差し込む光が縁取る硬質なモノクロームの室内
都心の閑静な住宅街に建つ築50年のマンションをフルリノベした宮原邸。むき出しの天井、打ちっ放しのコンクリートにモルタルの床。ソリッドに徹したモノクロームの室内を、二方向から差し込む自然光がエレガントに見せる。シックな大人の空間を単に無難なものに終わらせない遊び心がある小物選びが秀逸!
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- 西海岸的なハッピー・ルーム! vol.35
宮原邸/1LDK/100㎡天井は抜いて高さを出し、床はモルタルに。樹脂を混ぜて深みのあるグレーで武骨な印象に仕上げた。この空間にあると愛猫のランニングホイールもまるでオブジェのよう
光の中に家具のシルエットが浮かぶ宮原邸。築50年のマンションを購入しフルリノベーションするにあたって、オーダーしたのはモルタルとアイアンの無機質な空間。写真をスクラップしてイメージボードを作り依頼先に渡した。なかでも、好きなデザイナーの一人、リック・オウエンスの自宅兼アトリエには強くインスパイアされたという。
ミニマルで生活感を全く見せないLDKだが、機能的で暮らし心地は抜群。その秘密はふたつ。ひとつはオーディオボードやベンチなど収納と家具のほとんどをモルタルで作りつけ、部屋と一体化させていること。もうひとつが動線だ。
玄関からLDKに入るルートのほかに、ウォッシュルーム、キッチンを経由する動線を確保。さらに〈キャロルクリスチャンポエル〉の服などが並ぶ約6畳のクローゼットをウォークスルーして寝室、リビングへと入る裏動線がある。リビングには生活用品をいっさい持ち込まずに済む作りだ。
唯一LDKを彩るのは飾り棚のアートピース。牛や猫のモチーフなど個性的なセレクトだが、夫妻のフィルターを通した統一感で見事にはまっている。夫はワークルームで、妻はヌックで仕事に集中し、夜はリビングで映画を楽しむ日々だ。
01 ゆるやかに仕切った一角にオンオフのスペース
壁で囲われ、ほどよいおこもり感があるワークルームと、角を利用したヌックコーナー。モルタルのベンチはデイベッドにも
02 好きなデザイナーの作品を飾って愛でる
キャットステップとしてつけた棚には妻が好きな〈セレッティ〉のスケートボード型のトレーなどを飾っている。照明は撮影スタジオ用のセンチュリーをチョイス
03 ウォッシュルームは装飾と色を排しシンプルに
洗面ボウルは機能的なデザインの〈デュラビット〉。カウンターと収納もシンプルなラインで仕上げた
04 ベッドサイドもモルタルで棚を作り有効活用!
寝室は愛猫たちのお気に入りスポット。棚を窓まわりに造作し、ベッドサイド収納は中にコンセントを仕込んで就寝時のスマホ充電にも対応
05 愛用のブーツが並ぶ玄関ホール
広い玄関には夫妻の好きなブランドの靴が並び、収まりきらないものは右隣のクローゼットに
友人の写真家によるライトボックス!
玄関で光って帰宅を迎えてくれるのは、友人で写真家の志賀俊祐氏の作品。コロナ禍で届いた正体不明の荷物をX線撮影しライトボックスにプリントしている。“Hi there”という連作のひとつ。同氏の作品はLDKの壁にも2点あり、モノクロームの部屋でアイストップの役割を果たしている。
「リノベは依頼先を決めてから、物件を探しました。室内は当初から自分たち好みにフルリノベする予定だったので、角部屋でベランダが広かったことが決め手です。日当たりがいいので、グリーンを育てるのが好きな妻の希望をかなえる住まいになりました。生活感があるものは全てしまえるから、在宅勤務が増えてからも、ストレスなくオンに集中できるし、オフをゆっくり過ごせてます」
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●ハウストラッド
TEL:03-6412-7406
URL:www.housetrad.com
雑誌『Safari』4月号 P182~183掲載
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photo : Takafumi Matsumura text : Kuniko Nakajo