高級筆記具の代名詞として知られる〈モンブラン〉。1924年の誕生以来、世界中で愛されている"マイスターシュテュック"は、日本でも絶大な知名度を誇る。認知度の高い製品は、「ブランドにとっての財産」だと、モンブラン ジャパンCEO のマーティン ゴーディアンは語る。 「当社のお客様は20代から80代までと幅広く、多くの方が"マイスターシュテュック"をきっかけにブランドを知ってくださっています。これは大変光栄なことです。しかし一方で、当社にはまだ伝えきれていない"物語"がたくさんあります。
たとえば、レザー製品には1920年代から手掛けてきた伝統と技術があり、機械式時計はスイスのル・ロックルに自社工房を構えています。完全自社製ムーブメントを開発し、しかもレザーストラップまで自社で作っているブランドは世界でも極めて珍しいんです。ガジェット製品においても、高品質なスマートウォッチやデジタルノートを発売しています」 さらにブランドの"物語"を共有するためには、ブティックの存在が重要だという。 「今は、オンラインでも高級万年筆を購入する時代。当社もお客様とのタッチポ イントは自社ECサイトがメインです。
そんな時代だからこそ、店舗に足を運んでくださる方には特別な体験を提供しなくてはならない。現在、どの店でも同じ世界観に触れられるよう接客やプレゼンテーションのレベルアップを図っています」 〈モンブラン〉は、「ビジネスとプライベートの中間に立っているユニークなブランド」だとも語るゴーディアン。オン・オフの境界線が変わりつつある今、ブティックでブランドの"物語"に耳を傾ける価値は、大いにあるのかもしれない。
〈モンブラン〉
1906年に、ドイツ・ハンブルクの銀行家とベルリンのエンジニアが創業。1997年に参入した機械式時計においては、スイスの名門と比べても遜色のない 高品位なタイムピースを製造。筆記具では、卓越した技術と創造性を結集した"ハイ アーティストリー エディション"が 、世界の蒐集家に愛されている。
『Urban Safari』Vol.20 P7掲載