本格仕様からアレンジものまで、
“カーゴパンツ”の人気筋は?
アメカジが人気の中、実はカーゴパンツ人気もウナギのぼり。数シーズン前から火がついていたのだが、ここにきてその潮流は本格化。様々なブランドからリリースされているが、それぞれ仕様は異なっている。ひと口にカーゴパンツといっても、どこの軍、そしてどの年代をサンプリングするかで、そのディテールはまるで異なるからだ。そこで今回は、カーゴパンツの歴史と名作、そしてそれらを踏襲した1本からイマドキにアレンジされたものまでを紹介しよう。
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ポイント1:元々は港湾労働者たちの作業着だった
ポイント2:ミリタリーでの本格採用は第2次世界大戦ごろから
ポイント3:今、ヴィンテージからドレスまで出揃った状態
ミリタリーパンツにおけるアイコン的存在といえば、やはりカーゴパンツだろう。しかし、現在のような形のカーゴパンツにおいてはその歴史は意外にも浅く、1942年にアメリカ軍が採用したM-42がその皮切り。そもそもは、港湾労働者の作業着として誕生したという説が有力。丈夫なコットン生地に道具などを入れる大きなカーゴポケットは、いかにもワークパンツといったところだ。
いまや世界中の軍隊で採用されているカーゴパンツだが、最も有名なのはアメリカ軍のM-51やM-65。それら2モデルは現在のカーゴパンツにおけるスタンダードとされ、多くのブランドもそれらのディテールをサンプリングしている。一方で、昨今はフランス軍のM-47も人気。極太ながらストンと落ちるキレイなシルエットは、昨今のワイドシルエット人気とリンク。ヴィンテージ市場では、価格が高騰している。
ほかに、イギリス軍のロイヤルネイビーコンバットトラウザーズなどもミリタリーパンツの象徴的アイテムとあって、各軍にカーゴパンツの名作が存在。それらを知っておくと、特段どれかのモデルをサンプリングしていなくても「これって、どこ軍の何年代で見られるデザインだな」なんて楽しみ方が増える。まぁ、ちょっとマニアックだけどね(笑)。
昨今のカーゴパンツは、ボタンが引っかからないようフラップが2重になっていることが多いが、アメリカ軍のM-42などはボタンがむき出しに。生地は、黎明期ではコットンのヘリンボーンやツイルといったタフなものが多かったが、M-65が登場したあたりから化学繊維が多く見られるように。つまり、タフさとともに軽さを求めるようになったというわけ。写真は、万が一穴が開いても広がりにくいリップストップ生地。
[ビームス プラス]
BEAMS PLUS
1万9800円(ビームス プラス/ビームス プラス 原宿)
絶妙なバランスで融合!
1960年代に見られるアメリカ軍のカーゴパンツをベースに、アレンジを加えたこちら。生地はタテヨコともに、3本の糸を撚り合わせた丈夫な80番手糸を採用し、それをリップストップ織りに。ミリタリーパンツらしい、ハリコシのある風合いが楽しめる。カーゴパンツらしい太さをキープしながらも、いざ穿けば野暮ったさはなく、裾のドローコードを絞れば、意外にもスッキリとしたシルエットに。
RON HERMAN
4万2900円(ロンハーマン)
さすがここが作るだけある!
特定の軍隊や年代を公表してはいないが、カーゴポケットの形や膝のダーツなどから、アメリカ軍のM-51をベースにしたものだと推測できる。生地は、ミリタリーでお馴染みのバックサテン。穿きこむほどに味の出るタフな生地であることが、ウォッシュ加工を掛けたこの1本でわかるはずだ。太めなシルエットも相まって実に武骨だが、実は無駄なディテールは削ぎ落とされ、土臭さはなし。
TANGENT
3万3000円(タンジェント)
大人がガチで穿けるカーゴパンツ!
昨今のカーゴパンツにおけるトレンドを牽引する、フランス軍のM-47をベースにした1本。それも、通好みな前期モデルがベースだ。ディテールにおいてはミリタリーマニアも納得する細部に至るまでの忠実な再現を行いながら、シルエットはM-47らしい太さを感じさせつつもスッキリと洗練されたラインを描く。ヨーロッパミリタリーにドレスの感覚を融合するというテーマを、まさに表現した仕上がり。
[エストネーション]
ESTNATION
3万1900円(エストネーション)
カーゴポケット付きでタフ顔に!
ミリタリーパンツの象徴的モデルというカーゴパンツを、なんとこちらはニット仕立てに。ストレッチ性の高さは言うに及ばず、その肌触りも実にやわらかだ。それでいて、度を詰めて編みこむことでニットの弱点であるダレた生地感を回避。ほどよくゆとりがありながらも無駄のないジャストシルエットも相まって、脚を通すとスッキリとスタイリッシュな穿き姿を楽しむことができる。
PT TORINO
4万4000円(PT トリノ/PT ジャパン)
意外にもオトコ顔な1本!
イタリア発の美脚パンツブランドが作るとあって、さぞやドレッシーな仕上がりかと想像した人は多いかと。しかし、見てのとおりカーゴポケットは大きめにデザイン。シルエットも細身ではなくやや太めで、ギッドな雰囲気がムンムン。さらに生地にデニムを採用し、アメカジ的な要素も加えている。一方で、素材はコットンにリネンなどをブレンドすることで、サラリとさわやかな風合いに。
THE NORTH FACE PURPLE LABEL
1万9800円(ザ ・ノース・フェイス パープルレーベル/ナナミカ オンライン)
ヘビロテしたくなる快適素材!
ウェビングベルトや可動域の広い股下のパターンなど、クライミングパンツの面影を感じさせるこちら。生地にはストレッチ糸とオーガニックコットン糸をブレンドしたクールマックスを採用することで、アウトドアシーンにピッタリなカーゴパンツに仕上げている。ワンプリーツ入りでヒップまわりをゆったりとさせたワイドシルエットながら、テイパードを掛けることで街穿きにも馴染んでくれる。
このところ、別名ウェアラブルバッグと呼ばれる多ポケのフィッシングベストが人気を集めている。カーゴパンツも、まさにそんなアイテム。マスクケースやアルコールスプレーといった身のまわり品が増えた今、トレンドアイテムとしてだけでなく、実用アイテムとしてもカーゴパンツ人気は続くかも!?
●エストネーション
TEL:0120-503-971
●タンジェント
URL:https://tangentclothing.com/
●PT ジャパン
TEL:03-5485-0058
●ナナミカ オンライン
TEL:03-6455-1170
●ビームス プラス 原宿
TEL:03-3746-5851
●ロンハーマン
TEL:0120-008-752
photo : Tomoo Syoju(BOIL) styling : Takumi Tagawa text : Masafumi Yasuoka