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CULTURE カルチャー

2024.12.18


マッツ・ミケルセン「どんな作品として完成するか想像がつかなかった」【『ライオン・キング ムファサ』来日単独インタビュー】



デンマーク出身で、今や世界的スターとして活躍するマッツ・ミケルセン。2006年の『007/カジノ・ロワイヤル』のボンドの宿敵役で広く認知され、2013年スタートのドラマ『ハンニバル』で人気が爆発。その後、『ドクター・ストレンジ』、『ローグワン/スター・ウォーズ・ストーリー』、『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』、『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』……と、近年のハリウッド大作にここまで数多く起用されている俳優は珍しい。日本には彼を“北欧の至宝”と崇める熱狂的なファンも多い。そのマッツの最新作が声で出演した『ライオン・キング:ムファサ』。ディズニーアニメの名作『ライオン・キング』の主人公シンバの父親であるムファサの“過去”を超実写版で描いた作品で、マッツは冷酷な敵ライオンのキロスの声を任された。どんな思いでこの役に挑んだのか。来日した彼に単独インタビューを行った。

ーー今から30年前に公開された『ライオン・キング』は観ていましたか? その思い出から聞かせてください。

「娘が子供の頃に一緒に観た。当時の娘の世代には最高の作品だからね。僕と娘は何度も何度も繰り返し観ていたから、『ライオン・キング』は人生の一部になったと言える。だから今回のオファーも大歓迎だったよ」

ーーでは、あなたの家族も『ライオン・キング:ムファサ』を楽しみにしているのでは?

「娘と息子はすっかり大人になってしまったけど、楽しみにしてくれている。だから家族の中で内容はトップシークレットだ(笑)。彼らが12歳くらいだったら、どんな楽しみ方をするのかも想像してしまう。いつか僕に孫ができたら観てほしいと思っているよ」

ーー『ライオン・キング:ムファサ』のオファーを受けるにあたって最大の決め手は何だったのですか?

「作品と監督(バリー・ジェンキンス)の組み合わせだ。最初にバリーとスカイプで話した時、彼が説明してくれたストーリーに感銘を受けた。その後、脚本を読んでますます気に入ったんだ。ただ、どんな作品として完成するか想像がつかなかったのも事実だ。そこから2〜3年かかって、ようやく完成形が見えてきたのさ」

ーーバリー・ジェンキンス監督といえば、アカデミー賞作品賞に輝いた『ムーンライト』など人間ドラマの名手です。『ムファサ』のような作品で、俳優と監督の関係性は特殊なものだったのでは?

「実写で演技をする場合とそれほど違いはなかった。僕が何かを提案してバリーがインスピレーションを得ることもあったし、バリーからは『もっと誇張して演じて』などと言われることが多かった。たしかに実写と違って表情の変化が使えないので、そうなるのだろう。こうした表現でスケール感を高められたのは、作品の世界が確立されていたからだと思う」

ーー声の仕事が終わった後、監督からどんな言葉をかけられましたか?

「実はまだ感想を聞いてない(笑)。本作の場合、録音がすべて終わったと思ったら、2カ月後にまた呼ばれ、『新しいアイデアがあるので、ここもやってほしい』などと提案された。だから、いつが正式な終了かもわからず、突然終わった感覚なんだ」

ーー同じシーンに登場する他のキャストとは、どのように録音が行われたのでしょう。

「僕らキャストは主に2つのセッションに分かれ、大規模なシーンでは5〜6人がそれぞれのコンピュータでスカイプでつながって共演した。その結果、グーグルのアプリを使ったオーケストラのような演奏になったんだ。同じ空間で一緒に録音する方式とは明らかに違ったけど、これはこれでうまくいったと思う。だから共演者とは今の時点でまだ直接会っていないよ(笑)」
 

  

 


ーー声の演技は過去にどれくらい経験していましたか?

「やはりディズニー作品で『モンスターズ・インク』や『カーズ』のデンマーク語吹替版を担当した。でもそれはオリジナルの英語版がヒントになったわけで、今回は僕がオリジナルとして表現するので勝手が違った。しかも映像に合わせて演技するのではなく、僕らの声に合わせて映像が作られるというプロセス。何も見ない状況で声の演技をするうえで、監督の指示を信頼するしかなかったのさ」

ーーキロスというキャラクターを、あなたなりに解釈して声で表現したわけですね。

「キロスを“追放された者”と捉えた。同じような仲間を見つけ、彼は自身のプライドをかけて集団を作った。そして自分たちの場所を探して闘うわけだ。その場所が壮大であることも望んでいる。そんな風に考えながら演じたよ」

ーーライオンでありながら人間の声を発するというのもチャレンジングです。

「見た目は確かにライオンなんだけど、たとえば僕の歯並びがキロスの顔の参考になったりと、他のムファサらのキャラクターにも演じた俳優の特徴が反映されている。完全に動物でもなく、かと言って人間でもない。その微妙なボーダーラインが表現されているんだ。これは僕のアイデアだけど、ライオンの唸り声も実際にトライしてみた。僕の声と本物のライオンの声の両方が混ざって使われたんじゃないかな。唸り声を発してからセリフに入っていくと、自然な感じになったのは事実だよ」

ーーそして本作ではあなたの歌声を聴くことができますね。

「そこは僕にとっての大きな課題だった(笑)。僕はシンガーではないので、ちょっと面白い経験になったよ。ごぞんじのとおり僕の声は少ししゃがれている。ステージなんかで歌うのは無理な注文だ。歌のチャレンジが今回で最後ならありがたいけど、もしまた依頼があったらそれはそれで興味深いね」

ーー完成した作品を観て、自身の声の演技をどう評価しましたか?

「出演作を観た時、自分が参加したことを忘れて没頭できれば、良い映画として認められる兆候だと信じている。スクリーンに映っているものにリラックスして身を任せられる感覚だ。今回の『ムファサ』は自分が出ているかどうか関係なく素直に楽しめたよ。僕は映画の中でパズルのピースを任されたわけだが、そのピースがうまく機能したということだろう。主人公のムファサ、そしてタカ(ムファサと一緒に育ったライオン)の、痛みを分かち合う愛と裏切りのドラマに入り込めたね。ちょっとシェイクスピア劇のようだった」

ーー以前に『タクシードライバー』に影響を受けたことを語っていましたが、今回も含めて何から演技のインスピレーションをもらっているのですか?

「リストアップするのは不可能なほど多くのものからインスピレーションを受けている。いま何か作品名を挙げたとしても、明日はそれが別のものに変わっているだろう。心のどこかにしまってある作品が、何かの瞬間に現れるんだ。だからその質問への答えは“わからない”が正解だね(笑)」



『ライオン・キング ムファサ』12月20日公開
監督/バリー・ジェンキンス 脚本/ジェフ・ナサンソン 声の出演/アーロン・ピエール、マッツ・ミケルセン、ケルビン・ハリソン・Jr.、セス・ローゲン 配給/ウォルト・ディズニー・ジャパン
2024年/アメリカ/上映時間118分

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取材・文=斉藤博昭 写真=仲山宏樹 
text : Hiroaki Saito photo : Hiroki Nakayama
(c) 2024 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.
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