映画『シビル・ウォー アメリカ最後の日』は分断社会の末路を描く骨太作!
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映画というものは、公開されるタイミングも重要。世の中の“空気”を感じながら観ることで、メッセージやテーマがより強く伝わってくるからだ。そんな法則を実感できるのが本作。基本はアクション大作ながら、11月に迫ったアメリカ大統領選挙が重なって、予想外のリアリティがもたらされる!
タイトルの“シビル・ウォー”とは直訳すれば“内戦”だが、アメリカ人にとっては19世紀の南北戦争という意味がある。つまりアメリカが、2つに分かれて起こした戦争。そして今、アメリカで何かと話題になるのが分断社会。極端に考えれば、南北戦争のように国が分裂し、争いが起こるかも……という考えが本作のアイデアの源。近未来のアメリカで19の州が離脱を表明する。カリフォルニアとテキサスの“西部軍”がホワイトハウスに迫っていく、というストーリー。大混乱する社会で、ジャーナリストたちの一団が、追い込まれた大統領を取材しようと、NYからワシントンD.C.へ向かうが、その道中で過酷な試練に遭遇する。民主党(ハリス)vs.共和党(トランプ)という二極化する大統領選や、2021年の議会議事堂襲撃事件といった現実が、あちこちにエッセンスとして盛り込まれた作りで、まさに“いま観るべき”一本になっている!
ジャーナリストたちが目にするのは、いろいろな意味で衝撃の風景と、極端な行動に出る人たち。中盤に登場する人物(カメオ出演の名俳優)が、自身の正義を振りかざし、対立する側に一切の容赦ない行動に出る姿には心底、背筋が凍ってしまう。要所の戦闘アクションには、実際に他国での戦争に参加したことのある退役軍人がエキストラで協力。銃の構え方から身のこなしまで“本物感”を充満させて圧巻の一言だ。キャストで注目なのは、報道カメラマン志望のジェシーを演じたケイリー・スピーニー。『プリシラ』でエルヴィス・プレスリーの元妻、『エイリアン:ロムルス』でも主役を演じ、今回も観客の目線と一体化する役を全身全霊、力強い演技で体現。彼女がハリウッドで引っ張りダコの理由が本作でよくわかる。静けさの後のショックなど、全体の構成のメリハリも計算されているので、最後まで没入してしまう力作だ。
『シビル・ウォー アメリカ最後の日』10月4日公開
監督・脚本/アレックス・ガーランド 出演/キルステン・ダンスト、ワグネル・モウラ、ケイリー・スピーニー、スティーヴン・マッキンリー・ヘンダーソン 配給/ハピネットファントム・スタジオ
2024年/アメリカ/上映時間109分
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