PROFILE
1976年、アイルランド生まれ。ダブリンの演劇学校在学中からドラマや映画に端役出演し、ハリウッド映画『タイガーランド』の主演に抜擢。『ジャスティス』、『フォーン・ブース』、『リクルート』、『デアデビル』などに出演し、ハリウッドスターとしての地位を固める。以降の出演作に『S.W.A.T.』、『ニュー・ワールド』、『マイアミ・バイス』、『トータル・リコール』、『The Beguiled /ビガイルド 欲望のめざめ』など。『イニシェリン島の精霊』でヴェネチア映画祭男優賞、ゴールデングローブ賞主演男優賞など数々の映画賞に輝いている。
アイルランドからやって来た色男として、ハリウッドを席巻したコリン・ファレルもいまやすっかりベテラン俳優の域。『マイノリティ・リポート』でトム・クルーズと渡り合い、『アレキサンダー』でタイトルロールを堂々と務めた20代。ゴールデングローブ賞主演男優賞に輝いた『ヒットマンズ・レクイエム』からカンヌ国際映画祭などで大絶賛された『ロブスター』まで、個性的かつ良質な作品で確かな存在感を放った30代。そして、『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』や『ダンボ』といったファミリー向け大作映画にも食指を動かす一方、『聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア』やアカデミー賞主演男優賞にノミネートされた『イニシェリン島の精霊』など、アート性の高い作品とも相性のよさを見せ、役者としての幅の広さを印象づけた40代もいよいよ終盤を迎えているコリン・ファレル。
現在48歳の今、衰えることのない勢いとともに、まだまだ続くであろう俳優の道を着実に進んでいる。ちなみに、息子2人に恵まれているファレルだが、長男はもう20歳で、次男は14歳。『ダンボ』で来日した5年前には、自分の出演作を見せられる年齢にまで達した息子たちの成長を喜び、顔を綻ばせてもいた(ただし、『ロブスター』や『聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア』といったダークな作品に関しては「彼らが何歳になっても、見せる心の準備はできそうにない」ともいっていたが)。
そんな“コリン・ファレル史”における近年の特徴として、目に留まるのは映画出演に並行し、ドラマシリーズへの出演が続いていること。というより、大勢の俳優たちもそうであるように、出演者として映画とドラマの区別をすることがなくなってきたのだろう。2021年には、イアン・マグワイアのミステリー小説を原作にした英国BBC放送のドラマ『北氷洋』に出演。今年の4月に配信がはじまったApple TV+のオリジナルドラマ『シュガー』でも話題をさらった。こちらの作品ではハリウッドの闇に迫る私立探偵に扮し、ハードボイルドなミステリーの粋な語り手に。ファレル自ら製作総指揮も務めた入魂の1作になっている。
そして、今年はもう1本の出演ドラマも用意されている。彼がDCコミックスのスーパーヒーロー映画『THE BATMAN -ザ・バットマン-』に出演したのは約2年前のことだが、そのスピンオフドラマがいよいよ始動。今月20日から日米同時配信がはじまった『THE PENGUIN -ザ・ペンギン-』は、『THE BATMAN -ザ・バットマン-』でファレルが演じたオズワルド・コブルポット、通称ペンギンが主人公だ。
2022年の『THE BATMAN -ザ・バットマン-』公開時にはコリン・ファレルだと識別できないほどの特殊メイクを施され、わずか数分の出演ながら鮮烈な印象を放っていたが、『THE PENGUIN -ザ・ペンギン-』にも同役で登場。『THE BATMAN -ザ・バットマン-』のラストから繋がる作品世界の中で、のちにバットマンの強敵となるであろうペンギンの知られざる物語が語られていく。そのため、スーパーヒーローに対峙するヴィランに焦点を当ててはいるものの、作品のテイスト自体はスーパーヒーロー映画とは異なるようだ。まだヴィランとしての地位を確立することなく、犯罪社会の頂点にも立っていないペンギンが成功への闘志を燃やし、頂点にまで這い上がろうとする様が描かれていくという。
『THE PENGUIN -ザ・ペンギン-』の企画は『THE BATMAN -ザ・バットマン-』製作時から進行していたようで、昨年3月の撮影開始前から意欲的な発言を繰り返していたファレル。賢く、野心的で、冷静沈着でありながら衝動的な面も備えたペンギンの内面を表現するのはもちろん、特殊メイクで別人のようになるプロセスも楽しんでいるという。見た目からして全くの別人になる行為に芝居の究極形を見出してもいるようで、『THEBATMAN -ザ・バットマン-』の撮影中は特殊メイクを施したまま、“コリン・ファレル”という立場を忘れて出歩いたことも。あるときなどはペンギンのメイクでスターバックスに行き、誰にもコリン・ファレルだと気づかれることなく店を後にしたそうだ。もっとも、『THE BATMAN -ザ・バットマン-』が大勢に愛され、『THE PENGUIN -ザ・ペンギン-』に注目が集まる今、そんなことをしたらたちまち気づかれてしまうだろうが。
マーゴット・ロビーとの共演作『ア・ビッグ・ボールド・ビューティフル・ジャーニー(原題)』や、『西部戦線異状なし』で時の人となったエドワード・ベルガー監督のNetflix映画『ザ・バラッド・オブ・ア・スモール・プレイヤー(原題)』など、今後も出演作が続々と待機。20代、30代、40代と、順調に築いてきたキャリアはどんな方向へと向かっていくのか。また10年ほど経った頃、コリン・ファレルの50代を彩ったフィルモグラフィーを振り返る日が訪れるのを楽しみに待ちたい。
映画『THE BATMAN -ザ・バットマン-』に登場するオズワルド・コブルポット、通称ペンギン(ファレル)を主人公に、同作の後日譚を描くスピンオフドラマ。ゴッサム・シティを牛耳っていたカーマイン・ファルコーネ亡き後、実権を握ろうとするオズワルドが、街を巻き込む新たな抗争に身を投じていく。ファレルをはじめ、『THE BATMAN -ザ・バットマン-』を手掛けたマット・リーヴスらが製作総指揮に名を連ねている。●U-NEXTにて見放題独占配信
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お前と俺、2人で決めたことをやる。誰も与えてはくれないんだ、戦わなければ。
コリン・ファレル(『THE PENGUIN -ザ・ペンギン-』オズ・コブ)