快感も魅力かも。結末への伏線があちこちに隠されているので、2回めに観直した時に、多くの“発見”が可能。ディカプリオもいつもながらの熱演だが、そこにも二重三重の意味が込められている!?

【ここから驚愕のラスト】
じつはテディは、妻を殺害し、アッシュクリフ精神病院に収容された患者だった。その現実を受け止めきれない彼は、自分は捜査官という妄想の世界を創造していたのだ。病院側も治療の実験でテディの“捜査官役”を認めていた。 

 
 

 



『ウルフ・オブ・ウォールストリート』
製作年/2013年 製作・監督/マーティン・スコセッシ 共演/ジョナ・ヒル、マーゴット・ロビー

レオ史上、最も過激な役柄を熱演!
巨匠マーティン・スコセッシと数度にわたってタッグを組んでいるディカプリオだが、タッグ作の中で最も弾け飛んだ演技を披露し、ナチュラルな技巧派の真骨頂を見せつけてくるのが本作。“ウォール街のウルフ”と呼ばれた実在の株式ブローカー、ジョーダン・ベルフォートの自伝的物語の中で、金とドラッグにまみれたベルフォートを演じている。

過激な人生劇場を繰り広げた男の生き様を赤裸々なユーモアを交えて描く作品だけに、ディカプリオの演技も過去一過激にエスカレート。ドラッグをキメたヘロヘロのカラダで愛車を運転しようとするシーン、美人妻(マーゴット・ロビー)を相手に赤ちゃんプレイを楽しむシーンなど、笑える名シーンも多い。アカデミー賞主演男優賞候補となったが、「受賞すべきだった!」との声も。 

 
 

 アル・パチーノ映画5選!

『アイリッシュマン』
製作年/2019年 原作/チャールズ・ブラント 製作・監督/マーティン・スコセッシ 脚本/スティーブン・ザイリアン 共演/ロバート・デ・ニーロ、ジョー・ペシ、レイ・ロマノ

オトコの悲哀を見事に演じた!
1950年代、しがないトラック運転手フランクはマフィアの仕事を引き受けたことで手柄を立て、全米トラック運転手協会の委員長ジミー・ホッファを紹介される。ホッファはマフィアと通じてはいたが、信じた相手を家族のように扱い、同業者の間で熱烈な支持を受けていた。フランクもそんな彼のカリスマ性に心を動かされるが、ホッファが逮捕されたことで状況が変わっていく。出所したホッファと、マフィアの狭間に立たされ、フランクがとった行動は!?

鬼才マーティン・スコセッシによる実録ドラマ。パチーノは実在したホッファを演じ、『ゴッドファーザーPART2』『ヒート』に続いて、盟友ロバート・デ・ニーロと共演。彼扮するフランクとの葛藤は、本作の大きな見どころ。実在したホッファの死の真相は明らかになっていないが、本作で描かれるパチーノの熱演を見ると、これが正しいのでは……と思えてくる。この後、パチーノは同じく実録モノの新作『ハウス・オブ・グッチ』にも出演するが、ここでもファミリーをまとめきれなかった男の悲哀を体現。 

 
 

 


『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』
製作年/2023年 製作総指揮・出演/レオナルド・ディカプリオ 原作/デヴィッド・グラン 製作・監督・脚本/マーティン・スコセッシ 脚本/エリック・ロス 出演/ロバート・デ・ニーロ、リリー・グラッドストーン、ジェシー・プレモンス、ジョン・リスゴー、ブレンダン・フレイザー 

デ・ニーロと激しい火花を散らす!
マーティン・スコセッシ監督作品といえば、初期は『タクシードライバー』や『レイジング・ブル』などロバート・デ・ニーロが計8回、近年は『ディパーテッド』『ウルフ・オブ・ウォールストリート』などレオナルド・ディカプリオが5回主演を務めている。作品の“顔”をもいえる2人が、スコセッシの下で初共演。1920年代の米オクラホマを舞台に、先住民のオセージ族の連続怪死事件と、その事件の捜査をきっかけにFBIが誕生したドラマが展開していく。アメリカの歴史の知られざる一断面を、スコセッシらしい重厚で骨太、そして衝撃と映像美たっぷりに演出。オセージ族の協力も得て再現された文化、そして時代の雰囲気に文句なく没入させてくれる。

ディカプリオは第一次世界大戦の帰還兵アーネスト役。彼を待っていたのは、デ・ニーロが演じる叔父のウィリアムで、言葉巧みに甥をオセージ族のモーリーと結婚させる。そこからウィリアムの企みをアーネストが実行。アーネストはさらに別の人物に危険な行為を依頼し……と、無自覚に悪意が広がるプロセスに、2人の名優のカリスマティックな実力が最大限に生かされ、何度も背筋が凍る。 

 

こちらの記事もどうぞ!
あの映画監督の得意ワザ! Vol.4 マーティン・スコセッシの冷徹なリアリズム!
『タクシードライバー』が映画界に残したものとは? ツメアト映画~エポックメイキングとなった名作たち~Vol.6
 

 

 
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