ロシアのスパイ、カーラ(オルガ・キュリレンコ)
ネットフリックスで配信中のリミテッドシリーズ『裏切りの影』。英国秘密情報部MI6の諜報員で、現在は副長官のアダム・ローレンスを主人公にしたスパイサスペンス。CIAや次期首相選の陰謀などが絡んでくる骨太なストーリーでありながらも、話数が全5話とイッキ観しやすいのが特徴。2022年から配信されている作品だが、見逃している人がいたら、時間のある年末年始にでも鑑賞してみてはいかがだろう。
本作で注目なのが、物語の鍵を握るスパイ、カーラ役に扮しているオルガ・キュリレンコ。意志が強く、肉体的にも精神的にも自立したキャラクターを魅力的に演じている。彼女といえば『007/慰めの報酬』(2008年)でのボリビアの諜報員カミーユ役をはじめ、『その女諜報員 アレックス』(2015年)や『ジョニー・イングリッシュ アナログの逆襲』(2018年)、『ブラック・ウィドウ』(2021年)など数々の作品でスパイ役を演じてきた人物。それだけに堂に入った演技が実に素晴らしい。オルガもアクションシーンは好きなようで、「(暗殺者役を)何度も演じてきたので、今ではそのイメージを自分の中に持っているんです。今では(演技を)研究することすらなくなりましたよ。まるで筋肉の記憶のようなものですね。できるだけ、多くのアクションに挑戦したいと思っています。製作陣から保険を理由に許可が下りないことは常にあることですが、本作ではそのようなことはありませんでした。すべてのアクションを自分で行い、人々を投げ回し、(自身も)床に転がり回っていました。俳優の仕事の中でも、アクションシーンは好きな方なんです。投げられること自体を楽しんでいましたね」と、語っている。
主人公で英国秘密情報部MI6の副長官アダム・ローレンス(チャーリー・コックス)
英国秘密情報部MI6の長官マーティン・アンジュリスに対する毒殺未遂事件が発生。副長官のアダムがその任を引き継ぐことになるが、CIAは異例の出世を果たしている彼に疑いの目を向ける。そんな中、アダムと過去を共有するロシアのスパイ、カーラが現れ、衝撃の事実を伝える。アダムが任務に成功しキャリアを順調に築けてこれたのは、裏で彼女が暗躍してきたおかげだという。さらに、カーラはその見返りにある重要情報を要求。しかしそれを渡すとアダムは国家反逆罪に問われてしまう……。
物語はアダムの家族を巻き込みながら、MI6やCIAに加えて二重スパイ”ドリアン”の存在や政治的な陰謀が繰り広げられていく。クライマックスでは予想不可能な展開が用意されているなど、サスペンスファンも満足する内容なので、見逃している人は是非ご鑑賞を。
『裏切りの影』
製作年/2022年 製作総指揮・ショーランナー・脚本/マット・シャルマン 監督/ルイーズ・フーパー、セーラ・オゴーマン 出演/チャーリー・コックス、ウーナ・チャップリン、オルガ・キュリレンコ 配信/ネットフリックス