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CULTURE カルチャー

2025.03.17

『ガンニバル』シーズン2が3月19日(水)に配信!
柳楽優弥「自分の人生における高くて大きなハードルになった」【インタビュー】

 

 


あの熱狂と衝撃が再び降臨する時がやってきた! 累計発行400万部を超える大ヒットコミックを原作とする実写版ヴィレッジ・サイコスリラー『ガンニバル』の待望のシーズン2が、3月19日(水)よりディズニープラス スターにて独占配信開始となる。

シーズン1ではのどかな田園風景広がる供花村(くげむら)の閉鎖的で陰湿な村社会と、そこを70年以上にわたり支配する後藤家一族をめぐり、赴任したての警察官が“人喰い”にまつわる底知れぬ沼に足を踏み入れるストーリーが展開。今まさに最深部の扉を開けようとするところでクリフハンガー的に最終話の幕が降り、視聴者を思い切り悶絶させたのも記憶に新しい。

ファン待望のシーズン2は、張り巡らされたあらゆる伏線が回収され、幾多の謎の真相が明らかとなるまさに“完結編”の名にふさわしい内容だ。なかでも後藤家と警官隊との間で勃発する全面戦争とも呼ぶべきぶつかり合いは興奮と驚愕の極み。一瞬の脇目も許されない。

本作における良き夫、良き父親であり、しかし時に大胆不敵にギラリと瞳を輝かせ恐怖のど真ん中へと飛び込んでいく主人公、阿川大悟役を、主演の柳楽優弥はどう演じたのか? インタビューは、ヴィレッジ・サイコスリラーとしての本作の魅力、前シリーズの反響、そして柳楽自身の俳優人生の原点のことなどについても話が及んだーーー。

ーーシーズン1があのような幕切れだったこともあり、まさにファンの誰もがシーズン2の到来を心の底から待ちわびていたことと思います。

柳楽優弥(以下、柳楽):前シーズンで視聴者の皆さんから予想をはるかに上回る反応を頂けたのは本当に嬉しかったですね。今回のシーズン2をやるにあたっても、僕のみならず、スタッフやキャスト全体の自信と肯定感が大きく増しているのを感じました。

ーー改めて、柳楽さんの目からご覧になったシリーズの魅力ってどのようなものでしょうか?

柳楽:そうですね。見た目や雰囲気的にホラーだと誤解されている方も多いようですが、まずそれは違いますよ、と伝えたいです。コアの部分では確かに人間のダークサイドを描いていますけど、それは怖いものではなく……いや、部分的には確かに怖いかもしれないけど、しかし怖すぎることはなく、見ていて自ずと引き込まれていく内容ですね。

ーーいわゆる”村社会”的なものを描いたジャンルは、最近だと『ミッドサマー』を筆頭に世界的な人気を誇っていますが、『ガンニバル』は隣人たちが笑顔の裏側で何を考えているのか分からなかったり、展開に従って驚愕の過去が明らかになるなど、振れ幅といい奥行きといい、日本におけるヴィレッジ・サイコスリラーの基準をグッと高めた作品となりましたね。

柳楽:ご覧になった方から「日本の縮図みたいで面白かった」と言って頂く機会が何度かあり、そのたびに、なるほどなと感じます。やはり何かひとつ”因習”があると、それを何としてでも守りたい者と、逆に壊したい者、断ち切りたい者が出てくる。その構図や摩擦によって激しい火花が散るのもどこか今の時代っぽいと言うか、時代の転換期のようなものをヒシヒシと感じます。この作品にほとばしる得体の知れないパワフルさは、案外そういうところから来ているのかもしれませんね。

今回、シーズン2を走り終えてみて、まだなかなか客観的に見つめられない部分がありつつも、その時代とリンクしたヒリヒリした面白さだけはより強烈に実感しました。
 
 

ギラリとしたものを持つ阿川という存在
ーー柳楽さん演じる阿川大悟役は、村社会やそこを支配する後藤家の謎に果敢に切り込んでいく役柄ですが、時おり見せる後先考えない無謀な行動だったり、危険や恐怖を楽しむかのようなギラっとした瞳の輝きに強烈に惹かれます。そういった役作りはかなり意識してやられているのでしょうか?
柳楽:20代の頃にいろんなタイプの作品や役柄をやらせてもらえたので、知らず知らずのうちに自分の中にいろんな要素というか下地が出来上がったのかもしれません。きっと自分では気付かない無意識的な何かがあるんじゃないですかね?

ーーなるほど、役作りや演技プランとはまた違う次元のものなのですね。

柳楽:正直、そういった理屈を、それほど考えていなくて。演技のたびに深く考え込んでいたら大変なことになりそうですし。でもその点でいうと、やっぱりメインで監督される片山(慎三)さんがとても信頼できる方なので、むしろ僕は一人のキャラクターとして、しっかりエネルギーやパワーを持ってそこに”存在すること”が大事かなと思って取り組みました。そうやって信じてついていけば、監督が演出して、僕らが演じて、それから撮った映像を後から組み上げていく中で、全てはイメージ通りに繋がるはずですから。

ーー鬼才として大注目の片山監督は、具体的にどのような演出をされる方なのですか?

柳楽:台本は設計図として事前にしっかり用意されていますが、それ以上に現場の雰囲気やノリをとても大事にしていて、ちょっとしたことをきっかけにどんどんアイデアを出していく、言うなれば、”セッション型”ですね。メインのキャストだけでなく、映像に映るあらゆる存在が演出対象。エキストラの人にも「くちゃくちゃと口を動かしてみましょうか」と演出を足していく。それも家でだらっとテレビ見ている時とかに無意識にやっていそうな仕草とかを加えていくから、本当に面白いなって思います。

ーー他の共演者もクセモノ揃いです。シーズン2ということもあり、堅い信頼や絆が結ばれていることと思います。カメラが回っていないところでは俳優同士、どういう会話を交わされているのでしょう?

柳楽:話題の中心といえば、やっぱり“英語”じゃないですかね。「どうやって勉強しているの?」「どのアプリ使っているの?」とか。人から人へ勉強法を聞いて回っています。それこそ、最近大きな刺激になったのは、ゴールデングローブ賞での『SHOGUN 将軍』の浅野忠信さんの受賞スピーチですね。いわゆるかっこいい英語を喋ろうとしてないのが本当に素敵で……。周囲から温かく祝福される雰囲気を築いてこられた努力やご苦労の過程もぜんぶ含めて、一つの目指すべきところだなと、気づかされました。
 

 
自身を奮い立たせてくれるもの
ーー柳楽さんといえば、TVドラマ『ライオンの隠れ家』(TBS)でも子役との温かな演技が話題になりましたし、『ガンニバル』における娘への愛情もまた格別です。子役とうまくやっていく秘訣みたいなものは、柳楽さんの中で何かありますか?

柳楽:僕も子供時代にデビューして以来、演技のお仕事に携わらせていただいてきたのでよくわかるのですが、子供って意外と冷静。特にこういう業界にいると、観察眼が優れている子も多いんですよ。だからこそ、僕は大人になった今、相手を子供だと思って接するのではなく、むしろ互いに”いい距離感”をキープして演技し合いたいなと感じています。作品作りは、やはりチームワークなんですよ。チームとして全体が強くなるためにはどうすべきか、自分がどう存在してどう振る舞うべきかっていうのを最近よく考えるようになりましたね。

ーーいま、デビュー時の話がありましたが、去年はカンヌで男優賞を受賞された『誰も知らない』(2004年)の公開から 20周年の節目でした。柳楽さんの中でこの作品はどのような存在であり続けていますか?

柳楽:他の作品とあまり変わらないですし、特別な作品ということにしすぎたくもないんです。けれども、そこでの評価は何かしら僕に影響を与え続けています。その時の力って多分、相当大きいんだなって思います。今でも「もっと国外に出たい」「やりたいんだ」「やるべきだ」って自分を奮い立たせてくれているので、背中を押してくれているなって思えるんです。

ーーーその意味では『ガンニバル』もまた、柳楽さんの新たな代表作として語り継がれるのは間違いありません。

柳楽:ちゃんと自分の人生における高くて大きなハードルになったと思います。そして絶対、またこのハードルを超えていきたいなと思っています。

『ガンニバル』シーズン2
ディズニープラス スターで 2025 年3月19日(水)より独占配信

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取材・文=牛津厚信 text:Atsunobu Ushizu
photo by AFLO
© 2025 Disney
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