映画『オールド・オーク』 ケン・ローチ監督が描く人と人との共生の物語!
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“映画が世界を変える”なんて言葉は、大げさに聞こえるかもしれないが、作り手の強い思いが伝われば、少なくとも観た人の人生はちょっと変わる……。そんな希望を信じて映画を撮ってきた名監督の一人が、イギリスのケン・ローチ。今年90歳を迎え、自ら“最後の作品”と断言する本作なので、リスペクトとともに向き合いたい。
ケン・ローチといえば、貧困や労働問題など社会派テーマを込めた作風が持ち味だが、決して“頭でっかち”ではなく、その語り口は優しく、意外にエンタメとして観やすい作りだったりする。この『オールド・オーク』も、まさにそんな一作。イギリスへの移民というセンシティヴな問題を扱いつつ、登場人物ひとりひとりに監督の親身な視点が宿っているから、テーマを超えたヒューマンドラマの傑作に仕上がっているのだ。かつて炭鉱で栄えたイギリス北東部の小さな村で、パブを経営するTJ。しかし村がシリアからの難民を受け入れ始めたことで、元々の住民たちからは不満の声が聞かれるように。一方でシリア難民の女性と友情を育んだTJは、自分にとって正しい行為をとろうとするあまり、常連客が怒り、パブは住民同士の衝突の場になってしまう。
“演技シロウト”の人を使うのがケン・ローチの特徴で、今回も多くのキャストが映画初出演。そのせいか、パブに集まる地元住民からシリア難民まで、どの顔も“本物感”満点で、しかも監督の演出によってプロ顔負けの名演技をみせてくれる。そこに感動せずにはいられない。この手の作品は、差別される側の立場が強調されがちだが、移民を良く思わない保守的な地元民の気持ちにも誠実に向き合っているので、あざとさはゼロ。この移民問題、日本でも近年、話題になっているので、身近なトピックとして迫ってくるし、TJと親しくなるシリア女性のバックグラウンドからは、切実な現状が浮き彫りになって、胸がかきむしられたりも……。人と人の共生を何とか実現させようとするTJには難問が次々と降りかかりながら、終盤は希望の光も見えてくる。その希望を受け取った瞬間、まわりの世界が少しだけ違って見えるかも。そんな本作が起こすマジックを、ぜひ体験してほしい!
『オールド・オーク』4月24日(金)公開
監督/ケン・ローチ 脚本/ポール・ラヴァテ 出演/デイヴ・ターナー、エブラ・マリ、クレア・ロッジャーソン 配給/ファインフィルムズ
2023年/イギリス、フランス、ベルギー/上映時間113分

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2090円(発行/日之出出版 発売/マガジンハウス)

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4月23日発売。2090円(発行/日之出出版 発売/マガジンハウス)
© Sixteen Oak Limited, Why Not Productions, Goodfellas, Les Films du Fleuve, British Broadcasting Corporation, France 2 Cinéma and The British Film Institute 2023

































































