再起をかける男の姿に勇気がもらえる!『ブルー・ミラクル』
「こうなってほしい」という結末へ向かい、素直に楽しめるケース。一方、意外な展開で驚かせるケース。映画は大きくわけて2パターンがあるが、どちらもそこまでのプロセスがきっちり描かれていれば共感できるもの。この『ブルー・ミラクル』は、最後までどう転ぶかわからないのに、全体に“安心感”のある作りが魅力!
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『ブルー・ミラクル』
胸アツなポイントは?
“空撮を駆使した海釣りシーンが実に爽快!”
メキシコの孤児院が経営危機となり、院長のオマールは、このままでは子供たちがストリートチルドレンになってしまうと心配していた。その街では毎年、ビスビーズ・トーナメントが開催される。釣りの世界ではスーパーボウルと言われる大会だが、今年は直前の嵐のために海外の有力チームが不参加。そこでオマールは子供たちとの参加を決意する。
優勝すれば賞金は数百万ドル! かつて優勝経験もあるというアメリカ人のウェイドと組んで、釣りの経験ゼロのオマールや子供たちが、巨大カジキを狙う。実力はありそうだが、うさんくさいウェイド。彼のボロボロの船。子供たちのケンカ……と、ポンコツチームの奮闘ストーリーは、あの『がんばれ!ベアーズ』以来、映画では定番。ただ本作は実話が基になっているので、強引な展開にも嘘くささが感じられない。
主人公のオマール、それぞれ屈折感も抱える子供たちのドラマもエモーショナル。しかも、その話をより感動的に導いてくれるのが、背景の海の美しさだ。空撮も駆使した、カジキを求める釣りの映像に、思い切り夏気分が味わえる。極上のリゾート地の心地よさも感じられるはずだ。
キーパーソンとなるウェイド役はデニス・クエイドだが、メジャーリーガーに挑む中年男を彼が演じた『オールド・ルーキー』が、本作ともシンクロ。この人、再起にかける男をやらせたら最高だってことを、ここでも証明してくれる。そんなハマリ役と子供たちの関係が、ストレートに心に突き刺さるのは間違いない。配信作品だが、サマームービーにぴったりな良心作だ。
『ブルー・ミラクル』
監督・脚本/フリオ・キンタナ 出演/デニス・クエイド、ジミー・ゴンザレス 配信/ネットフリックス
2021年/アメリカ/視聴時間96分
ネットフリックスで配信中
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