なぜ、側近は大統領を殺したのか!?『KCIA 南山の部長たち』
昨年のアカデミー賞で『パラサイト 半地下の家族』が、韓国映画で初めての作品賞に輝き、日本でも社会現象的なヒットを記録した。では2021年、『パラサイト』のように韓国からアカデミー賞の国際長編映画賞の代表になった作品はなにか? それがこの『KCIA 南山の部長たち』ということで、傑作の香りが漂う!
- SERIES:
- 今週末は、この映画に胸アツ!
- TAGS:
- 今週末は、この映画に胸アツ! Culture Cinema 映画5選
『KCIA 南山の部長たち』
胸アツなポイントは?
“緊迫感ある展開に手に汗を握りっぱなし!”
1979年、衝撃のニュースが世界を駆け巡った。韓国のパク・チョンヒ大統領が、側近である中央情報部(KCIA)部長に殺害されたのだ。18年もの間、大統領に君臨し、独裁者としての側面も強まったことで、悲劇へと導かれた。
この事実を、フィクションも加えてドラマチックに再現したのが今作。アメリカへ亡命したKCIAの元部長がパク大統領を批判する証言を行ったため、大統領は激怒。現部長のキム・ギュピョン(実際の人物から名前は変更)が、事態の収拾を命じられる。これをきっかけに、キム部長と大統領、別の側近との確執が水面下で進行。そしてついに、ある計画が実行されることに……。
キム部長がアメリカへわたり、様々な裏工作を仕掛けるほか、ヨーロッパでもKCIAのミッションが進行。豪華ロケによる本格派スパイ映画のスケール感を備えつつ、ポイントのシーンでは目を覆うような描写も用意される。全編、緊張の糸がとぎれない展開。
パク大統領のセリフのところどころに日本語が入ったり、日本との意外な関わりを示す謎めいた演出がなされたりと、韓国と日本の複雑なつながりをも実感。予想外に事件を身近に感じられるのもポイントだ。
そして極めつけは、キム部長役、イ・ビョンホンの演技。大統領の命令を表情ひとつ変えずに聞きながら、クールな顔で任務を遂行。しかし“民主主義を復活させる”という大義名分で、溜めに溜めた感情がマグマのように噴き出すクライマックスに、誰もが背筋を凍らせることだろう。
『KCIA 南山の部長たち』
原作/キム・チュンシク 監督・脚本/ウ・ミンホ 出演/イ・ビョンホン、イ・ソンミン、クァク・ドウォン 配給/クロックワークス
2019年/韓国/上映時間114分
1月22日(金)よりシネマート新宿ほか全国ロードショー。
(C)2020 SHOWBOX, HIVE MEDIA CORP AND GEMSTONE PICTURES ALL RIGHTS RESERVED