映画『コヴェナント/約束の救出』は戦場でのアツい絆の物語が胸を打つ!
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人気監督の新作と聞けば、「この人なら、こんな作品だろう」という期待で向き合うもの。しかし映画監督は時として、新境地に挑みたくなるのも事実。そして、そのチャレンジがいい意味で期待を裏切る仕上がりになっていれば、映画ファンにもうれしいサプライズとなる。本作は、そんなパターンだろう。
初長編作『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』が、新感覚の犯罪アクションとして話題を集め、一気に世界的人気監督となったガイ・リッチー。それ以降も『シャーロック・ホームズ』シリーズなど、エンタメ性に溢れた痛快な傑作を放ってきた彼が、社会派のヒューマンサスペンスに初チャレンジ。しかもアフガニスタンを舞台に、シリアスなテーマも突きつけ、その意外性とともに映画監督としての才能を見せつけたのが本作だ。2018年、アフガニスタンに駐留していたアメリカ軍のキンリー曹長。そしてアメリカへの移住を約束に現地通訳を任されたアフガン人のアーメッド。この2人がたどる、壮絶を極めた運命を描く。タリバンの爆発物製造工場を見つけ、向かった先で、彼らはどうなるのか……。
アメリカ軍vsタリバンという構図なので、基本は戦争アクション。要所での銃撃や爆撃、またチェイスなど、ガイ・リッチー監督がこれまで培ってきたテクニックを注ぎ込み、臨場感のあるビジュアルを完成させた。われわれ観客も、先頭の真っ只中に放り込まれた感覚を味わうことに。そしてドラマの部分では信じがたい展開が用意される。アメリカ軍に協力することで、タリバンからは祖国の“裏切り者”扱いされるアーメッドの心情は切実。本作はハリウッド映画なので、アメリカ人キンリーの視点に偏るかと思いきや、しっかりとアーメッドにも寄り添うところがポイント高し。中盤からの主人公2人の物語に、心を鷲づかみされるのは間違いない。本作はフィクションだが、リッチー監督が観たドキュメンタリーがヒントということで、今も続くアフガニスタンの混乱を重ねれば、感動も超級となる。
『コヴェナント/約束の救出』2月23日公開
製作年/2023年 製作・監督・脚本/ガイ・リッチー 出演/ジェイク・ギレンホール、ダール・サリム、エミリー・ビーチャム、ジョニー・リー・ミラー
2023年/イギリス・スペイン合作/上映時間123分
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photo by AFLO