捕虜からサッカー選手への奇跡の転身!『キーパー ある兵士の奇跡』
第二次世界大戦を描いた映画は毎年何本も公開され、これが思いのほか話題も集まる。それだけ今でも観客を引きつけるネタということ。なかでも目につくのが、ナチスやドイツをテーマにした作品。ドラマチックな感動と衝撃という点が映画に向いているのかも。『キーパー ある兵士の奇跡』もまさにそんな1本だ。
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『キーパー ある兵士の奇跡』
胸アツなポイントは?
“逆境を乗り越えていく姿に感動必至!”
主人公のバート・トラウトマンは、イギリスの名門サッカークラブ“マンチェスター・シティFC”に、初めて外国人として入団した選手。ドイツ人兵士だった彼は第二次世界大戦でイギリス側の捕虜となるが、ゴールキーパーとしての才能を買われる。しかしマンCの地元はユダヤ人社会で、チームメイトも含めてバートへの反発は相当なものだった。
その苦境を乗り越え、実力でチームを牽引したバートは、後に国民的ヒーローとなる。実話を基にしたこの映画は、そのバートの人生を、まっすぐに誠実に描いていく。バートが立ち向かう差別や困難は「わかっちゃいるが、思わず感動」という展開なのだ。
捕虜収容所時代の遊びから、大観衆が埋まるスタジアムでのFAカップ戦まで、要所に挿入されるサッカーシーンは臨場感たっぷり。バートのキーパーとしての天性の才能が伝わってきて、純粋にスポーツ映画としての見ごたえもある。
しかし、最大の見どころは、バートがたどった奇跡ともいえる人生。特に自分をクラブに誘ってくれた監督の家族との交流、監督の娘との間に育まれる愛の物語に、心が揺さぶられない人はいないだろう。このあたりの巧みな演出はお見事!
そして作品全体にこめられるのは、戦争が個人にもたらすトラウマとその克服。深いテーマとエンタメ性の両方をうまく兼ね備えた佳作だ。
『キーパー ある兵士の奇跡』
監督・脚本/マルクス・H・ローゼンミュラー 出演/デビッド・クロス、フレイア・メーバー 配給/松竹
2018年/イギリス・ドイツ/上映時間119分
10月23日(金)より新宿ピカデリーほか全国ロードショー
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