時がたつほど味わいを増す仕掛け満載のリノベルーム
今回の訪問地は、都心にありながら緑に囲まれたマンションの一室。時を経た築35年の空間だから出せる味わいを受け継ぎながら、よりかっこよく洗練された空間に生まれ変わらせるためリノベーション。羽目板天井や無垢材の床など、未来に向かって風合いを増す素材の力を借り流行り廃りを超えた心地よさを生みだすセンスは学びどころ満載!
- SERIES:
- 西海岸的なハッピー・ルーム! vol.14
今月の部屋 藤本邸/2LDK+WIC/100.92㎡
細く走る羽目板の天井と、スクエアに張った床、木質の異なる表情がシンプルな空間にさらなる味わいを生んでいる。むき出しのまま残した武骨なコンクリート梁とのコントラストも、空間を洗練させるメリハリに
「工業製品の持つ機能美と、古くなってより味わいを増した木の質感が好き」と話す施主の世界観をそのまま体現したようなこの家。躯体を一旦スケルトンにし、家のすみずみまで光と風を取りこめるよう、キッチンを中心とした回遊型の間取りに再構築した。天井と床に用いた天然木の温もりとすっきりとした白壁のコントラストが自然光を受け止め、築34年の空間をより明るくして部屋の趣きを際立たせている。
LDKの主役は料理好きの妻が1日の多くを過ごす対面型キッチン。武骨なステンレスのワークトップに木の収納を組み合わせ、リビングの雰囲気に馴染むようオリジナルで造作した。ホテルのように広々としたタイル張りの洗面室を挟み、奥に設けた寝室は深い飴色のパネル壁で心落ち着く空間に。家族全員の衣類を納めたウォークスルークローゼットは、ガラス壁で仕切ることでコンパクトな寝室の圧迫感を軽減。さらに家の中心部まで外光が行きわたる仕掛けだ。
「白壁と木材のシンプルさが古いマンションの持つもともとの味わいを引き立ててくれることに気づきました。素足でも気持ちいい無垢材の床が、この先風合いを増していくのが楽しみです」
01 通り抜ける光と風が主役置き家具はミニマムに
細長いリビングを活用すべく置き家具は最小限、テレビは壁掛けにして空間の余裕をキープ
02 ダイニングの椅子はバラバラなのが味になる
ダイニングテーブルはアンティークの椅子をバラバラに合わせて個性を演出
03 毎朝が楽しみになるホテルライクな洗面室
メトロタイルの洗面室は、並んで使えるゆったり横長仕様
04 ガラス壁の開放感で5.5畳の寝室を広々と
ヴィンテージライクな赤茶色のパネル壁が、寝室に品のよい落ち着きを醸し出す
INTERIOR POINT
家族が全員集合できるビッグソファ
白壁×木調のリビングでアクセントになっているのが、アッシュグリーンの色に惹かれて購入したソファ。子供が伸び伸び過ごせるよう“お洒落だけど汚れてもOK”と思える〈イケア〉でセレクト。海外流のビッグサイズで、家族4人横並びに集まって会話ができる。
●ハウストラッド
TEL:03-6412-7406
URL:www.housetrad.com
雑誌『Safari』6月号 P254・255掲載
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