親友が宿敵となる残酷さ!『クリード 過去の逆襲』は人生を清算する魂の殴り合いに涙する!
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人気キャラクターのスピリットは、いつまでも引き継がれる……。そんな喜びに浸らせてくれるのが、このシリーズだろう。今から47年前の1976年、映画史に残る名作となった『ロッキー』。シルヴェスター・スタローンの当たり役は6本の映画が作られた後、『クリード』という新シリーズで再生。その3本目となる本作は、全米では『ロッキー』も含めたシリーズで最高の興行収入を記録した。
ロッキーの宿敵であり親友だったアポロ・クリード。その息子のアドニスが主役となった第3作だが、前回まで登場していたスタローンのロッキーは今回、出てこない。アドニス・クリードの“ひとり立ち”であり、同役のマイケル・B・ジョーダンが初めて監督を務めたことも話題だ。
世界王座に就いたアドニスの前に、思わぬ人物が現れる。それは幼なじみのデイム。アドニスの過ちによって彼は18年もの刑務所生活を送っていたのだ。一度はボクサー引退も考えていたアドニスだが、復讐心を秘め、刑務所内でも肉体鍛錬を続けていたデイムの挑発に乗って、再びリングに上がることを決意する。デイムとの対戦は、クリードにとって自身の隠された過去と真剣に向き合うことでもあった。
世界チャンプを経験し、手広く会社経営もするアドニスは、すっかりセレブ。その華々しい生活に、デイムとの過酷の事件、前作で発覚した娘の聴覚障がいなど、ドラマチックな要素が波風を立て、否が応でもドラマは盛り上がる。要所では『ロッキー』時代からの“お約束”のシーンも挿入され、シリーズファンは歓喜。
マイケル・B・ジョーダンの演出のこだわりは、リング上の闘いに表れており、肉体パーツの撮り方が独特だし、何よりジョーダンが大好きな日本のアニメの数々を引用したことで、明らかにシリーズ過去作と違うカッコいい映像が追求された印象。さらに注目は、デイム役のジョナサン・メジャースで、圧倒的な存在感はもちろん、アドニスとの再会シーンから、屈折や悲しみを的確に伝え、その後、暴走する行為もなぜか憎めないのは、彼の名演のおかげ。単なる宿敵や悪役ではないからこそ、悲願の対決に魂レベルで共感してしまう!
『クリード 過去の逆襲』 5月26日公開
原案・脚本/キーナン・クーグラー、ザック・ベイリン 製作・監督・出演/マイケル・B・ジョーダン 出演/ジョナサン・メジャース、テッサ・トンプソン、ウッド・ハリス、タデウス・J・ミクソン 配給/ワーナー・ブラザース映画
2023年/アメリカ/上映時間116分
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