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2024.09.03


【 ライアン・ゴズリング 】最新作『フォールガイ』を語る。


PROFILE

1980年、カナダ生まれ。子役としてキャリアをスタートさせた後、『きみに読む物語』で若手俳優の筆頭に。『ハーフネルソン』でアカデミー賞主演男優賞にノミネートされる。その後も活躍が続き、『ラースと、その彼女』、『スーパー・チューズデー』、『ナイスガイズ!』、『ブレードランナー 2049』、『ファースト・マン』、『グレイマン』などに主演。『ラ・ラ・ランド』ではアカデミー賞主演男優賞、『バービー』では同助演男優賞にノミネートされている。妻は『プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命』で共演したエヴァ・メンデス。 

 
面白い映画を観たければ、ライアン・ゴズリングの出演作を観るべし。こういってもいいすぎではないかもしれない。“人生ベスト”に挙げる人も少なくない『ブルーバレンタイン』やラブコメディの名作『ラブ・アゲイン』、“最も美しいアクション映画”の1本に数えられる『ドライヴ』に、至高のミュージカル映画『ラ・ラ・ランド』など、ひとつひとつに触れていったらきりがない。作品選びに慎重なのだろうし、作品に向ける熱量も相当なものなのだろう。作り手としての映画愛が深く、2014年には『ロスト・リバー』で監督デビューも果たしている。

そんなライアンの主演最新作『フォールガイ』も、ものすごく面白い。それでいて、映画愛にあふれている。この映画でライアンが演じているのは、人気ハリウッドスターのスタントダブルを務めてきた業界屈指のスタントマン、コルト・シーバース。だが、常に無敵だと思われていたコルトが撮影中の落下事故で重傷を負ってしまい、心身ともに深く傷つくところから物語が展開していく。

「この映画で描かれているのはスーパーヒーローではなく、スーパーヒーローを演じている人たちなんだ。コルトはブルーカラーのヒーローで、いろいろな意味で普通の男。失ったものを取り戻そうと奮闘する姿に、誰しも共感を覚えるんじゃないかな。彼は何度も立ち上がり、決して諦めない。そんなコルトを見て、自分が逆境に置かれたときもこうありたいと願う人は多いだろうと思う」

ライアンの言葉どおり、一度は業界を去ったコルトは意を決し、もといた世界へ。だが、参加することになった大作映画の監督を務めているのは、映画監督になる夢を叶えた、元恋人のジョディ(エミリー・ブラント)。コルトには、事故で傷を負った彼にも献身的だったジョディに背を向けた過去がある。そんな恋愛のすったもんだがあり、映画製作を巡るトラブルや陰謀もあり、事態はややこしい方向へ。映画の本編以上にスリリングな映画製作の裏側が、アクション満載で描かれていく。

「僕がキャリアの初期に出演したTVドラマ『ヤング・ヘラクレス(原題)』は子供向けのアクションもので、常にスタントダブルがいてくれた。僕の経験上のイメージでいうと、スタントダブルの人たちは撮影現場に現れ、リスクを冒しながらクールなアクションをすべてこなし、黙って去っていく。そして、スタントマンが立てた手柄を俳優が自分のものにしてしまうんだ。だから今回、スタントマンを主役にした作品に関わることができて本当に嬉しいし、彼らの命懸けの偉業にスポットが当たることも素晴らしいと思っている」

劇中では、現実のライアンの立場にあたる主演スター、トム・ライダーをアーロン・テイラー=ジョンソンが演じている。トム・ライダーはハリウッドに君臨するアクション俳優だが実はヘタレで、なんでもかんでもコルトに押しつけるような男。ライアン自身はライダーとは似ても似つかないが、「これはスタントマンについての映画だから、得意分野は彼らに任せたかった」と明かす。

「でも、スタントマンが毎日どんなことに向き合っているかを理解するために、いくつかのスタントは自分でやることが大事だった。僕は高所恐怖症だけど、ビルの12階から落ちるスタントをやらなきゃいけなくて。これをきっかけに恐怖を克服できるかとも思ったけど、そうはいかなかったね。チームのみんなを心から信頼していたから、その瞬間は克服できていたけど。あとは、シドニー・ハーバーブリッジでクルマに引きずられたりもした。朝の6時に撮影をして、すごく疲れきってしまって。終わった後すぐに帰って眠りについたのだけど、目覚めたときには『あれは奇妙な夢だったのか? 悪夢だったのか?』と混乱してしまったよ」

監督を務めたのは、『デッドプール2』や『ブレット・トレイン』のデヴィッド・リーチ。自身もスタントマン出身のリーチ監督は撮影中、ライアンと意気投合。両者は撮影の合間に、ライアンがアンバサダーを務める〈タグ・ホイヤー〉のキャンペーンフィルムにも出演している。その内容は、リーチ監督が撮影する作品の現場で、主演のライアンが〈タグ・ホイヤー〉の時計を着用するというもの。撮影後、小道具係から返却を求められるも、返したくないライアンの逃走劇がはじまる。「僕はもともとデヴィッドのファンだったから、一緒に仕事ができることにワクワクしていた」というライアンだが、映画製作を愛する者同士、どちらの現場もさぞ楽しんだことだろう。『フォールガイ』は映画に関する小ネタも満載で、映画好きから映画好きに贈るラブレターにもなっている。

「この映画がいいのは、観客を幸せにするために存在しているところ。僕たちは自分の仕事が大好きで、この仕事ができて幸せだと感じているし、世界最高の仕事だと信じている。撮影現場では毎日、観客にハッピーな体験を提供し、忘れられない体験を共有してもらうことを目指していたよ」 

 

『フォールガイ』

完璧にこなしたはずのスタント時の事故により、心もカラダも傷ついて業界を去ったスタントマンのコルト・シーバース(ライアン・ゴズリング)。旧知のプロデューサーに請われ、現場復帰を果たしたコルト・シーバースだったが、彼を待っていたのは怒涛のトラブルと壮大な陰謀劇だった……。原案は80年代の人気ドラマ『俺たち賞金稼ぎ!!フォール・ガイ』。●劇場公開中
©2024 UNIVERSAL STUDIOS 配給:東宝東和



撮影現場では毎日、
観客にハッピーな体験を提供し、
忘れられない体験を共有してもらうことを目指していたよ。
ライアン・ゴズリング


 
Information

『Urban Safari』Vol.41 P8~9掲載

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